植物内ポリフェノールの増量方法の発見

現代人の免疫能は低下し、特に高齢者の免疫能は著しく低下している。その主な原因として、急速な食生活の変化、肥満、加齢、ストレスなど、各種酸化ストレスによる影響が示唆されている。この活性酸素が原因で起こる各種疾病の防御を目的としてフラボノイド類の摂取が注目されている。フラボノイド類には約5-7,000種ともいわれる多数の物質が報告され、その構造は極めて似ているが、その抗酸化機能は各種異なる。これらフラボノイドの標準統一分析方法は未だになく、各々の抗酸化物質の抗酸化能についてもはっきりしていない。
そこで、約30種類の抗酸化物質についてその作用を検討すると同時に、世界に先駆けてUV検出器とHPLC分析による各種フラボノイドの一斉同時自動分析法の開発を行った。さらに、各種野菜・果物のフラボノイドを分画定量し、その含有量およびペンタキープ(ALA肥料、コスモ石油(株))投与による影響を検討した。その結果、これまでに多くの抗酸化物質の中で、ルテオリンが細胞内・外での活性酸素消去能が最も高いことを証明し、さらに、ALAを投与し栽培した植物のフラボノイドおよびミネラル量に及ぼす影響について検討を行った。その結果、ルテオリン(図)をはじめフラボノイド類が平均約10倍増量することを見出した。
PDF:ALA-ポリフェノール

運動とミネラル:激運動による血液中モリブデン量の減少

 運動は動物にとって生命を維持する上で不可欠な仕事であるが、激しい運動(競技用スポーツ)の場合はそれなりの管理が必要となる。そこで、日常的に激しい運動を行っている男子大学駅伝選手および女子高校バスケットボール選手の体内ミネラルの影響について、とくに汗や代謝によって失われる微量元素の血液中の変動を検討した。
 その結果、選手群は男女共に日常的に運動をしていない対照群に比してモリブデン(Mo)量の著明な減少を世界に先駆けて見出した。また、男子選手群では対照群に比してマンガン(Mn), ガリウム(Ga), スズ(Sn)の有意な減少(p<0.05)とニッケル(Ni), カドミウム(Cd)の増加傾向を見出した。女子選手群では亜鉛(Zn)が対照群に比して有意に減少(p<0.05)したが、男子では有意差は見られなかった。
 以上の結果、激しいスポーツ活動が血液中のミネラル量に与える影響は男女で異なることがわかった。しかし、Moについては男女ともに選手群で著明に減少しており、激運動によってMo量が減少することが明らかとなった。PDF:運動とミネラル

高齢者の健康寿命の延伸を目指して~エイジングの機序とアンチエイジング

健康で生きられる期間を「健康寿命」と言いますが、2016年の日本人の健康寿命は男性71.14歳(2020年の平均寿命は81.64歳)、女性74.79歳(同87.74歳)です。女性の方が男性よりも約6年長生きですが、不健康状態が約2.5年、すなわち介護を要する期間が長い。そして、共に約10年以上、不健康状態が見られます。この原因の一つが酸化ストレスですので、高齢者の健康寿命の延伸とQOL(生活の質)の向上を図るためには、改めて健康増進の三原則「栄養・運動・休養」を見直すことが大切です。そこで、アンチエイジングを目的に、エイジング(加齢、老化)に影響を与える要因を明らかにし、それを除去する方法について検討しました。PDF:加齢の病態生理~アンチエイジング2

鉄欠乏性貧血~ヘム合成とミネラルバランスの新知見~ 

鉄欠乏性貧血は発展途上国のみならず先進諸国においても非常にポピュラーな疾患で、すべての年代での発症が認められます。この原因として、発展途上国では栄養欠乏が、先進諸国では栄養バランスの悪い食事が、各々指摘されています。鉄欠乏状態が続くと,まず貯蔵鉄が減少し,次に血清鉄,最終的にヘモグロビン量が減少し,貧血の発症に至ります。貧血になると免疫機能が損なわれ、心身の様々な機能が低下します。
途上国においてはヨード、ビタミンA、鉄、亜鉛の4大微量栄養素欠乏症の中で、鉄欠乏性貧血症は、最も対策の遅れている健康問題の一つです。我々は血液学的検査と症状から12例の典型的な鉄欠乏性貧血患者を見出し、本症の病態生理として新たにヘム合成とミネラルバランスに関する知見を得ました。そこで、貧血の原因、症状、予防と治療を加えて報告します。(参考文献:Kondo M et al. Iron deficiency anemia, in PORPHYRINS 14(2) 99-104, 2005) PDF:鉄欠乏性貧血症

「こころとからだの健康」第2版出版

 地球規模的に「こころとからだの健康」が問われています。「こころの健康」では海外における人と人との争い、国と国との争い、国内ではいじめ、児童虐待、車社会におけるいわゆる「あおり」、京都アニメーション放火事件等々、非常識な事案が続いています。
 また、「からだの健康」では生活習慣病の増加をはじめ、遺伝子編集、地球環境問題など普通でないことが平然と行われています。
 こころとからだは「心身一如」であり、このどちらかが障害されると、心と身体のバランスが崩れさまざまな障害となって現われてきます。また、2019年11~12月以降に中国武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染者および死亡者数の増加はこころとからだの両方に深刻な影響を与え、2020年3月11日に漸くWHOはパンデミック宣言を致しました。このウイルスによってすべての価値が破壊されようとしています。人類の英知によって、何としても「いのちとこころとからだの健康」は守らなければなりません。

 人間形成の基盤を成すこころの教育とは、さまざまな体験や体感を通して、生きるこころと生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころ、前向きなこころといった人としての基礎を育むことが大切です。そして、人間を科学(健康、病気、福祉、コミュニケーションなど)できる人材を育てる。さらに、社会が期待する、①前に踏み出す力、②考え抜く力、③チームで働く力を持った人材を育てることが大切です。

 そのためには、自分を取り巻く環境に感謝するこころを持つことは勿論、人間社会において基本的である相手の立場になって(他のすべての生物に対しても共通しています。)、行動することであり、自分自身のQOL(生活の質・人生の質)をいかに高めるかを考えることが大切です。

 ヒトを取り巻くさまざまな環境要因と共存していることを常に念頭に入れた、地域・国家・地球・宇宙を考慮した包括的・学際的な正しい総合的・人文・社会科学的知識が必要であると同時に、このような社会の変遷に対して、常に謙虚に歴史・現状および将来を見据え、現状において最も重要な問題を正しく捕らえた科学的、精神的教育を行うことが必要です。そのための基本的教養を家庭・学校・地域・社会で学ぶことが大切です。
 基本的教養を身につけることは、生きる術として大切な善悪の判断、感謝し奉仕するといった素直なこころ、さらに、前向きに生活技術の工夫を行う知恵と未来を夢見るこころを持つことです。

 この地球上に生まれてきた人間は、この地球を支配する管理者として、この美しい地球を次代に引き継ぐ責任があります。それは人としての義務です。地球環境の保全、持続的な平和を堅持していくために、「こころとからだの健康」が最も大切であることを認識し・未来図を描いて行ってほしいと願います。

 本書では、「こころとからだの健康」と題して、人間教育の四原則である徳育、知育、体育、食育および環境問題などについて、教育・研究・運営の経験をもとに執筆しました。(近藤雅雄著 2020年3月3日発行、総ページ数140p,A4)


目 次
はじめに
1.人間として生きる力を育てる
2.遊びから学ぶ幼児教育、子育て習慣および期待される人材
3.社会の変貌と大学における教育のあり方
4.人を育てる~大学のリーダーに求められる37の習慣
5.研究成果は人類の宝、特に保健・医療・福祉に関わる研究の成果はすべて公開する義務がある
6.健常人と難病患者
7.「ポルフィリン症」難病指定への道
8.研究に懸ける思い~指定難病「ポルフィリン症」診断法の開発、患者発見に対する熱い思い
(1)ポルフィリン症専門外来開設への熱き思い
(2)研究には投資が必要~研究すればするほど自己負担が増加
9.正しい栄養素の摂取と言葉
10.健全な食生活をめざして~現代日本人の食生活を考える
11.食文化の変遷と食育~日本型食生活による健康寿命の延伸
12.食生活と栄養と食育
13.栄養学と医師
14.「こころとからだの健康」12の習慣
15.男と女の寿命の差
16.右脳と左脳を知る
17.摂食障害
18.肥満対策
19.ストレスと心身の障害
20.治癒と治療
21.生体防御機構と免疫システム
22.中高年齢者の免疫強化によるアンチエイジング
23.5-アミノレブリン酸の多様な生物機能
24.ホメオスタシスと生体リズム
25.目の病気の予防・対策に必要な栄養素と食品
26.脳を元気にする食と栄養素
27.血液型と病気
28.人間と地球環境
29.皮膚とこころ
30.幸せホルモン「オキシトシン」作用の多様性
おわりに「君に贈る言葉」
付録 リヴ物語
   国立公衆衛生院
   ロックフェラー大学
   日本の未来年表と医療

コンパクト基礎栄養学~講義版

 朝倉書店から出版されている「コンパクト基礎栄養学」の講義版を作成した。
 基礎栄養学講義は、科学的思考の基盤として人間と生活を重視した場合、生物の生命現象はすなわち栄養現象であることから、基礎栄養学に関する科学的・理論的思考力を育て、人間性を磨き、自由で主体的な判断と行動を培う。
 達成目標は、ヒトにおける生物としての普遍的なシステムと特徴について正しく理解することが重要であり、生命現象すなわち栄養現象の基本原理である新陳代謝(動的平衡)の理解を深めると同時に、人間の様々な機能とその維持に必要な栄養について、科学的・論理的思考力を育てる。また、病気の予防、回復、健康を維持するための栄養学の基礎を学び、生活習慣の重要性とその指導に役立つよう根拠のある栄養学の知識を修得する。
 ここでは、教科書「コンパクト基礎栄養学」を実際に講義で利用するときの参考資料として、内容を各章ごとに独自にまとめ、巻末に過去の管理栄養士国家試験問題として出題されたもの及び自作問題を記載したので、各自の勉強又は講義の資料として利用していただけると幸いです。以下のPDFを参照下さい。(近藤雅雄:2020年2月9日掲載)
基礎栄養学(公開用)

ペンタガーデンは植物中の抗酸化能を持つ各種必須ミネラル及びフラボノイドを増やす

 近年、活性酸素が原因で起こる各種疾病からの予防及び健康維持・増進を目的としたフラボノイドの抗酸化能が注目されている。フラボノイドには約7000種ともいわれる多数の化学物質が報告され、その抗酸化能も異なる。そこで、約32種類の抗酸化物質についての抗酸化能を検討した結果、ルテオリンというポリフェノールが細胞内外にて極めて抗酸化能が高いことが分かった。我々は、各種フラボノイドの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法の開発を行うと同時に、各種植物のルテオリン量を調査した結果、ピーマンなどのベルペッパーに多く含まれていることが分かり、ピーマン中の各種フラボノイドの定量分析を行った。 
 さらに、最近注目されている肥料ペンタガーデン(5-アミノレブリン酸(ALA)配合肥料:コスモ誠和アグリカルチャ株式会社、現在は株式会社コスモトレードアンドサービスに変更)を投与し、栽培したピーマンのフラボノイドおよびミネラル量に及ぼす影響について検討を行ったところ、抗酸化作用を有するポリフェノール類の増量並びに多くの必須ミネラル、とくに免疫や抗酸化作用を有するミネラル類が増量することを見出した。

 ALAはクロロフィルやヘム合成に不可欠な鍵となるアミノ酸であり、このALAを配合したペンタガーデンまたはペンタキープには植物生長促進効果、光合成促進、バイオマスの増大、糖度の上昇、硝酸含量の低減、ビタミン含量の向上、低温・低照度耐性、耐塩性などの様々な機能が知られ農林業、施設園芸、野外圃場、都市や砂漠の緑化など多方面で利用されている。

 最近、筆者もテイクオンで購入したペンタガーデンを家庭園芸に用いたところ、花はより鮮やかに、葉はより緑に、また野菜や果物はより大きく、糖度も増し、各種栽培には欠かせない肥料として楽しんでいます。

 ペンタガーデンの“ペンタ“の意味はギリシャ語で5を指し、5番目の炭素にアミノ基を持ったレブリン酸と言うことで、5-アミノレブリン酸と言い、このアミノ基が植物の成長に大変重要であることからペンタシリーズが開発されたものと推測される。近藤雅雄(2019年6月10日掲載)

 なお、 ペンタガーデンテイクオンALAショツプhttp://takeon-ala.jp/ にて購入できる。
 論文は以下のPDFを参照されたい。ピーマンの各種ミネラル及びフラボノイド量に対する

生活習慣病予防対策の簡単レシピの1例

生活習慣病7疾患の予防に対する最新の食生活話題について紹介した。

1.がん予防 
 みかんの皮を熱湯消毒し、天日干しで数日間乾燥させる。その後、粉砕して食する。精油のリモネン、フラボノイドのヘスペリジン、カロテノイドのβ-クリプトキサンチン、水溶性食物繊維のペクチン類など作用メカニズムの異なる様々ながん予防物質が見つかっている。

2.認知症予防
 カマンベールチーズ(白いカビ様の部分)にオレイン酸アミド、デヒドロエルゴステロールが含まれ、認知症の原因であるβアミロイドを減らす。より効果的なのはカマンベールチーズに赤ワインを2~3杯程度飲むのが良い。または、ビールの苦み成分、ホップ由来のもので、イソα酸が肥満抑制効果、発がん抑制効果、骨密度低下抑制効果、アルツハイマー病予防効果があることが報告されている。

3.心臓病
 LDL-Cの減少作用→さばの水煮缶(マルハ)にEPA(1.87g/缶)含まれ、1g/1日、1缶/1日。EPAは熱に弱いので、サラダなどで摂取する。大根(イソチアシネート)、たまねぎ(イソアリイン:涙を出す成分)と一緒に摂取するとより効果的。

4.便秘
 食物繊維の1日の必要量:男性20g、女性18gであるが、必要量を満たしてる人は少ない。そこで、100g当たりの食物繊維の含有量多い レタス 1.1g、ごぼう 5.7g、干し柿14g(柿1.6g)にオリーブオイル(オレイン酸含む)をかけ、1日2回、朝と夕方摂取すると良い。野菜としての必要量は一日350gとなる。

5.高血圧(1/3人)
 血管収縮による高血圧対策として、抗酸化物質ポリフェノールを摂取する。100g当たりのポリフェノール量 りんご220mg、赤ワイン180mg、チョコレート840mg。72%以上のカカオが含まれているチョコレートを1日25g摂取する。また、合谷を指圧すると良い。

6.花粉症
 花粉症のIgE抗体を減少させる食材。れんこん(タンニン、ムチン含む)含まれ、40g/1日皮ごと輪切りや細かくしてポタージュスープなどで摂取する。2週間で効果があり、また、レンコンをすって綿棒で鼻に塗付しても効果あり。果実じゃばら(邪払;スーパーフラボノイド、ナリルチンが有効成分)や杉茶(主成分は杉葉精油)も効果がある。

7.糖尿病(Ⅱ型95%、1/5人)
 トマト(赤い色素リコピン(抗酸化物質)が果肉に含まれる)は血糖値を下げ、トマトをジュースにして摂取する。オリーブオイルをさじ1杯加え、レンジで温めて飲むと4.5倍リコピンの吸収率が高まる。血糖降下剤と同じ効果がある。160㎎→110㎎に低下する。
(掲載日:2019年4月2日、近藤雅雄)

こころとからだの健康(15) 脳を元気にする食と栄養素

「こころとからだの健康(10)脳に良い食品、食品機能性食品とその成分」の改訂版である。
 脳は大脳、間脳、脳幹および小脳から構成され、心身(こころとからだの働き)の司令塔である。とくに、大脳皮質は感覚・運動の統合、意志、創造、思考、言語、理性、感情、記憶を司り、前頭連合野は人間中枢とも言うべき重要な働きを行っている。脳を元気にするためには脳に必要な栄養素の摂取と適度な有酸素運動の実施および良い睡眠をとることが基本である。
 近年、アルツハイマー病やうつ病などの疾病が社会問題となっている。2015年、国際アルツハイマー病協会は認知症の新規患者数は毎年約990万人、2050年には1億3200万人に達し、現在(約4680万人)の3倍になると“世界アルツハイマー報告書2015”に発表した。高齢社会においてその数は急激に増加している。認知症には①アルツハイマー型、②脳血管性、③レビー小体型、④ピック病、⑤混合型、⑥その他などがあるが、この内、70%近くがアルツハイマー病であり、酸化ストレスが病気の進行に大きく寄与している。また、最近、疲労の原因は脳の眼窩前頭野で疲労感として自覚することによると言われ、これも酸化ストレスが関わっている。
 そこで、本論文では情報化・高齢化の時代に認知症やうつ病などの脳の障害を予防し、いつまでもイキイキした脳を維持するために必要な食品および有効成分について文献調査を行った。

Ⅰ.脳が元気になる食品
 人は美味しいものを食べると自然と笑顔となるが、これは脳が元気になったのではない。逆に、濃い味付けや甘いものなどは習慣化し、脳はじめ多くの生体機能にダメージを与えるので注意する。自らの健康は自らが守ることを意識し、脳に良い食品を意識的に摂取することが大切である。

Ⅱ.脳の活性化が期待される主な有効物質
 脳の機能保持には脳の構成材料、脳代謝に不可欠な栄養素および酸化ストレスに対する抗酸化物質の摂取を日常的に意識して摂取することが望ましい。抗酸化物質として、ポリフェノールは植物の色素や苦味の成分であり、アントシアン、タンニンやカテキンなどのタンニン類、ケルセチンやイソフラボンなどのフラボノイド類からなる。フラボノイドは植物に広く存在する色素成分でクロロフィルやカロチノイドと並ぶ植物色素の総称である。広義には赤、紫、青を発するアントシアニンもフラボノイドに分類される。フラボノイドを豊富に含んでいる食品としてはチョコレート、ココア、緑茶、紅茶、赤ワインなどが知られ、注目されている。
 これら抗酸化物質の作用としては活性酸素を除去し老化抑制、抗凝固、血圧降下、消臭、血管保護および血流増加、動脈硬化や心臓病の予防、免疫力増強、抗菌・抗ウイルス・抗アレルギー、血管保護、抗変異原性、発癌物質の活性化抑制など、多様な作用が推測されている。ビタミンC・E、クエン酸を含む食品と併用すると抗酸化作用の相乗効果を示す。
 なお、抗酸化物質についてはいずれも食品として摂取することが望ましく、サプリメントとして摂取する場合は過剰摂取による問題などがあり、十分に配慮することが大切である。(近藤雅雄:平成29年3月25日投稿)
内容の詳細をPDFに記載した。 PDF:こころとからだの健康(15)脳を元気にする食と栄養素2017.3.25

必須微量元素モリブデン(Mo)の生体機能に関する調査研究

 激しいスポーツ活動によって男女ともに血中のモリブデン濃度が低下することを報告した(2016年8月25日掲載)。すなわち、モリブデンの血中濃度の平均値は男子大学駅伝選手群が0.00002ppm(対照群0.047)、バスケットボール高校生女子選手群が0.009ppm(対照群0.077)と両者ともに著明に減少していることが分かった。
 そこで、モリブデンに関する健康影響について調査を行った。調査は2003年にミネラルの食事摂取基準を作成する際、1980年から2003年7月の23年間に学術誌に掲載された原著論文を、 PubMedを用いて系統的に収集した。また、1987年から2003年7月までに医学中央雑誌に掲載されたタイトルから国内で報告された学術論文を収集した。
 その結果、「モリブデン」としてPubMedからの調査件数5126件、このうち、人に関するもの889件のタイトルおよび抄録から461件の原著を抽出した。また、医学中央雑誌調査件数人に関するもの42件のタイトルおよび抄録から15件の原著を抽出した。
 これらの原著論文を読み込んだ結果、激しい運動が血中モリブデン濃度を著明に減少させる機序並びにその健康影響については解明できなかったが、貧血や疲労によって低下するという。なお、2004年以降については未調査である。
 本論文(PDF)ではモリブデンの発見の歴史、物理的・化学的性質、用途、環境・植物・人体中のモリブデン、測定法、摂取量、必要量、生理作用、モリブデン依存性酵素(キサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ、サルファイトオキシダーゼ)、過剰症、欠乏症、食事摂取基準など、2003年までの情報について総説した。
(近藤雅雄:平成28年10月24日掲載) 必須微量元素モリブデンの生体機能

「コンパクト応用栄養学」第2版出版の紹介

 株式会社朝倉書店より、ヒトの生涯に関わる応用栄養学領域のエッセンスをわかりやすくまとめ,「日本人の食事摂取基準(2015年版)」および「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)」に準拠した「コンパクト応用栄養学」第2版が出版されました.B5版,158ページ.  
目次
1 栄養ケア・マネジメント
 A 栄養ケア・マネジメントの概念
 B 栄養スクリーニング
 C 栄養アセスメント
 D 栄養ケア計画の実施,モニタリング,評価,フィードバック
2 食事摂取基準の基礎的理解
 A 食事摂取基準の意義
 B 食事摂取基準策定の基礎理論
 C 食事摂取基準活用の基礎理論 D エネルギー・栄養素別食事摂取基準
3 成長,発達,加齢(老化)
 A 成長,発達,加齢の概念
 B 成長,発達,加齢に伴う身体的・精神的変化と栄養
 C 加齢(老化)に伴う身体的・精神的変化と栄養
4 妊娠期,授乳期
 A 妊娠期・授乳期の生理的特徴
 B 妊娠期・授乳期の栄養アセスメントと栄養ケア
5 新生児期,乳児期
 A 新生児期・乳児期の生理的特徴
 B 新生児期・乳児期の栄養アセスメントと栄養ケア
6 成長期(幼児期,学童期,思春期)
 A 幼児期・学童期・思春期の生理的特徴
 B 幼児期・学童期・思春期の栄養アセスメントと栄養ケア
7 成人期
 A 成人期・更年期の生理的特徴
 B 成人期・更年期の栄養アセスメントと栄養ケア
8 高齢期

 A 高齢期の生理的特徴
 B 高齢期の栄養アセスメントと栄養ケア
9 運動・スポーツと栄養
 A 運動時の生理的特徴とエネルギー代謝
 B 運動と栄養ケア
10 環境と栄養
 A ストレスと栄養ケア
 B 特殊環境と栄養ケア
付録(用語解説,参考資料:食事摂取基準,食育基本法,食生活指針,食事バランスガイド)

序 論
 朝倉書店から出版されている「コンパクト栄養学」シリーズ、『コンパクト公衆栄養学』『コンパクト応用栄養学』『コンパクト基礎栄養学』『コンパクト臨床栄養学』『コンパクト食品学』は他社から発行されている多くの栄養学シリーズとは異なって,病気の予防,健康に関する正しい知識と技術を普及・啓発し,地域,社会集団の栄養改善さらには健康の維持増進を図る学問としての幅広い領域をわかりやすくコンパクトにまとめた教科書です.
 今回、第2版の出版となった応用栄養学はかつては栄養学の一部として扱われてきましたが,その後,特殊栄養学,栄養学各論と名称が変わり,応用栄養学へと進化しました.内容は成長・発達・加齢といった人の生涯における栄養管理として,新生児期から高齢期までの各ライフステージ別に,また妊娠期,授乳期,更年期・運動・スポーツ,環境と栄養について項目ごとにまとめました.
 本書は,2015(平成27)年2月16日に厚生労働省ガイドライン改定検討会より提出された新ガイドラインおよび2014(平成26)年3月28日に公表された「日本人の食事摂取基準(2015年版)」に従い,第一線にて活躍している教育・研究者によって執筆・改訂を行ったものです.管理栄養士等養成校の学生は勿論のこと,保健・医療・福祉などに関わる領域を勉強している学生,一般社会人にもわかりやすく「コンパクト」にまとめています.本書をしっかりと学習し,社会に貢献して行って欲しいと願っています.(近藤雅雄:平成28年4月2日掲載)

日本人の食生活解析

はじめに
 日本の食生活は経済成長と共にこれまでの米を中心とした日本型食生活から欧米など世界中の料理、ファーストフードや健康食品というものを自由に取捨選択し、食べたいときに好きなものが食べられる豊かな自由型へと変った。このような豊食(飽食、崩食)の時代になると共に、アレルギー、がん、生活習慣病、認知症などの増加といった新たな課題が出現してきた。
 本稿では、最新の主な食生活事情について分析・考察を行った。

1.食生活の変遷と食のあり方
 現代人は、食あるいは栄養に関する科学的な知識は殆ど持ち合わせることなく、好きなものを好きなときに好きなだけ、あるいは今あるものを寄せて食べる傾向が増えている。食生活はと言えば少子・高齢・核家族化の進展と共に「こ食」(孤食、小食、固食、個食、粉食、濃食、戸食など)が習慣化している。このような生活習慣は成人並びに次代を担う子どもたちの学習・記憶・体力の低下、免疫能の低下、対人技術の発達障害などと言った心身の問題や生活習慣病、摂食障害などを誘発し、さらに、これが体質として次代へも引継がれかねない。これらの現状を鑑み、最も重要な課題が乳幼児期から生涯にわたっての「食」のあり方である。

2.多くの病気が食源病
 日本人の免疫能はこの数十年間で低下してきている。免疫の中心である胸腺は酸化ストレスや加齢によって萎縮し、免疫能が低下する。これが、近年の生活習慣病、がんや自己免疫性疾患、感染症などといった様々な病気の発症要因の一つとして広く指摘されている。その主たる原因が前述した戦後の食生活の劇的な変化が挙げられる。すなわち、私たちの住む地球には時間的リズムがあるように、生体にも同じ時間のリズムがある。一日のリズム(概日リズム)には生命を維持するのに重要な働きとなる睡眠、自律神経、免疫、内分泌、摂食(食生活)などの各リズムがある。これらリズムの中心となっているのが「食」である。近年、この「食」を中心とした生活習慣の変化が生体のリズムを変え、肥満、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、がんなどの生活習慣病が起こることが分かってきた。その原因の主なものとして、食塩と脂肪の摂取過剰と食物繊維、ミネラル類の摂取不足が挙げられる。したがって、これらの疾病は食が原因で発症する「食源病」といっても過言ではない。

3.日本人の食生活の実態と次代を担う子どもの食育
 厚生労働省が毎年行っている国民健康・栄養調査の結果を基に食生活の実態を解析した結果、免疫能に重要な影響を及ぼすタンパク質の摂取量は男・女共に生涯にわたって大きな変化が認められなかったが、タンパク質をどの様な食品群から摂取しているかを年齢別にみると、40歳代以降から肉類と魚類の摂取量が逆転することを見出した。すなわち、若年者は肉類、中・高齢者は魚類の摂取が高いことでタンパク質摂取が生涯にわたって保持できていることがわかった。一方、米国人の食生活パターンは生涯のタンパク質源を肉類に依存し、これが加齢と共に摂取量が減少することで1日に必要なタンパク質摂取量が減少する。この減少は免疫力の低下を惹き起こす。これが日米の寿命の差となっているのかもしれない。
 一方で、我われは日本人の中・高齢者の血中微量元素濃度を測定した結果、免疫能および抗酸化能に影響を及ぼす銅、亜鉛、セレン、マンガンなどが加齢に伴って減少する傾向を見出した。さらに、これら元素の変動が不定愁訴や循環障害などの各種自覚症状と関係していることを見出した。これらの結果をもとに、中・高齢者が抗酸化・免疫能を強化する微量元素やビタミン、フラボノイドなどを多く含む豆類、野菜、果物、魚介類などを積極的に摂取することによって、これらの自覚症状がなくなり、ますます健康寿命の延伸を図ることの可能性を見出している。
 これらの結果に対して、現代の子どもが将来高齢者となった場合に、現在の高齢者と同じような食事摂取パターンとなるかについては疑問である。すなわち、味覚や嗜好は乳幼児期に形成されるためである。したがって、安心・安全な食物を選別できる能力、食物の大切さを知る能力などを小児期に育てることは重要である。

4.免疫能を高める栄養素・食品の解析
 各種酸化ストレスからの防御を目的として、我われは食品中に含まれるミネラルやビタミン、フラボノイドなどの抗酸化成分を胸腺(免疫)細胞に投与し、活性酸素の消去能について検討したところ、各抗酸化物質によって細胞内外での抗酸化能力が異なっていることを見出した。このことは、抗酸化成分の効果的な摂取法として、細胞内外にて抗酸化作用を発揮する成分を摂取することの方が、細胞を酸化ストレスから防御するにはより効果的であることを示す。事実、細胞内外にて抗酸化能を発揮するフラボノイド(ルテオリンなど)を多く含む野菜(ピーマンなど)を高齢者に食べていただくという介入試験を国立健康・栄養研究所の研究倫理規定にしたがって行った結果、摂取前(介入前)と比較して摂取後(介入後)は抗酸化能および免疫能は統計学的に有意に上昇することを見出している。

5.日本型食生活の変遷と栄養行政
 日本人の食生活は主食、主菜、副菜、汁物で構成されているが、主食としては米を中心とした食生活が連綿と引き継がれてきた。そこから誕生したのがみそ汁、漬物、塩蔵品といった米と合う塩分と砂糖の多い食生活である。しかし、今日のITおよび乗り物社会といった運動量の少ない社会構造が確立してから肥満を始め、がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病など欧米に多い病気が我が国でも増加するようになってきた。これに対して、厚生労働省は「健康日本21」、「健康増進法」など様々な政策を打ち上げ、健康に対する対策を行ってきたが、現在までに成功したと言えるのは禁煙と減塩政策である。これら健康増進行政の基本は「栄養」「運動」「休養」の三位一体の遂行であることはいつの時代も変わらない。

6.最新食生活事情~糖質摂取制限に関する話題
 最近、糖質摂取(白米やパン、麺類など)を制限すると肥満、糖尿病(1型、Ⅱ型)などの生活習慣病だけでなく、妊娠糖尿病、がん、アルツハイマー病や認知症、虫歯、歯原性菌血症などが改善・予防されるといった書物が現在の食生活に対する混乱を惹き起こしている。いわゆる糖質ダイエットと称されるものである。これに対する異論・反論も多く、安易に信用することは控えたい。これら多くの話題には科学的根拠に欠けているのもあり、それらの課題は医学・栄養学・食品学等の学会、厚生労働省・農林水産省などの行政側で話題・議論すべき内容であり、これを国民に直接一般書物などマスメディアを通して訴えることは国民の不安を煽るだけでなく、食行政を混乱させるだけであり、売名行為とも受け取らわれかねない。これら内容については専門家の間でしっかりと議論し、科学的に確立したものを一般国民に公表すべきである。また、今日様々なダイエット法がメディアを通して宣伝されているが、もしもダイエットなど自分の食生活を変えたい場合には、必ず信頼できる人と相談することが大切である。このように、日本の食事事情が混乱している現代社会においては糖質、タンパク質、脂肪の摂取比率などを含めて、早急に総合栄養学的な観点から生涯にわたっての日本型食生活と健康について医学、農学、栄養学、経済学、工学などの広領域分野にて科学的に再検討する必要があると思われる。

7.望ましい食生活の在り方
 「食」は国家の基盤、文化や教育の根幹であることから、国は国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育む事ができるよう、家庭、学校、地域社会における食育推進行政を徹底してほしいものである。「食育」は「職育」であり、各々のlife stageにおいて知力、体力、抵抗力、作業能率、正しい判断力、感性を育むために不可欠な教えである。人間の一人ひとりのゲノム(遺伝子)の差は0.1%であり、これが免疫など様々な個体(人)差となっている。したがって、年齢、性、運動量、作業量、各ストレス量、体質などが各個人によって異なるように、食事の質と量も当然異なってくる。望ましい食生活とは、個人個人が正しい知識を持って、賢く食事を楽しむことである。それによって、酸化ストレスも減少し、免疫能が強化され、健康寿命の延伸が図られる。我われは、「今こそ」栄養学・食品学の知識を身に付け、一つの栄養素・食品におけるミクロ的な視点ではなく、総合栄養といったマクロ的な視点から自分自身の食生活について真剣に考える必要がある。厚生労働省などの公的機関は国民に対する正しい栄養教育の一層の普及が望まれる。

おわりに
 戦後70年間で日本社会のあり様が著しく変貌し、今後もさらに変化していくものと思われる。いつの時代も生命・健康維持において最も重要なものが「食のあり方」である。正しい「食生活」を維持・継続することによって生体のリズムが構築され、知識や技術の向上が図られる。さらに、健全なからだや精神(感謝)という個人レベルの健康だけでなく、健全な社会が構築され、延いては国家が元気となる。また、「食」に対する知識を得ることによってからだと心を大切にし、生きる術として大切な善悪の判断、感謝し奉仕するといった素直な心を持つ。さらに、前向きに生活の工夫を行う知恵などを持ち、将来を夢見るこころを持つようになる。内容の貧しい食事であっても団欒のある楽しい食生活や四季の旬のおいしい物を食べた時の自然と笑みがこぼれる幸福感・こころのゆとりが得られ、そこからさまざまな知恵が伝承されることを忘れてはならない。
(近藤雅雄:平成28年3月2日掲載)

こころとからだの健康(13)目の病気の予防・対策に必要な栄養素と食品

 近年、スマホやコンピュータ、大画面テレビなどの急速な発展による生活環境の変化に伴って眼精疲労・ドライアイを自覚する人が増加すると共に白内障、緑内障、加齢黄斑変性などの失明に至る眼病が注目されるようになった。これら背景にはスマホやコンピュータの発展以外に高齢人口の増加と日常的なストレス、偏った食事、無理なダイエットなどによるビタミンやミネラル類の過不足など、栄養障害が考えられることから目の病気も生活習慣に関わる疾病と言える。

 目はこころとからだの健康維持に重要であり、目の病気は様々な行動の妨げとなるなど、日常生活への負の影響は計り知れない。疲れ目やかすみ目で悩んでいる人、スマホやパソコンなどで目を四六時中酷使している人や自動車やトラックのドライバー、飛行機のパイロットなどは一度自分の食生活を見直すことが大切である。普段の食事を意識して摂取する習慣を身に付けたい。食事で摂取できない時は視力回復のサプリメントや緑黄色野菜、果物などを積極的に摂りいれることも考えたい。

 世界の中でも日本人の視力低下は著しく、最近の調査では約83%の人がメガネかコンタクトを使用し、近視の低年齢化が問題となっている。目に関することわざは多数あるが、その中で「目は心の鏡」「目は人の眼(まなこ)」と言われるように、目はこころとからだの入力部位であり、こころとからだを映し出している。目は生体すべての感覚情報の約80%を占めると言われ、生体に入る情報は目に依存していると言える。

 人間において、視力が形成されるのは生まれてから後天的に徐々に発達し、5~7歳位までに完成すると言われている。したがって、この期間における目のケアーにはとくに十分に注意したい。また、目は12~13歳頃から老化が始まると言われている。生涯において目を大切にするこころを持って、目の健康に気を配り、食環境と同時にストレス解消の方法を自分なりに考え、美しい目を保持したいものである。

 本稿では目の病気の予防・対策に必要な栄養素・食品について調査を行った。論文の内容はⅠ.視覚と目の病気(1.視覚の性質、2.目の病気、3.失明の原因となる疾患)、Ⅱ.眼病の予防に良いとされる栄養素と食品(1.眼精疲労・ドライアイに良い栄養素、2.近視抑制に良い栄養素、3.白内障、加齢黄斑変性などに良い栄養素、4.抗酸化物質の機能、5.ブルーベリーは目が良くなる食べ物の代表)、Ⅲ.眼に良い栄養素(1.抗酸化物質、2.ビタミン類、3.ミネラル類、その他)からなる。
 内容詳細は以下のpdfを参照されたい。(近藤雅雄:平成28年2月8日掲載) こころとからだの健康(13)眼の病気の予防・対策に必要な栄養素

高齢期の健康に影響を与える成人期の栄養学

 成人期は就職、社会貢献、結婚、子育て、子どもの自立、親の介護など、生涯において様々な環境因子・ストレスによる影響が最も大きい激動期である。この時期は、生活が多忙になり不摂生や無理をし易く、食べすぎや飲みすぎ、不規則な食事時間、欠食、栄養素のアンバランス、運動不足、肥満などと併せて、生活習慣病が発症するなど、身体的にも社会的にも大変重要な時期であり、高齢期への健康に大きく影響を与える。したがって、健康寿命の延伸とQOLの向上を図るための方策を早めに考え、成人期の特徴、生活習慣を変える効果的な方法などについて栄養学的に理解することが大切である。

1.成人期の生理的特徴
 1)生理的変化と生活習慣の変化

2.成人期の栄養アセスメントと栄養ケア
 1)成人期の栄養の特徴
 2)成人の食事摂取基準
 3)生活習慣病の予防
 4)肥満とメタボリックシンドローム
 5)主な生活習慣病の一次予防

ここでは、上記の目次にしたがって執筆内容をpdfに掲載した。
 (近藤雅雄:平成28年1月15日執筆掲載) 高齢期の健康に影響を与える成人期の栄養

油脂の健康効果~話題の「こめ油」「クリル」「亜麻仁油」の比較

1.こめ油
原料:米糠
成分:米糠に特有の成分γ‐オリザノール(オリザノールA、オリザノールC)とオレイン酸、ビタミンE(α‐トコフェロール、α‐トコトリエノール)、ビタミンK、鉄などを含む。γオリザノールとはフェルラ酸とステロールとが縮合したエステル類の総称。
効果:以下のように多様な効果が知られている。
①自律神経調節作用:自律神経失調症の緩和に有効、自律神経のバランスを整え、肩こり、眼精疲労、腰痛、更年期に起こりやすい不定愁訴などの症状を改善する。
②皮膚の健康維持作用:皮膚の血行をよくするとともに、皮脂腺の機能を高め乾燥性の皮膚疾患を改善する。老化した角質を取り除き、皮膚の表面を膜で保護する。また、シミの原因となるメラニン色素の増殖を抑え、紫外線吸収作用があり、皮膚の酸化および老化を防ぐ。皮膚の血管を拡張し、血液循環を促進する。
③血中脂質改善効果:脂質代謝に関与し、コレステロールを低下させる。また、コレステロールの吸収・合成を抑制する効果が知られ、高コレステロール血症や動脈硬化症など脂質異常症の予防・治療薬に多く利用されている。
④生殖機能改善作用:無月経、卵巣機能障害、性腺刺激作用などの効果。
⑤抗酸化作用:ポリフェノール成分で、ビタミンEとともに抗酸化作用が知られ、脂質過酸化防止、リノール酸の体内作用の強化、ホルモンバランスの改善、脳や皮膚の老化防止などが知られている。
⑥その他、抗ストレス作用、成長促進やがん治療効果、心身症改善効果などが知られ、医薬品および化粧品としても利用されている。医薬品としての副作用は発疹・かゆみなどのアレルギー症状、眠気•嘔吐、吐き気•下痢、脱力感、倦怠感、また、0.1%未満であるが、めまいやふらつき、頭痛、便秘、食欲不振、腹痛、口内炎、動悸、むくみ、などの症状が報告されている。

2.クリル
原料:オキアミ類
成分:EPAとDHA
効果:オキアミから抽出されるクリルにはDHA、EPAを豊富に含む。DHAは脳内に存在する主要な多価不飽和脂肪酸であり、脳の発達と機能のために重要である。脳のシナプスに豊富に含まれ、ニューロンでのシグナル伝達に関与していることが示唆されている。記憶の要である大脳辺縁系の海馬にも多く含まれる。脳の代謝・血流改善作用として、①血管壁や赤血球の細胞膜を柔らかくする。②神経伝達物質の産生量を増やすことが知られている。また、ストレス耐性を強化する働きもあるという。注意欠陥多動性障害 (ADHD)の子どもに症状のわずかな改善が認められたという報告がある。 さらに抗酸化成分のアスタキサンチンが含まれ脂質過酸化防止に有用である。

アスタキサンチン
ビタミンEの約1000倍の抗酸化力とされ、自然界で最強の抗酸化物質との指摘がある。
主な効能は脂質の酸化防止、LDLコレステロールの低下、動脈硬化の予防・改善、糖尿病性白内障の進行抑制、ストレスなどによる皮膚の免疫能低下の抑制、紫外線による皮膚の酸化防止、炎症抑制、ビタミンAの生産、概日リズムの調節などが言われている。最近、脳血管性認知症やアルツハイマー病、糖尿病の合併症、白内障、加齢性黄斑変性症などの予防効果が期待できると注目されている。

3.亜麻仁油
原料:亜麻仁種子
成分:αリノレン酸
効果:オメガ3系脂肪酸の一種であるαリノレン酸は、体内でエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)に変換される。亜麻仁油にはα-リノレン酸がゴマの約100倍含まれ、脂質異常症患者の血中中性脂肪と超低比重リポタンパク質(VLDL)値を全般に低下させると言われている。
効果としては学習能力や記憶力の向上、認知症予防、アレルギー症状の緩和、血流改善、エストロゲン作用、便秘解消、高血圧、動脈硬化、心血管疾患、骨粗鬆症、糖尿病、がんなどの生活習慣病予防など多様な効果があると言われている。ドイツでは慢性の便秘、緩下剤誘発性結腸障害、過敏性腸症候群、腸炎、憩室炎での使用を承認している。 (参考文献:Wikipediaなど)(著者:近藤雅雄、平成26年11月23日)

成長・発達、加齢の栄養・生理学

 ヒトの生涯の各時期における生理学的特徴、頻度の高い疾患を把握し、栄養学的な諸問題を理解する。小児期では著しい成長・発達は生涯栄養学の基礎的問題として重要である。成人期は生活習慣が変動する時期であり、生活習慣病発症の予防として栄養・食生活管理が重要である。高齢期については、老化のメカニズムを理解し、高齢期の生理的・心理的変化からさまざまな体調の変動が起こる時期であり、それぞれの体調に合った最適な栄養ケアができるようにする。
 本稿では、ヒトの生涯における栄養と生理について下記の項目にしたがって概説したので、pdfを参照されたい。
Ⅰ.成長、発達、加齢の概念
 1.成長  2.発達  3.加齢
Ⅱ.成長・発達に伴う身体的・精神的変化と栄養
 1.身長、体重、体組成  2.消化・吸収  3.代謝  4.運動、知能、言語発達、精神発達、社会性  5.食生活、栄養状態
Ⅲ.加齢に伴う身体的・精神的変化と栄養
 1.臓器の構造と機能の変化  2.分子レベルの老化(テロメア、活性酸素による障害)  3.高齢者における疾患(病態、症候、治療)  4.高齢者の生理的特徴(予備力、適応能力)  5.高齢者の心理的特徴  6.高齢者における食事摂取の特徴  7.栄養状態の変化
(近藤雅雄:平成27年11月6日執筆掲載) 成長、発達、加齢の栄養・生理学27.11

こころとからだの健康(10)脳に良い食品、機能性食品とその成分

 脳は大脳(皮質、辺縁系、基底核)、間脳(視床、視床下部)、脳幹(中脳、橋、延髄)および小脳から構成され、心身(こころとからだの働き)の司令塔である。特に大脳皮質は感覚・運動の統合、意志、創造、思考、言語、理性、感情、記憶を司る人間としての最も重要な器官であり、その中でも前頭連合野は人間としての中枢とも言うべき、様々な重要な働きをし、哺乳動物の中では一番重たい。脳は骨格筋、肝臓に次いで基礎代謝量が高く、多くの栄養素を必要としているため、栄養の摂取バランスの異常や不足は脳の機能にダメージを与え、こころとからだに様々な影響を与える。その代表的なものとして、近年、アルツハイマー病やうつ病などの疾病が大きな問題となっている。2012年の世界保健機関の報告によると、認知症患者は毎年770万件増加し、その数は世界中で3,560万人と推定されている。これが2030年までに倍増、2050年までに3倍以上(1億人以上)になると予測されている。認知症には①アルツハイマー型、②脳血管性認知症、③レビー小体型認知症、④ピック病(前頭側頭型認知症)、⑤混合型認知症、⑥その他などがあるが、この内、70%近くがアルツハイマー病という。
 そこで、認知症やうつ病などの脳の障害を予防し、脳(こころとからだの司令塔)の働きをよくする食品および有効成分について文献調査を行い、こころとからだの健康に役立つ資料とした。 掲載した食品および機能性物質は以下の24食品、24物質であり、その詳細はpdfに掲載した。

1.脳(アンチエンジング)の活性化が期待される食品
 亜麻の種(亜麻仁油)、イチョウ葉、オリーブオイル、カワカワ、くるみ、ココア、コーヒー、魚、ザクロ、センテラ(ゴツコーラ、ブラーミ、ツボクサ)、SOD様作用食品、セイヨウオトギリソウ、セイヨウカノコソウ、ダークチョコレート、納豆、ニンニク、ビルベリー、ブルーベリー、ほうれん草、豆類、松葉、ムール貝、ヨヒンベ(ヨヒンビン)、緑茶の24食品。

2.脳に良いとされる機能性物質
 アスタキサンチン、アントシアニン、イソフラボン、カテキン、γ‐アミノ酪酸(GABA、ギャバ)、ギンコライド、グルタチオン、コエンザイムQ10、サポニン、ジメチルアミノエタノール、食物繊維(不溶性食物繊維、水溶性食物繊維)、タウリン、テアフラビン、テアニン、DHA、トリプトファン、ビフィズス菌、分岐鎖アミノ酸(BCAA)、フェルラ酸、ホスファチジルセリン、ポリフェノール、フラボノイド、メラトニン、レシチンの24物質。
 原稿は以下のpdfを参照されたい。(近藤雅雄:平成27年10月6日掲載) こころとからだの健康(10)脳に良い食品、機能性食品

食物繊維

 人の消化酵素で消化されない炭水化物の難消化成分で、セルロース、リグニンなどの不溶性食物繊維と粘質多糖類などの水溶性食物繊維に大別される。

1)不溶性食物繊維
 ①咀嚼回数が増加し、唾液の分泌が亢進するため、早食い防止や満腹感を得やすく、過食や肥満の防止。②消化管内で水分を吸収・膨張し腸の蠕動運動を促進するため、便秘の予防・改善。③腸内の有害物質の排出を促進し、大腸がん発生予防。などの効果が知られている。

2)水溶性食物繊維
 消化管内で水分を含むゲル状になり、①糖分の吸収速度を遅らせ、食後の血糖値の急激な上昇とインスリンの急速な消費を防ぎ、糖尿病の予防効果がある。②コレステロールの吸収抑制とコレステロール由来の胆汁酸排出を促進するため、血中コレステロールが減少し動脈硬化を予防する。③脳に働きかけて食欲を抑えるようにコントロールする。などの効果があるという。

栄養学と医師

 栄養学の基本を学ぶことによって生命、生体の恒常性(ホメオスタシス)、生体リズムおよび動的平衡の重要性を理解できるようになります。そして、栄養の過不足状態における体内代謝への影響や遺伝学の観点から生活習慣病と栄養現象との相互作用などを正しく理解することによって、保健・医療・福祉・文化(食文化)・環境(食環境)との相互関連性を理解し、人間力を身に付けるようになります。
 栄養は生命維持に不可欠な現象であることから、栄養学はその基本である栄養の意義、健康の保持・増進、疾病の予防・治療における栄養の役割、エネルギーと栄養素の代謝とその生理的意義など、ヒトの生涯にわたって健全な健康学の在り方を追究します。そのためには生命維持に必須な各種栄養素の生理学的作用、栄養素の体内相互変換やその機能、栄養と健康および疾患との関わり、栄養と食生活の関係、体構成成分としてのエネルギー源の役割、摂食行動から消化・吸収、栄養素の体内運搬など、これら栄養学の基本的概念を疫学統計、理学、医学、社会科学などを駆使して、年齢別、性別、個別・集団別、運動と生活活動別、各種疾病と栄養との関連を追究し、人間のQOL向上と健康寿命の延伸を図るべく、総合的・学際的に教育・研究を行うことを使命としています。
 このような教育・研究を学修してきた管理栄養士が健康、医療などヒトの生命に関わる仕事に携わる場合には、栄養学に対する正しい幅広い知識と技術を駆使して病院、学校、企業、その他社会的な様々な場面で人々の健康の保持・増進、疾病の予防や治療・予後などの指導・管理にあたってほしいと願います。

 しかしながら、近年、少数ですが栄養学を学修していない医師が栄養・食事に関して自ら様々なメディアを介して、あるいは医師が書いた書物が氾濫し、自説を説く人が多くなりました。それらの中には①栄養学の基本を覆すものが多くみられる。②栄養学的な根拠のない個人的な感想が多く、危険なものもたくさん見られる。また、③統計学的に有意差があるからと言って、あたかも全人的に科学的根拠があるように指導する。さらに、④動物実験の結果をそのまま人に当てはめようとする。医師は栄養学については素人同然です。その医師が自分の体験・感情から広く一般向けに栄養学的な根拠なしにマスメディアに向かって自説を公表することは無責任と言えます。その場合は医師という肩書を外して公表すべきです。医師の使命は病気の治療です。
 一般人からすれば、医師ということで、その言動を丸呑みにし、それを行動に移そうとします。とくに医師の言葉は重たく、責任がありますので、話題性を狙った軽はずみな言動や著作は控えるべきです。医者は医師としての自覚を十分に持ち、その責任を全うしてほしいものです。

 現在、病院におけるチーム医療が求められていますが、医師主体の我が国にあっては、医師が医療のリーダーとなり、すべて医師の指導の下に進められているのが現状です。また患者にとっても、医師は「お医者様」と言われるように尊敬され、絶対的な立場にあります。しかしながら、本来のチーム医療の考えからすれば、チーム医療に携わるスタッフ全員(医師、看護師、薬剤師、管理栄養士など)が十分に意思の疎通を図り、共通理解のもとに治療を進めることが大切と思います。一方、管理栄養士などの栄養の専門家は十分に誇りを持って、当該専門領域のさらなる向上のための勉学に日々努めてほしいと思います。
 今後は、医療に携わる医師以外の看護師、管理栄養士などの国家資格者の待遇と責任をさらに強化し、少なくとも医師と同等の発言力を高め、本来の姿であるチーム医療の進展を目指してほしいと思います。また、国民の保健・健康、医療、福祉にかかわる行政において、医師が万能であるといった時代はもう終わりにしたいものです。(近藤雅雄:平成27年9月20日掲載)

こころとからだの健康(8)肥満対策

 肥満とは単に体重が多いということではなく、脂肪量(中性脂肪)が過剰に蓄積した状態をいい、脂肪が増量している組織および場所(分布)によって皮下脂肪型(下半身型、洋梨型)肥満と内臓脂肪型(上半身型、りんご型)肥満に分類されます。生活習慣病との関わりがあるのは内臓脂肪型肥満です。
 肥満発症の原因は①食べ過ぎ、②誤った食事パターン、③運動不足、④遺伝、⑤熱産生機能障害などが挙げられますが、生活習慣による影響が多いことが分かっています。

1.肥満のメカニズム
 肥満のメカニズムの研究は1994~1995年に肥満の遺伝子およびその受容体遺伝子などが相次いで発見され、漸く肥満のメカニズムの概要がわかってきました。ヒトの体重は身長に対して設定されたように遺伝子によって食欲や消費エネルギーが調節されています。その調節には主に①レプチン(白色脂肪細胞から内分泌される蛋白質で摂食中枢を抑制する。すなわち、もう食べなくても良いという信号を脳に伝える。レプチンとはギリシャ語で“やせ”の意味です)、②レプチン受容体(視床下部の摂食中枢に存在する)、③β3アドレナリン受容体(エネルギー倹約遺伝子)、④脱共役蛋白(UCPファミリー;ミトコンドリア内膜に局在する蛋白で、ATP生産を伴わずに熱産生を行う)などが関与し、これらの遺伝子の異常と様々な環境要因が肥満を発症させる原因となります(肥満に関連した遺伝子は約70種類存在するという)。
 近年、急速に肥満者が増加(とくに小児の肥満が多い)し、社会問題となっていますが、その原因は過食や運動不足などが考えられます。

2.小児肥満の対策
 小児肥満の問題点として、①成人肥満への移行、②生活習慣病の発現、③いじめの対象となるなどがありますが、これらの対策として、こころの教育が最も大切です。小児肥満は、①家族、学校での教育(共育)、育児(育自)、②食生活改善、③糖質、脂質の摂取量を減らす、④積極的に運動を奨励する、⑤ダイエットの自重などによって予防することができます。

3.食事と健康
 こころとからだの健康を堅持していくために最も重要なのが食です、日頃から食に対する考え、興味を持ち、栄養についての正しい知識を身に付けたいものです。
 栄養は生命を維持するために必須な行為であり、その目的は生体機能の調節、生体組織の修復・再生、体温生産およびエネルギーの獲得などです。栄養素の摂取が十分であるかないかは、年齢に適した発育(身長・体重)、日常作業に十分見合った体力(作業能力)、病気に対しての抵抗力(免疫力)、などによって栄養状態が判定されます。
 これらの栄養状態が適正であるためには栄養素の過不足がないようにバランスよく食事摂取することが重要です。特に、食事は日常の生活習慣に欠かせない現象であり、生活習慣と深くかかわる病気の予防や改善のためには、毎日の食生活、食事に気を配ることが重要です。

4.肥満を誘発する原因が氾濫
 近年、24時間営業のコンビニエンスストアで外国の食材、加工食品、健康食品が氾濫し、気安く購入できることから需要が急増しています。しかし、これらの食品には一時のファッション的な、科学的裏づけのないものが多く出回っています。また、外食産業が発展し、今や欧米と同じように日本人の食生活並びに健康管理は個人に委ねる時代となりましたが、その結果、日本人の肥満人口が増加し、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病が蔓延することとなりました。

5.太らないための10か条
 肥満は①生活習慣病に直結する、②免疫力が低下する、③動きが鈍くなる、④息切れがするようになる、⑤やたらに汗をかく、⑥寿命が短くなる等、デメリットが多く、メリットがあまりありません。私も、青年期に56㎏であった体重が、中年期には過食と運動不足によって70kgと過体重となり、様々な生活習慣病を発症すると共に、先に挙げたデメリットが出てきました。そこで、健康について意識するようになり、これまでの生活習慣、特に食に対する意識を変え、日本人本来の日本型食生活に変えてから体重が減少し、現在は青年期の56㎏に戻すことに成功すると同時に生活習慣病もなくなりました。以下に、私の経験に基づき作成した太らないための条件を挙げます。

太らないための10か条
1)自分の体質を知る
2)1日3食、時間をかけて楽しくいただく
3)食塩、脂肪類は控えめに
4)刺激物、甘物、アルコール類などの嗜好品は控えめに
5)毎日野菜、海産物を多く食べる
6)寝る2~3時間前までに食事を終える
7)1日30分以上の運動(有酸素運動、徒歩1万歩)を行う
8)からだをこまめに動かす
9)体重計に乗る習慣をつける
10)入浴中は腹式呼吸を行い、ストレス解消を図る

6.健康度に対する健康指数
 標準体重は身長(m)×身長(m)×22によって、また、肥満度(BMI:体格指数)は体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)によって求められます。評価は、BMI 18.5~25が正常で、18.5以下がやせ、25以上が肥満です。やせすぎの場合も病気の罹患率が高く、BMI=22が最も病気の罹患率が低いと言われています。
(近藤雅雄:平成27年8月30日掲載)