現代人の免疫能は低下し、特に高齢者の免疫能は著しく低下している。その主な原因として、急速な食生活の変化、肥満、加齢、ストレスなど、各種酸化ストレスによる影響が示唆されている。この活性酸素が原因で起こる各種疾病の防御を目的としてフラボノイド類の摂取が注目されている。フラボノイド類には約5-7,000種ともいわれる多数の物質が報告され、その構造は極めて似ているが、その抗酸化機能は各種異なる。これらフラボノイドの標準統一分析方法は未だになく、各々の抗酸化物質の抗酸化能についてもはっきりしていない。
そこで、約30種類の抗酸化物質についてその作用を検討すると同時に、世界に先駆けてUV検出器とHPLC分析による各種フラボノイドの一斉同時自動分析法の開発を行った。さらに、各種野菜・果物のフラボノイドを分画定量し、その含有量およびペンタキープ(ALA肥料、コスモ石油(株))投与による影響を検討した。その結果、これまでに多くの抗酸化物質の中で、ルテオリンが細胞内・外での活性酸素消去能が最も高いことを証明し、さらに、ALAを投与し栽培した植物のフラボノイドおよびミネラル量に及ぼす影響について検討を行った。その結果、ルテオリン(図)をはじめフラボノイド類が平均約10倍増量することを見出した。
PDF:ALA-ポリフェノール
二つの脳、右脳と左脳
脳は大脳(皮質、辺縁系、基底核)、間脳(視床、視床下部)、脳幹(中脳、橋、延髄)、小脳からなりますが、人では他の哺乳動物と異なって大脳皮質が大きく発達し、知的な活動もコントロールできるようになりました。この皮質については、①全ての人が同じ数の神経細胞(約140億個)を持つ。②心身(こころとからだの働き)の司令塔である。③感覚、運動の統合、意志、創造、思考、言語、感情の中心となる。④成長に従って発達し、ゆっくり退化する。⑤一日、週、月、四季、摂食・消化、神経・ホルモンの各リズムが存在する。⑥心身の疲労を回復し、記憶に役立つ睡眠のリズムが存在する。⑦男と女との違い等、脳の中で最も重要ですが、その中で人として最も大切なのが、前頭連合野です。この部位は思考、言語、理解、理性、感性と8つの知性など人間としてのこころの働き(精神活動)の中心となっているので、人としての「こころの中枢」と言えます。
PDF:右脳と左脳
内リンパ水腫(蝸牛型メニエール病)の治療評価法の新規作成と治療体験
近年、蝸牛型メニエール病(急性低音障害型感音性難聴, ALHL)の発症が増加している。本症は「内リンパ水腫」を原因とするのでメニエール病の不全型ともいえる。症状は激しい回転性のめまいはなく、低音が聞こえにくい難聴、耳鳴り、耳閉塞感を主とし、状態がよくなっても再発を繰り返すのが特徴で、メニエール病に移行することが多い。病気が完成すると難治性となるため、早期の治療が重要である。しかしながら、現代の医療では治療法は確立していない。一般的によく言われているのが、安静の確保とストレスを取り除くこと。そして、基本的な薬物療法を行うことである。薬物療法の第一選択は強い浸透圧による脱水力で内リンパ水腫を軽減させるイソソルビドなどの利尿剤が用いられる。内耳の血液循環改善薬が使われることも多い。また、炎症を抑えるためにステロイド剤や精神安定剤、ビタミンB12製剤も使われることがある。
本論文では、筆者自らALHLを発症したのを契機に、治療に対する評価法を新たに作成し、科学的に原因究明と治療の経過を追及したので報告する。また、本疾患を体験して、大学病院の耳鼻咽喉科における医療の現状についても報告した。(2022年8月1日執筆)
運動とミネラル:激運動による血液中モリブデン量の減少
運動は動物にとって生命を維持する上で不可欠な仕事であるが、激しい運動(競技用スポーツ)の場合はそれなりの管理が必要となる。そこで、日常的に激しい運動を行っている男子大学駅伝選手および女子高校バスケットボール選手の体内ミネラルの影響について、とくに汗や代謝によって失われる微量元素の血液中の変動を検討した。
その結果、選手群は男女共に日常的に運動をしていない対照群に比してモリブデン(Mo)量の著明な減少を世界に先駆けて見出した。また、男子選手群では対照群に比してマンガン(Mn), ガリウム(Ga), スズ(Sn)の有意な減少(p<0.05)とニッケル(Ni), カドミウム(Cd)の増加傾向を見出した。女子選手群では亜鉛(Zn)が対照群に比して有意に減少(p<0.05)したが、男子では有意差は見られなかった。
以上の結果、激しいスポーツ活動が血液中のミネラル量に与える影響は男女で異なることがわかった。しかし、Moについては男女ともに選手群で著明に減少しており、激運動によってMo量が減少することが明らかとなった。PDF:運動とミネラル
その結果、選手群は男女共に日常的に運動をしていない対照群に比してモリブデン(Mo)量の著明な減少を世界に先駆けて見出した。また、男子選手群では対照群に比してマンガン(Mn), ガリウム(Ga), スズ(Sn)の有意な減少(p<0.05)とニッケル(Ni), カドミウム(Cd)の増加傾向を見出した。女子選手群では亜鉛(Zn)が対照群に比して有意に減少(p<0.05)したが、男子では有意差は見られなかった。
以上の結果、激しいスポーツ活動が血液中のミネラル量に与える影響は男女で異なることがわかった。しかし、Moについては男女ともに選手群で著明に減少しており、激運動によってMo量が減少することが明らかとなった。PDF:運動とミネラル
高齢者の健康寿命の延伸を目指して~エイジングの機序とアンチエイジング
健康で生きられる期間を「健康寿命」と言いますが、2016年の日本人の健康寿命は男性71.14歳(2020年の平均寿命は81.64歳)、女性74.79歳(同87.74歳)です。女性の方が男性よりも約6年長生きですが、不健康状態が約2.5年、すなわち介護を要する期間が長い。そして、共に約10年以上、不健康状態が見られます。この原因の一つが酸化ストレスですので、高齢者の健康寿命の延伸とQOL(生活の質)の向上を図るためには、改めて健康増進の三原則「栄養・運動・休養」を見直すことが大切です。そこで、アンチエイジングを目的に、エイジング(加齢、老化)に影響を与える要因を明らかにし、それを除去する方法について検討しました。PDF:加齢の病態生理~アンチエイジング2
紅茶による胃がんと風邪の予防
紅茶の健康効果は沢山ありますが、2つを挙げました。
1.胃がんの予防
胃がん発症の一次予防としてはピロリ菌除去と塩分を控えることが大切ですが、紅茶飲用による予防も可能かもしれません。
2.風邪の予防
紅茶(発酵茶)には緑茶に含まれる抗酸化物「カテキン」が発酵過程でテアフラビン(紅茶ポリフェノール)となり、これがインフルエンザウイルスに対して効果があると言われています。紅茶でうがいをしてはどうでしょうか。風邪ウイルスの感染予防として期待できかもしれません。現代のコロナ禍時代は口腔ケアの時代とも言えますね。
いずれにしてもこれらの詳細は下記のPDFを参照してください。 PDF:紅茶と健康
1.胃がんの予防
胃がん発症の一次予防としてはピロリ菌除去と塩分を控えることが大切ですが、紅茶飲用による予防も可能かもしれません。
2.風邪の予防
紅茶(発酵茶)には緑茶に含まれる抗酸化物「カテキン」が発酵過程でテアフラビン(紅茶ポリフェノール)となり、これがインフルエンザウイルスに対して効果があると言われています。紅茶でうがいをしてはどうでしょうか。風邪ウイルスの感染予防として期待できかもしれません。現代のコロナ禍時代は口腔ケアの時代とも言えますね。
いずれにしてもこれらの詳細は下記のPDFを参照してください。 PDF:紅茶と健康
「こころとからだの健康」第2版出版
地球規模的に「こころとからだの健康」が問われています。「こころの健康」では海外における人と人との争い、国と国との争い、国内ではいじめ、児童虐待、車社会におけるいわゆる「あおり」、京都アニメーション放火事件等々、非常識な事案が続いています。
また、「からだの健康」では生活習慣病の増加をはじめ、遺伝子編集、地球環境問題など普通でないことが平然と行われています。
こころとからだは「心身一如」であり、このどちらかが障害されると、心と身体のバランスが崩れさまざまな障害となって現われてきます。また、2019年11~12月以降に中国武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染者および死亡者数の増加はこころとからだの両方に深刻な影響を与え、2020年3月11日に漸くWHOはパンデミック宣言を致しました。このウイルスによってすべての価値が破壊されようとしています。人類の英知によって、何としても「いのちとこころとからだの健康」は守らなければなりません。
人間形成の基盤を成すこころの教育とは、さまざまな体験や体感を通して、生きるこころと生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころ、前向きなこころといった人としての基礎を育むことが大切です。そして、人間を科学(健康、病気、福祉、コミュニケーションなど)できる人材を育てる。さらに、社会が期待する、①前に踏み出す力、②考え抜く力、③チームで働く力を持った人材を育てることが大切です。
そのためには、自分を取り巻く環境に感謝するこころを持つことは勿論、人間社会において基本的である相手の立場になって(他のすべての生物に対しても共通しています。)、行動することであり、自分自身のQOL(生活の質・人生の質)をいかに高めるかを考えることが大切です。
ヒトを取り巻くさまざまな環境要因と共存していることを常に念頭に入れた、地域・国家・地球・宇宙を考慮した包括的・学際的な正しい総合的・人文・社会科学的知識が必要であると同時に、このような社会の変遷に対して、常に謙虚に歴史・現状および将来を見据え、現状において最も重要な問題を正しく捕らえた科学的、精神的教育を行うことが必要です。そのための基本的教養を家庭・学校・地域・社会で学ぶことが大切です。
基本的教養を身につけることは、生きる術として大切な善悪の判断、感謝し奉仕するといった素直なこころ、さらに、前向きに生活技術の工夫を行う知恵と未来を夢見るこころを持つことです。
この地球上に生まれてきた人間は、この地球を支配する管理者として、この美しい地球を次代に引き継ぐ責任があります。それは人としての義務です。地球環境の保全、持続的な平和を堅持していくために、「こころとからだの健康」が最も大切であることを認識し・未来図を描いて行ってほしいと願います。
本書では、「こころとからだの健康」と題して、人間教育の四原則である徳育、知育、体育、食育および環境問題などについて、教育・研究・運営の経験をもとに執筆しました。(近藤雅雄著 2020年3月3日発行、総ページ数140p,A4)

目 次
はじめに
1.人間として生きる力を育てる
2.遊びから学ぶ幼児教育、子育て習慣および期待される人材
3.社会の変貌と大学における教育のあり方
4.人を育てる~大学のリーダーに求められる37の習慣
5.研究成果は人類の宝、特に保健・医療・福祉に関わる研究の成果はすべて公開する義務がある
6.健常人と難病患者
7.「ポルフィリン症」難病指定への道
8.研究に懸ける思い~指定難病「ポルフィリン症」診断法の開発、患者発見に対する熱い思い
(1)ポルフィリン症専門外来開設への熱き思い
(2)研究には投資が必要~研究すればするほど自己負担が増加
9.正しい栄養素の摂取と言葉
10.健全な食生活をめざして~現代日本人の食生活を考える
11.食文化の変遷と食育~日本型食生活による健康寿命の延伸
12.食生活と栄養と食育
13.栄養学と医師
14.「こころとからだの健康」12の習慣
15.男と女の寿命の差
16.右脳と左脳を知る
17.摂食障害
18.肥満対策
19.ストレスと心身の障害
20.治癒と治療
21.生体防御機構と免疫システム
22.中高年齢者の免疫強化によるアンチエイジング
23.5-アミノレブリン酸の多様な生物機能
24.ホメオスタシスと生体リズム
25.目の病気の予防・対策に必要な栄養素と食品
26.脳を元気にする食と栄養素
27.血液型と病気
28.人間と地球環境
29.皮膚とこころ
30.幸せホルモン「オキシトシン」作用の多様性
おわりに「君に贈る言葉」
付録 リヴ物語
国立公衆衛生院
ロックフェラー大学
日本の未来年表と医療
また、「からだの健康」では生活習慣病の増加をはじめ、遺伝子編集、地球環境問題など普通でないことが平然と行われています。
こころとからだは「心身一如」であり、このどちらかが障害されると、心と身体のバランスが崩れさまざまな障害となって現われてきます。また、2019年11~12月以降に中国武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染者および死亡者数の増加はこころとからだの両方に深刻な影響を与え、2020年3月11日に漸くWHOはパンデミック宣言を致しました。このウイルスによってすべての価値が破壊されようとしています。人類の英知によって、何としても「いのちとこころとからだの健康」は守らなければなりません。

人間形成の基盤を成すこころの教育とは、さまざまな体験や体感を通して、生きるこころと生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころ、前向きなこころといった人としての基礎を育むことが大切です。そして、人間を科学(健康、病気、福祉、コミュニケーションなど)できる人材を育てる。さらに、社会が期待する、①前に踏み出す力、②考え抜く力、③チームで働く力を持った人材を育てることが大切です。
そのためには、自分を取り巻く環境に感謝するこころを持つことは勿論、人間社会において基本的である相手の立場になって(他のすべての生物に対しても共通しています。)、行動することであり、自分自身のQOL(生活の質・人生の質)をいかに高めるかを考えることが大切です。
ヒトを取り巻くさまざまな環境要因と共存していることを常に念頭に入れた、地域・国家・地球・宇宙を考慮した包括的・学際的な正しい総合的・人文・社会科学的知識が必要であると同時に、このような社会の変遷に対して、常に謙虚に歴史・現状および将来を見据え、現状において最も重要な問題を正しく捕らえた科学的、精神的教育を行うことが必要です。そのための基本的教養を家庭・学校・地域・社会で学ぶことが大切です。
基本的教養を身につけることは、生きる術として大切な善悪の判断、感謝し奉仕するといった素直なこころ、さらに、前向きに生活技術の工夫を行う知恵と未来を夢見るこころを持つことです。
この地球上に生まれてきた人間は、この地球を支配する管理者として、この美しい地球を次代に引き継ぐ責任があります。それは人としての義務です。地球環境の保全、持続的な平和を堅持していくために、「こころとからだの健康」が最も大切であることを認識し・未来図を描いて行ってほしいと願います。
本書では、「こころとからだの健康」と題して、人間教育の四原則である徳育、知育、体育、食育および環境問題などについて、教育・研究・運営の経験をもとに執筆しました。(近藤雅雄著 2020年3月3日発行、総ページ数140p,A4)

目 次
はじめに
1.人間として生きる力を育てる
2.遊びから学ぶ幼児教育、子育て習慣および期待される人材
3.社会の変貌と大学における教育のあり方
4.人を育てる~大学のリーダーに求められる37の習慣
5.研究成果は人類の宝、特に保健・医療・福祉に関わる研究の成果はすべて公開する義務がある
6.健常人と難病患者
7.「ポルフィリン症」難病指定への道
8.研究に懸ける思い~指定難病「ポルフィリン症」診断法の開発、患者発見に対する熱い思い
(1)ポルフィリン症専門外来開設への熱き思い
(2)研究には投資が必要~研究すればするほど自己負担が増加
9.正しい栄養素の摂取と言葉
10.健全な食生活をめざして~現代日本人の食生活を考える
11.食文化の変遷と食育~日本型食生活による健康寿命の延伸
12.食生活と栄養と食育
13.栄養学と医師
14.「こころとからだの健康」12の習慣
15.男と女の寿命の差
16.右脳と左脳を知る
17.摂食障害
18.肥満対策
19.ストレスと心身の障害
20.治癒と治療
21.生体防御機構と免疫システム
22.中高年齢者の免疫強化によるアンチエイジング
23.5-アミノレブリン酸の多様な生物機能
24.ホメオスタシスと生体リズム
25.目の病気の予防・対策に必要な栄養素と食品
26.脳を元気にする食と栄養素
27.血液型と病気
28.人間と地球環境
29.皮膚とこころ
30.幸せホルモン「オキシトシン」作用の多様性
おわりに「君に贈る言葉」
付録 リヴ物語
国立公衆衛生院
ロックフェラー大学
日本の未来年表と医療
生活習慣病予防対策の簡単レシピの1例
生活習慣病7疾患の予防に対する最新の食生活話題について紹介した。
1.がん予防
みかんの皮を熱湯消毒し、天日干しで数日間乾燥させる。その後、粉砕して食する。精油のリモネン、フラボノイドのヘスペリジン、カロテノイドのβ-クリプトキサンチン、水溶性食物繊維のペクチン類など作用メカニズムの異なる様々ながん予防物質が見つかっている。
2.認知症予防
カマンベールチーズ(白いカビ様の部分)にオレイン酸アミド、デヒドロエルゴステロールが含まれ、認知症の原因であるβアミロイドを減らす。より効果的なのはカマンベールチーズに赤ワインを2~3杯程度飲むのが良い。または、ビールの苦み成分、ホップ由来のもので、イソα酸が肥満抑制効果、発がん抑制効果、骨密度低下抑制効果、アルツハイマー病予防効果があることが報告されている。
3.心臓病
LDL-Cの減少作用→さばの水煮缶(マルハ)にEPA(1.87g/缶)含まれ、1g/1日、1缶/1日。EPAは熱に弱いので、サラダなどで摂取する。大根(イソチアシネート)、たまねぎ(イソアリイン:涙を出す成分)と一緒に摂取するとより効果的。
4.便秘
食物繊維の1日の必要量:男性20g、女性18gであるが、必要量を満たしてる人は少ない。そこで、100g当たりの食物繊維の含有量多い レタス 1.1g、ごぼう 5.7g、干し柿14g(柿1.6g)にオリーブオイル(オレイン酸含む)をかけ、1日2回、朝と夕方摂取すると良い。野菜としての必要量は一日350gとなる。
5.高血圧(1/3人)
血管収縮による高血圧対策として、抗酸化物質ポリフェノールを摂取する。100g当たりのポリフェノール量 りんご220mg、赤ワイン180mg、チョコレート840mg。72%以上のカカオが含まれているチョコレートを1日25g摂取する。また、合谷を指圧すると良い。
6.花粉症
花粉症のIgE抗体を減少させる食材。れんこん(タンニン、ムチン含む)含まれ、40g/1日皮ごと輪切りや細かくしてポタージュスープなどで摂取する。2週間で効果があり、また、レンコンをすって綿棒で鼻に塗付しても効果あり。果実じゃばら(邪払;スーパーフラボノイド、ナリルチンが有効成分)や杉茶(主成分は杉葉精油)も効果がある。
7.糖尿病(Ⅱ型95%、1/5人)
トマト(赤い色素リコピン(抗酸化物質)が果肉に含まれる)は血糖値を下げ、トマトをジュースにして摂取する。オリーブオイルをさじ1杯加え、レンジで温めて飲むと4.5倍リコピンの吸収率が高まる。血糖降下剤と同じ効果がある。160㎎→110㎎に低下する。
(掲載日:2019年4月2日、近藤雅雄)
1.がん予防
みかんの皮を熱湯消毒し、天日干しで数日間乾燥させる。その後、粉砕して食する。精油のリモネン、フラボノイドのヘスペリジン、カロテノイドのβ-クリプトキサンチン、水溶性食物繊維のペクチン類など作用メカニズムの異なる様々ながん予防物質が見つかっている。
2.認知症予防
カマンベールチーズ(白いカビ様の部分)にオレイン酸アミド、デヒドロエルゴステロールが含まれ、認知症の原因であるβアミロイドを減らす。より効果的なのはカマンベールチーズに赤ワインを2~3杯程度飲むのが良い。または、ビールの苦み成分、ホップ由来のもので、イソα酸が肥満抑制効果、発がん抑制効果、骨密度低下抑制効果、アルツハイマー病予防効果があることが報告されている。
3.心臓病
LDL-Cの減少作用→さばの水煮缶(マルハ)にEPA(1.87g/缶)含まれ、1g/1日、1缶/1日。EPAは熱に弱いので、サラダなどで摂取する。大根(イソチアシネート)、たまねぎ(イソアリイン:涙を出す成分)と一緒に摂取するとより効果的。
4.便秘
食物繊維の1日の必要量:男性20g、女性18gであるが、必要量を満たしてる人は少ない。そこで、100g当たりの食物繊維の含有量多い レタス 1.1g、ごぼう 5.7g、干し柿14g(柿1.6g)にオリーブオイル(オレイン酸含む)をかけ、1日2回、朝と夕方摂取すると良い。野菜としての必要量は一日350gとなる。
5.高血圧(1/3人)
血管収縮による高血圧対策として、抗酸化物質ポリフェノールを摂取する。100g当たりのポリフェノール量 りんご220mg、赤ワイン180mg、チョコレート840mg。72%以上のカカオが含まれているチョコレートを1日25g摂取する。また、合谷を指圧すると良い。
6.花粉症
花粉症のIgE抗体を減少させる食材。れんこん(タンニン、ムチン含む)含まれ、40g/1日皮ごと輪切りや細かくしてポタージュスープなどで摂取する。2週間で効果があり、また、レンコンをすって綿棒で鼻に塗付しても効果あり。果実じゃばら(邪払;スーパーフラボノイド、ナリルチンが有効成分)や杉茶(主成分は杉葉精油)も効果がある。
7.糖尿病(Ⅱ型95%、1/5人)
トマト(赤い色素リコピン(抗酸化物質)が果肉に含まれる)は血糖値を下げ、トマトをジュースにして摂取する。オリーブオイルをさじ1杯加え、レンジで温めて飲むと4.5倍リコピンの吸収率が高まる。血糖降下剤と同じ効果がある。160㎎→110㎎に低下する。
(掲載日:2019年4月2日、近藤雅雄)
こころとからだの健康(17)皮膚とこころ
東洋医学において皮膚は最も重要な器官である。皮膚の生理作用は保護作用、感覚作用、体温調節作用、吸収作用、分泌・排泄作用、呼吸作用などが知られているが、近年の分子生物学の発展によって、内分泌作用の発見など新たな展開を迎えている。
近年、皮膚のケラチノサイトがオキシトシンなどのホルモンを生産・内分泌し、他の細胞にいろいろ働きかけていることや様々なホルモンに皮膚が応答することが相次いで報告された。すなわち、グルタミン酸やγアミノ酪酸(GABA)、アセチルコリンやドーパミン、アドレナリンなどの生体物質にケラチノサイトが反応すること。さらに、記憶や学習に関与する脳の海馬にNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)グルタミン酸受容体が局在し、これが表皮でも見出されたこと。これらの結果から、皮膚はこれまでの生体情報連絡系である神経‐内分泌‐免疫の三大システムに皮膚が加わり、「皮膚と脳」「皮膚と免疫」「皮膚とこころとからだの健康」など、生体機能との関連性に興味が持たれる。
近藤 雅雄(東京都市大学)平成31年4月2日掲載
以下のPDF参照
PDF:こころとからだの健康(17)皮膚とこころ
近年、皮膚のケラチノサイトがオキシトシンなどのホルモンを生産・内分泌し、他の細胞にいろいろ働きかけていることや様々なホルモンに皮膚が応答することが相次いで報告された。すなわち、グルタミン酸やγアミノ酪酸(GABA)、アセチルコリンやドーパミン、アドレナリンなどの生体物質にケラチノサイトが反応すること。さらに、記憶や学習に関与する脳の海馬にNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)グルタミン酸受容体が局在し、これが表皮でも見出されたこと。これらの結果から、皮膚はこれまでの生体情報連絡系である神経‐内分泌‐免疫の三大システムに皮膚が加わり、「皮膚と脳」「皮膚と免疫」「皮膚とこころとからだの健康」など、生体機能との関連性に興味が持たれる。
近藤 雅雄(東京都市大学)平成31年4月2日掲載
以下のPDF参照
PDF:こころとからだの健康(17)皮膚とこころ
こころとからだの健康(16)血液型と病気
かつて、血液型といえば几帳面なA型、自由奔放なB型、指導力のあるO型、天才肌のAB型など、また、大脳の右脳と左脳との関係ではA型は左脳、B型は右脳、AB型は左右全体、O型は左脳または右脳の発達が各々優れているなどと言った科学的根拠のない「性格診断」や「占い」が流行った。
しかし、近年、分子生物学の急速な進展によってABO式血液型と病気の関係についての報告が多くみられるようになった。例えば、O型は胃がんや膵がんになりにくい。前立腺がんの再発率が一番低い。心筋梗塞になりにくい。認知症になりにくい。糖尿病になりにくいなど。また、ノロウイルスの一種であるノーウォークウイルスに感染しないのはB型で、スノーマウンテンウイルスに感染しないのはO型である。貧血になりにくいのはB型、AB型。とくにB型女性はなりにくい。肺塞栓症(エコノミークラス症候群)はO型が一番低い。牛肉アレルギー患者の血液型はA型かO型で、B型、AB型の人は罹らない。などの報告が相次いで出てきている。
今後、血液型による治療法の違いやこころとからだの健康との関連性などの報告が出てくることが推測されるが、これらの結果に対しては個人差や生活習慣・環境などの違いもあり、さらに基礎的研究および疫学調査による統計学的研究等による更なる科学的根拠が必要であることは言うまでもない。これら血液型に関する最新の話題をPDFに纏めた。(近藤雅雄:2018年12月6日掲載)PDF:こころとからだの健康(16) 血液型
しかし、近年、分子生物学の急速な進展によってABO式血液型と病気の関係についての報告が多くみられるようになった。例えば、O型は胃がんや膵がんになりにくい。前立腺がんの再発率が一番低い。心筋梗塞になりにくい。認知症になりにくい。糖尿病になりにくいなど。また、ノロウイルスの一種であるノーウォークウイルスに感染しないのはB型で、スノーマウンテンウイルスに感染しないのはO型である。貧血になりにくいのはB型、AB型。とくにB型女性はなりにくい。肺塞栓症(エコノミークラス症候群)はO型が一番低い。牛肉アレルギー患者の血液型はA型かO型で、B型、AB型の人は罹らない。などの報告が相次いで出てきている。
今後、血液型による治療法の違いやこころとからだの健康との関連性などの報告が出てくることが推測されるが、これらの結果に対しては個人差や生活習慣・環境などの違いもあり、さらに基礎的研究および疫学調査による統計学的研究等による更なる科学的根拠が必要であることは言うまでもない。これら血液型に関する最新の話題をPDFに纏めた。(近藤雅雄:2018年12月6日掲載)PDF:こころとからだの健康(16) 血液型
必須微量元素モリブデン(Mo)の生体機能に関する調査研究
激しいスポーツ活動によって男女ともに血中のモリブデン濃度が低下することを報告した(2016年8月25日掲載)。すなわち、モリブデンの血中濃度の平均値は男子大学駅伝選手群が0.00002ppm(対照群0.047)、バスケットボール高校生女子選手群が0.009ppm(対照群0.077)と両者ともに著明に減少していることが分かった。
そこで、モリブデンに関する健康影響について調査を行った。調査は2003年にミネラルの食事摂取基準を作成する際、1980年から2003年7月の23年間に学術誌に掲載された原著論文を、 PubMedを用いて系統的に収集した。また、1987年から2003年7月までに医学中央雑誌に掲載されたタイトルから国内で報告された学術論文を収集した。
その結果、「モリブデン」としてPubMedからの調査件数5126件、このうち、人に関するもの889件のタイトルおよび抄録から461件の原著を抽出した。また、医学中央雑誌調査件数人に関するもの42件のタイトルおよび抄録から15件の原著を抽出した。
これらの原著論文を読み込んだ結果、激しい運動が血中モリブデン濃度を著明に減少させる機序並びにその健康影響については解明できなかったが、貧血や疲労によって低下するという。なお、2004年以降については未調査である。
本論文(PDF)ではモリブデンの発見の歴史、物理的・化学的性質、用途、環境・植物・人体中のモリブデン、測定法、摂取量、必要量、生理作用、モリブデン依存性酵素(キサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ、サルファイトオキシダーゼ)、過剰症、欠乏症、食事摂取基準など、2003年までの情報について総説した。
(近藤雅雄:平成28年10月24日掲載) 必須微量元素モリブデンの生体機能
そこで、モリブデンに関する健康影響について調査を行った。調査は2003年にミネラルの食事摂取基準を作成する際、1980年から2003年7月の23年間に学術誌に掲載された原著論文を、 PubMedを用いて系統的に収集した。また、1987年から2003年7月までに医学中央雑誌に掲載されたタイトルから国内で報告された学術論文を収集した。
その結果、「モリブデン」としてPubMedからの調査件数5126件、このうち、人に関するもの889件のタイトルおよび抄録から461件の原著を抽出した。また、医学中央雑誌調査件数人に関するもの42件のタイトルおよび抄録から15件の原著を抽出した。
これらの原著論文を読み込んだ結果、激しい運動が血中モリブデン濃度を著明に減少させる機序並びにその健康影響については解明できなかったが、貧血や疲労によって低下するという。なお、2004年以降については未調査である。
本論文(PDF)ではモリブデンの発見の歴史、物理的・化学的性質、用途、環境・植物・人体中のモリブデン、測定法、摂取量、必要量、生理作用、モリブデン依存性酵素(キサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ、サルファイトオキシダーゼ)、過剰症、欠乏症、食事摂取基準など、2003年までの情報について総説した。
(近藤雅雄:平成28年10月24日掲載) 必須微量元素モリブデンの生体機能
「コンパクト応用栄養学」第2版出版の紹介
株式会社朝倉書店より、ヒトの生涯に関わる応用栄養学領域のエッセンスをわかりやすくまとめ,「日本人の食事摂取基準(2015年版)」および「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)」に準拠した「コンパクト応用栄養学」第2版が出版されました.B5版,158ページ.
目次
1 栄養ケア・マネジメント
A 栄養ケア・マネジメントの概念
B 栄養スクリーニング
C 栄養アセスメント
D 栄養ケア計画の実施,モニタリング,評価,フィードバック
2 食事摂取基準の基礎的理解
A 食事摂取基準の意義
B 食事摂取基準策定の基礎理論
C 食事摂取基準活用の基礎理論 D エネルギー・栄養素別食事摂取基準
3 成長,発達,加齢(老化)
A 成長,発達,加齢の概念
B 成長,発達,加齢に伴う身体的・精神的変化と栄養
C 加齢(老化)に伴う身体的・精神的変化と栄養
4 妊娠期,授乳期
A 妊娠期・授乳期の生理的特徴
B 妊娠期・授乳期の栄養アセスメントと栄養ケア
5 新生児期,乳児期
A 新生児期・乳児期の生理的特徴
B 新生児期・乳児期の栄養アセスメントと栄養ケア
6 成長期(幼児期,学童期,思春期)
A 幼児期・学童期・思春期の生理的特徴
B 幼児期・学童期・思春期の栄養アセスメントと栄養ケア
7 成人期
A 成人期・更年期の生理的特徴
B 成人期・更年期の栄養アセスメントと栄養ケア
8 高齢期
A 高齢期の生理的特徴
B 高齢期の栄養アセスメントと栄養ケア
9 運動・スポーツと栄養
A 運動時の生理的特徴とエネルギー代謝
B 運動と栄養ケア
10 環境と栄養
A ストレスと栄養ケア
B 特殊環境と栄養ケア
付録(用語解説,参考資料:食事摂取基準,食育基本法,食生活指針,食事バランスガイド)
序 論
朝倉書店から出版されている「コンパクト栄養学」シリーズ、『コンパクト公衆栄養学』『コンパクト応用栄養学』『コンパクト基礎栄養学』『コンパクト臨床栄養学』『コンパクト食品学』は他社から発行されている多くの栄養学シリーズとは異なって,病気の予防,健康に関する正しい知識と技術を普及・啓発し,地域,社会集団の栄養改善さらには健康の維持増進を図る学問としての幅広い領域をわかりやすくコンパクトにまとめた教科書です.
今回、第2版の出版となった応用栄養学はかつては栄養学の一部として扱われてきましたが,その後,特殊栄養学,栄養学各論と名称が変わり,応用栄養学へと進化しました.内容は成長・発達・加齢といった人の生涯における栄養管理として,新生児期から高齢期までの各ライフステージ別に,また妊娠期,授乳期,更年期・運動・スポーツ,環境と栄養について項目ごとにまとめました.
本書は,2015(平成27)年2月16日に厚生労働省ガイドライン改定検討会より提出された新ガイドラインおよび2014(平成26)年3月28日に公表された「日本人の食事摂取基準(2015年版)」に従い,第一線にて活躍している教育・研究者によって執筆・改訂を行ったものです.管理栄養士等養成校の学生は勿論のこと,保健・医療・福祉などに関わる領域を勉強している学生,一般社会人にもわかりやすく「コンパクト」にまとめています.本書をしっかりと学習し,社会に貢献して行って欲しいと願っています.(近藤雅雄:平成28年4月2日掲載)
目次
1 栄養ケア・マネジメント
A 栄養ケア・マネジメントの概念
B 栄養スクリーニング
C 栄養アセスメント
D 栄養ケア計画の実施,モニタリング,評価,フィードバック
2 食事摂取基準の基礎的理解
A 食事摂取基準の意義
B 食事摂取基準策定の基礎理論
C 食事摂取基準活用の基礎理論 D エネルギー・栄養素別食事摂取基準

A 成長,発達,加齢の概念
B 成長,発達,加齢に伴う身体的・精神的変化と栄養
C 加齢(老化)に伴う身体的・精神的変化と栄養
4 妊娠期,授乳期
A 妊娠期・授乳期の生理的特徴
B 妊娠期・授乳期の栄養アセスメントと栄養ケア
5 新生児期,乳児期
A 新生児期・乳児期の生理的特徴
B 新生児期・乳児期の栄養アセスメントと栄養ケア
6 成長期(幼児期,学童期,思春期)
A 幼児期・学童期・思春期の生理的特徴
B 幼児期・学童期・思春期の栄養アセスメントと栄養ケア
7 成人期
A 成人期・更年期の生理的特徴
B 成人期・更年期の栄養アセスメントと栄養ケア
8 高齢期
A 高齢期の生理的特徴
B 高齢期の栄養アセスメントと栄養ケア
9 運動・スポーツと栄養
A 運動時の生理的特徴とエネルギー代謝
B 運動と栄養ケア
10 環境と栄養
A ストレスと栄養ケア
B 特殊環境と栄養ケア
付録(用語解説,参考資料:食事摂取基準,食育基本法,食生活指針,食事バランスガイド)
序 論
朝倉書店から出版されている「コンパクト栄養学」シリーズ、『コンパクト公衆栄養学』『コンパクト応用栄養学』『コンパクト基礎栄養学』『コンパクト臨床栄養学』『コンパクト食品学』は他社から発行されている多くの栄養学シリーズとは異なって,病気の予防,健康に関する正しい知識と技術を普及・啓発し,地域,社会集団の栄養改善さらには健康の維持増進を図る学問としての幅広い領域をわかりやすくコンパクトにまとめた教科書です.
今回、第2版の出版となった応用栄養学はかつては栄養学の一部として扱われてきましたが,その後,特殊栄養学,栄養学各論と名称が変わり,応用栄養学へと進化しました.内容は成長・発達・加齢といった人の生涯における栄養管理として,新生児期から高齢期までの各ライフステージ別に,また妊娠期,授乳期,更年期・運動・スポーツ,環境と栄養について項目ごとにまとめました.
本書は,2015(平成27)年2月16日に厚生労働省ガイドライン改定検討会より提出された新ガイドラインおよび2014(平成26)年3月28日に公表された「日本人の食事摂取基準(2015年版)」に従い,第一線にて活躍している教育・研究者によって執筆・改訂を行ったものです.管理栄養士等養成校の学生は勿論のこと,保健・医療・福祉などに関わる領域を勉強している学生,一般社会人にもわかりやすく「コンパクト」にまとめています.本書をしっかりと学習し,社会に貢献して行って欲しいと願っています.(近藤雅雄:平成28年4月2日掲載)
高齢期の健康に影響を与える成人期の栄養学
成人期は就職、社会貢献、結婚、子育て、子どもの自立、親の介護など、生涯において様々な環境因子・ストレスによる影響が最も大きい激動期である。この時期は、生活が多忙になり不摂生や無理をし易く、食べすぎや飲みすぎ、不規則な食事時間、欠食、栄養素のアンバランス、運動不足、肥満などと併せて、生活習慣病が発症するなど、身体的にも社会的にも大変重要な時期であり、高齢期への健康に大きく影響を与える。したがって、健康寿命の延伸とQOLの向上を図るための方策を早めに考え、成人期の特徴、生活習慣を変える効果的な方法などについて栄養学的に理解することが大切である。
1.成人期の生理的特徴
1)生理的変化と生活習慣の変化
2.成人期の栄養アセスメントと栄養ケア
1)成人期の栄養の特徴
2)成人の食事摂取基準
3)生活習慣病の予防
4)肥満とメタボリックシンドローム
5)主な生活習慣病の一次予防
ここでは、上記の目次にしたがって執筆内容をpdfに掲載した。
(近藤雅雄:平成28年1月15日執筆掲載) 高齢期の健康に影響を与える成人期の栄養
1.成人期の生理的特徴
1)生理的変化と生活習慣の変化
2.成人期の栄養アセスメントと栄養ケア
1)成人期の栄養の特徴
2)成人の食事摂取基準
3)生活習慣病の予防
4)肥満とメタボリックシンドローム
5)主な生活習慣病の一次予防
ここでは、上記の目次にしたがって執筆内容をpdfに掲載した。
(近藤雅雄:平成28年1月15日執筆掲載) 高齢期の健康に影響を与える成人期の栄養
成長・発達、加齢の栄養・生理学
ヒトの生涯の各時期における生理学的特徴、頻度の高い疾患を把握し、栄養学的な諸問題を理解する。小児期では著しい成長・発達は生涯栄養学の基礎的問題として重要である。成人期は生活習慣が変動する時期であり、生活習慣病発症の予防として栄養・食生活管理が重要である。高齢期については、老化のメカニズムを理解し、高齢期の生理的・心理的変化からさまざまな体調の変動が起こる時期であり、それぞれの体調に合った最適な栄養ケアができるようにする。
本稿では、ヒトの生涯における栄養と生理について下記の項目にしたがって概説したので、pdfを参照されたい。
Ⅰ.成長、発達、加齢の概念
1.成長 2.発達 3.加齢
Ⅱ.成長・発達に伴う身体的・精神的変化と栄養
1.身長、体重、体組成 2.消化・吸収 3.代謝 4.運動、知能、言語発達、精神発達、社会性 5.食生活、栄養状態
Ⅲ.加齢に伴う身体的・精神的変化と栄養
1.臓器の構造と機能の変化 2.分子レベルの老化(テロメア、活性酸素による障害) 3.高齢者における疾患(病態、症候、治療) 4.高齢者の生理的特徴(予備力、適応能力) 5.高齢者の心理的特徴 6.高齢者における食事摂取の特徴 7.栄養状態の変化
(近藤雅雄:平成27年11月6日執筆掲載) 成長、発達、加齢の栄養・生理学27.11
本稿では、ヒトの生涯における栄養と生理について下記の項目にしたがって概説したので、pdfを参照されたい。
Ⅰ.成長、発達、加齢の概念
1.成長 2.発達 3.加齢
Ⅱ.成長・発達に伴う身体的・精神的変化と栄養
1.身長、体重、体組成 2.消化・吸収 3.代謝 4.運動、知能、言語発達、精神発達、社会性 5.食生活、栄養状態
Ⅲ.加齢に伴う身体的・精神的変化と栄養
1.臓器の構造と機能の変化 2.分子レベルの老化(テロメア、活性酸素による障害) 3.高齢者における疾患(病態、症候、治療) 4.高齢者の生理的特徴(予備力、適応能力) 5.高齢者の心理的特徴 6.高齢者における食事摂取の特徴 7.栄養状態の変化
(近藤雅雄:平成27年11月6日執筆掲載) 成長、発達、加齢の栄養・生理学27.11
こころとからだの健康(12)生体防御機構と免疫システム
こころとからだの健康管理には日常的に免疫力を強化することが重要であり、それによって、QOLの向上並びに健康寿命の延伸を図ることが可能となる。
免疫とは疫病から免れると書くが、正しくは、自己と非自己(異物)を識別し、非自己を排除することによって生体の恒常性を維持しようとする防御システムであり、自然免疫と獲得免疫から成る。一般的には、主に後者の感染症予防的な意味合いが用いられ、病原微生物などの異物が体内に侵入した時の生体防御システムとよく言われる。しかし、現代社会においては、免疫機能を低下させる要因として、各種生体内因子および生体外因子が関与し、これら要因によって体内で発生する活性酸素によるストレス(酸化ストレス)が免疫の機能、すなわち、生体の機能を低下させることが明らかとなった。免疫機能の低下は感染症、生活習慣病、がんなどのさまざまな疾患の発症と強く関係していることから、免疫強化によってこれら疾患の予防が図られる。
ここでは、免疫の中心となる血液中の白血球細胞群を中心とした生体の防御反応(感染防御)について紹介する。
以下のpdf参照。(近藤雅雄:平成27年10月21日掲載) こころとからだの健康(12)生体防御と免疫システム
免疫とは疫病から免れると書くが、正しくは、自己と非自己(異物)を識別し、非自己を排除することによって生体の恒常性を維持しようとする防御システムであり、自然免疫と獲得免疫から成る。一般的には、主に後者の感染症予防的な意味合いが用いられ、病原微生物などの異物が体内に侵入した時の生体防御システムとよく言われる。しかし、現代社会においては、免疫機能を低下させる要因として、各種生体内因子および生体外因子が関与し、これら要因によって体内で発生する活性酸素によるストレス(酸化ストレス)が免疫の機能、すなわち、生体の機能を低下させることが明らかとなった。免疫機能の低下は感染症、生活習慣病、がんなどのさまざまな疾患の発症と強く関係していることから、免疫強化によってこれら疾患の予防が図られる。
ここでは、免疫の中心となる血液中の白血球細胞群を中心とした生体の防御反応(感染防御)について紹介する。
以下のpdf参照。(近藤雅雄:平成27年10月21日掲載) こころとからだの健康(12)生体防御と免疫システム
こころとからだの健康(11)ホメオスタシスと生体リズム
生活習慣が乱れると生体のリズムが乱れ、こころとからだに何らかの異常が生じる。逆に、こころとからだに異常が起こると生活習慣も乱れてくる。このことから、生活習慣および生体のリズムは心身の健康にとって大変重要であることが理解できる。
さて、現代人の祖先は約500万年前にチンパンジーとの共通の祖先から分かれ、その後、独自の進化が行われてきた。この長い期間で、人類は様々な環境に適応・順化しつつからだの構成とその機能が獲得されてきた。
生体が外部環境の変化に対応して生存を図ることを生体の適応といい、環境因子の長期にわたる変化に対して起こる生体の変化を順化という。これらのしくみは視床下部を中心とした体温、血圧、呼吸、摂食、血糖、免疫など多数の調節機能に関与するプログラムによって生体内のすべての器官が協調的生理過程を維持しながら、より安定状態を保つように進化してきた。その結果、現代の環境に適応しつつ生体の内部環境の恒常性(ホメオスタシス; homeostasis、均一の(homeo)状態(stasis)を意味するギリシア語からの造語)を維持してきた。
ここでは、ホメオスタシスと生体リズムについての概念の確立と、その経緯を延べる。以下のpdf参照。(近藤雅雄:平成27年10月21日掲載) こころとからだの健康(11)ホオスタシスと生体リズム
さて、現代人の祖先は約500万年前にチンパンジーとの共通の祖先から分かれ、その後、独自の進化が行われてきた。この長い期間で、人類は様々な環境に適応・順化しつつからだの構成とその機能が獲得されてきた。
生体が外部環境の変化に対応して生存を図ることを生体の適応といい、環境因子の長期にわたる変化に対して起こる生体の変化を順化という。これらのしくみは視床下部を中心とした体温、血圧、呼吸、摂食、血糖、免疫など多数の調節機能に関与するプログラムによって生体内のすべての器官が協調的生理過程を維持しながら、より安定状態を保つように進化してきた。その結果、現代の環境に適応しつつ生体の内部環境の恒常性(ホメオスタシス; homeostasis、均一の(homeo)状態(stasis)を意味するギリシア語からの造語)を維持してきた。
ここでは、ホメオスタシスと生体リズムについての概念の確立と、その経緯を延べる。以下のpdf参照。(近藤雅雄:平成27年10月21日掲載) こころとからだの健康(11)ホオスタシスと生体リズム
人間科学基礎原論
人間科学という学問は、フランスにおいて古くから追求されてきた「シアン・ジュメンヌ」(Sciences Humaines: 人間についての科学)の流れを汲み、1960~1980年代にかけて欧米の多くの大学にて「Human Sciences」の学問領域が新設された。日本では1972年に大阪大学において初めて人間科学部が設置され、1987年には早稲田大学に新設された。その後、人間科学という言葉が原義とは関係なく、私立大学を中心として、教育、社会、心理(臨床心理、健康心理、社会心理など)、文化、情報、国際、環境、福祉、生活、スポーツ、健康、子ども(児童、発達)、コミュニケーション、栄養、医療などに関するキーワードが人間科学に関する学科・専攻名として広く有用されている。今後も「人間とは何か」という問題を科学的に究明する領域というよりもむしろ資格等、時代に応じた名称の変更が行われていくものと思われる。
人間科学は健康で平和な社会システムの構築と同時に各個人が「生命のしくみ」について理解し、生命の尊さと感謝の気持ちを持ち、ヒトとして正しい判断力を身につけ、平和で、健康で質の高い生活(QOL:Quality of Life)を維持し、健康寿命の延伸を図るための学問である。
本稿では、人間科学の基礎原論である「生命のしくみ」と「健康」について概説する。(近藤雅雄:平成27年9月9日掲載) 以下のpdfを参照 人間科学基礎原論
人間科学は健康で平和な社会システムの構築と同時に各個人が「生命のしくみ」について理解し、生命の尊さと感謝の気持ちを持ち、ヒトとして正しい判断力を身につけ、平和で、健康で質の高い生活(QOL:Quality of Life)を維持し、健康寿命の延伸を図るための学問である。
本稿では、人間科学の基礎原論である「生命のしくみ」と「健康」について概説する。(近藤雅雄:平成27年9月9日掲載) 以下のpdfを参照 人間科学基礎原論
人間と地球環境問題
生物がこの地球に誕生して以来、気の遠くなるような長い時間をかけて地球環境のもたらす様々な変化に適応・順化し、今日の人間を中心とした文明社会を築き上げてきた。しかし、この百年単位の短い期間で先進国における大量消費、大量破壊型の社会構造、途上国における爆発的な人口増加、急激な都市化・工業化などによって私たちの住む恵の地球環境が大きく変貌しようとしている。いわゆる地球環境問題として、オゾン層の破壊、地球の温暖化、酸性雨など越境大気汚染、海洋汚染(地球規模の化学物質汚染を含む)、自然資源の劣化(熱帯林の減少、生物の多様性の減少、砂漠化など)など生物の生命に直接関わる深刻な問題が多数発生しているが、これらはすべてお互いに関連しあっている。
(近藤雅雄:平成27年9月5日掲載)
以下のpdfに原稿を掲載した。
人間と地球環境問題
伝統医学と日本の医療の方向
戦後の急速な社会変化から、次代に向かっての社会と共に歩む幅広い医療の改革が進められている。一方で、世界各地で伝統医学従事者を中心とした「伝統医学(traditional medicine)」を見直す機運が起こっている。こうした中で、日本の伝統医学の今後の方向性を考える動きも起こり始めている。
1.世界での伝統医学の現状
西洋医学はギリシャ、ロ-マで発祥し、そしてそれが西洋に芽生えた伝統医学の一つである。この西洋で誕生した一伝統医学である西洋医学が今日の世界の主流をなしてきた背景の一番大きな要因は近代科学的手法(分析的手法)を取り入れるのに成功したことによる。すなわち、西洋医学では、臨床と基礎の各研究がうまく合体し、その成果は現在の多くの病気の原因やその発症機構を明らかにし、病気の診断・治療・予防など医療のあらゆる面で大成功を収めてきた。この事実は誰も否定することはできない。
しかし、近年の病気の多様性や文化の多様性から(原因の明らかでない慢性的な疾患、ストレスなどの精神的な要素が反映される疾患、再発性疾患などは西洋医学的手法では困難な場合が多い)、これまでの近代科学的手法に基づいた西洋医学だけで、全人類的医療が行えるかの疑問が世界中で沸き起こってきた。そこで、近年、世界各地の伝統医学、民族医学を見直そうとする機運が国際的に起こってきている。
中国では数千年の歴史を有する中国医学主体の医療から、文化大革命(1966~1976年あるいは1977年)以降、西洋医学と中国伝統医学の融合政策に政府が積極的に推進し、一応の成功を収めている。しかし、近年の急速な経済発展・開発に従い、此れまでの中国の伝統療法に変わって西洋医学が主流になりつつあることは否めない。
一方、他国ではしだいに積極的に民族医学を取り入れ、その土地、風土に合った医療を推進しようとする国が増え、国際機関も積極的にこれを支援する方向にある。すなわち、現代西洋医学以外のすべての医療を含む多種多様な治療法である補完・代替医療が急速に進展している。日本では漸く他国での伝統医学を含む代替療法の調査・研究が行われ、現代の医療に活用するためのプロジェクトが動きだし、伝統医学(東洋医学:主に漢方)を正規カリキュラムに取り入れているところも増えてきた。しかし、これらはすべて医師教育(日本では、医師はすべて大学の医学部での医学教育を受けたものだけを指す)の一環として取り組まれており、一般的に東洋療法に携わる専門家(あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師などの治療師)の身分は残念ながら極めて低い。その最大の理由は、わが国の医療行政が西洋医学の医師主体の構造国家として機能しているためである。
2.欧米での民間医療ブ-ム(代替・補完医療)の背景
1998年に米国国立衛生研究所(NIH)に国立補完代替医療センター(NCCAM)ができたことをきっかけに広まり、世界各地で現代医学を補完・代替する医療として利用されている。1999年の11月に米国・ワシントンで「第1回チベット医学国際会議」が-伝統医学と西洋医学の対話-と題し、世界中から2500人の参加で開催された。日本でも、1998年に「日本代替・相補・伝統医療連合会(JACT)」、2000年「日本統合医療学会」などが結成され、伝統医学および補完・代替医療(complementary medicine, alternative medicine)が世界的なブ-ムにあることは事実である。このような背景としては、これまでの西洋医学主体の医療は①検査、薬などの医療費が高く、副作用が多い、②即効性があるが、病気の局所しか診ない、③検査の結果が中心で全体(とくに患者のこころ)を診ない、④貧しい人は西洋医学にかかれない、⑤医師の職業意識に対する個人差が大きい、⑥その土地の風土・文化に則した医療が欠けている、⑦患者の健康・医療に対する意識の高まりなどであるが、その最大の根拠は⑧医療費の高騰と思われる。そこで、現在、厚生労働省、医師会を中心とした病気の予防、健康増進という健康政策が民間企業および国民における健康医学ブ-ムを起しているものと思われる。
米国と日本の現状
米国では6種の医療職 ①医師 ②歯科医、③オステオパス、④カイロプラクタ-、⑤ポタイアトリスト、⑥検眼師があり、これらは大卒あるいは短大卒後4~6年の専門課程の履修を経た後授与される学位であり、学位取得後に国家試験にパスして免許を受けなければその業務が行えない。この内、日本的な感覚で、いわゆる普通の医者と呼べるのは医師とオステオパスであり、投薬・手術を含む人体に対するありとあらゆる医療行為が法的に認められている。検眼師は眼科医の業務から投薬・手術を除いたものすべてを行うことができる。ポタイアトリストは足の医者で、足のみを治療の対象として、麻酔を含む投薬及び手術も行うことができる。
一方、米国で生まれたカイロプラクティクは、今日では多くの国で正規医療の一部となっている。カイロプラクタ-は一般的診断権とX線撮影権を持ち、州によっては簡単な外科手術や死亡診断書の作成なども認めているが、自由競争・独占禁止を国是とする米国ならではの住み分けぶりといえる。さらに、米国では「インディアン伝統医学」、「仏教医学」、「アロマテラピ-」が現在静かなブ-ムとして広まっている。
日本では国家資格として国が一般開業(独立)権を認めた職種として、歯科医師以外に、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師があり、日本の伝統療法と言える。このうち、指圧は昭和15年に現在の日本指圧専門学校浪越学園の前身である指圧学院を設立した浪越徳治郎氏によって普及され、現在に至る。柔道整復術は日本古来固有の伝統医療、民間療法、代替医療であり、柔道整復師は、骨折・脱臼・打撲・捻挫の治療を行うことができる。ただし、これらの療法については、医師はすべてについて実施可能であるが、日本独自のこれら伝統療法の発展並びに治療師からなる医療行政の今後の進展が期待される。
3.日本の医療の方向性
米国ではアメリカ人の健康づくりをまとめた米国健康政策の指針である「ヘルシーピープル2000」が10年ごとの見直しで米国保健社会福祉局より提出された。一方、日本の医療も西洋医学を基軸に進化してきたが、米国と同様に近年の生活習慣病を始め慢性疾患の増加に関連した健康政策が重要視されるようになり、米国に追従した形で、厚生労働省から「健康日本21」と題し、21世紀における国民の健康寿命の延伸を実現するための新しい考え方による国民健康づくりの策定に対する取り組みが行われるようになった。
また、これまでの医療は、プライマリ・ケアについては軽視の傾向であったが、プライマリ・ケアの専門医として、2013年4月に厚生労働省は「総合診療専門医」という新しい専門医を養成・認定することを決定した。2017年から後期研修がスタートし、2020年に新制度の下で、初めての専門医が誕生する。すなわち家庭医(family doctor)制度とも言える。これによって、①患者中心の医療、②家庭志向型のケア、③地域包括プライマリ・ケア、④健康問題の心理社会的アプローチ、⑤共感できる人間関係の維持・強化等が図れることが推測される。
したがって、これからの医療は各種疾病に対する治療対策は勿論のこと、健康向上・疾患予防(予防医学)という概念が大きく広がってきていることは癌、生活習慣病の概念でもすでに証明されていることから、これを家庭医にて個人の健康管理を徹底しようとする時代にあると言える。
一方、日本独自の伝統療法の充実についての対策は未だにみられない。これを早急に充実させ、西洋医学と東洋医学(日本の伝統医学)の両者の発展を目指した日本独自の総合医療の発展を期待したい。
参考文献:①今西二郎編集:補完・代替療法、金芳堂、2003、②葛西龍樹著:医療大転換―日本のプライマリ・ケア革命、ちくま新書、2013、③アンドルーワイル著、上野圭一訳:癒す心、治る力、角川書店、1995年。(近藤雅雄:平成27年9月2日掲載)
主な世界の伝統医学
①中国:中国医学(気功などを含む:黄帝内経、神農本草経、傷寒論を基本典籍とする)漢方、鍼灸、チベット医学、太極拳など、②インドその他:ア-ユルヴェ-ダ、ユナニ、ヨガなど、③ミャンマ-:ビルマ伝統医学(土着医学)、④インドネシア:スクン・バイ(伝承治療薬:ジャムウ、ウコン)、⑤アラブ諸国:ユナニなど、⑥アフリカ:薬草学など、⑦欧州諸国:アロパシ-、ホメオパシ-、鍼灸、温泉療法、カイロプラクティク、アロマテラピ-など100 種類以上、⑧米国:インディアン伝統医学、カイロプラクティクなど、⑨日本:あん摩マッサージ指圧、柔道整復、鍼灸など
補完・代替医療の種類(今西二郎編集:補完・代替療法,2003)
①食事・ハーブ療法:栄養補助食品、絶食療法、花療法、ハーブ療法、菜食主義、メガビタミン療法、②心を落ち着かせ、体力を回復させる療法:睡眠療法、瞑想療法、リラクゼーション、バイオフィードバック、イメージ療法、漸進的筋弛緩療法、③からだを動かして痛みを取り除く療法:太極拳、ヨガ、運動療法、ダンスセラピー、④動物や植物を育てることで安楽を得る方法:アニマルセラピー、イルカ療法、園芸療法、⑤感覚受容器を介した療法:アロマセラピー、芸術療法、絵画療法、ユーモアセラピー、光療法、音楽療法、⑥物理的刺激を利用した療法:温泉療法、刺激療法、電磁療法、⑦外力で健康を回復させる療法:指圧、カイロプラクティック、マッサージ、オステオパシー、リフレクソロジー、頭蓋骨調整療法、⑧宗教的療法
1.世界での伝統医学の現状
西洋医学はギリシャ、ロ-マで発祥し、そしてそれが西洋に芽生えた伝統医学の一つである。この西洋で誕生した一伝統医学である西洋医学が今日の世界の主流をなしてきた背景の一番大きな要因は近代科学的手法(分析的手法)を取り入れるのに成功したことによる。すなわち、西洋医学では、臨床と基礎の各研究がうまく合体し、その成果は現在の多くの病気の原因やその発症機構を明らかにし、病気の診断・治療・予防など医療のあらゆる面で大成功を収めてきた。この事実は誰も否定することはできない。
しかし、近年の病気の多様性や文化の多様性から(原因の明らかでない慢性的な疾患、ストレスなどの精神的な要素が反映される疾患、再発性疾患などは西洋医学的手法では困難な場合が多い)、これまでの近代科学的手法に基づいた西洋医学だけで、全人類的医療が行えるかの疑問が世界中で沸き起こってきた。そこで、近年、世界各地の伝統医学、民族医学を見直そうとする機運が国際的に起こってきている。
中国では数千年の歴史を有する中国医学主体の医療から、文化大革命(1966~1976年あるいは1977年)以降、西洋医学と中国伝統医学の融合政策に政府が積極的に推進し、一応の成功を収めている。しかし、近年の急速な経済発展・開発に従い、此れまでの中国の伝統療法に変わって西洋医学が主流になりつつあることは否めない。
一方、他国ではしだいに積極的に民族医学を取り入れ、その土地、風土に合った医療を推進しようとする国が増え、国際機関も積極的にこれを支援する方向にある。すなわち、現代西洋医学以外のすべての医療を含む多種多様な治療法である補完・代替医療が急速に進展している。日本では漸く他国での伝統医学を含む代替療法の調査・研究が行われ、現代の医療に活用するためのプロジェクトが動きだし、伝統医学(東洋医学:主に漢方)を正規カリキュラムに取り入れているところも増えてきた。しかし、これらはすべて医師教育(日本では、医師はすべて大学の医学部での医学教育を受けたものだけを指す)の一環として取り組まれており、一般的に東洋療法に携わる専門家(あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師などの治療師)の身分は残念ながら極めて低い。その最大の理由は、わが国の医療行政が西洋医学の医師主体の構造国家として機能しているためである。
2.欧米での民間医療ブ-ム(代替・補完医療)の背景
1998年に米国国立衛生研究所(NIH)に国立補完代替医療センター(NCCAM)ができたことをきっかけに広まり、世界各地で現代医学を補完・代替する医療として利用されている。1999年の11月に米国・ワシントンで「第1回チベット医学国際会議」が-伝統医学と西洋医学の対話-と題し、世界中から2500人の参加で開催された。日本でも、1998年に「日本代替・相補・伝統医療連合会(JACT)」、2000年「日本統合医療学会」などが結成され、伝統医学および補完・代替医療(complementary medicine, alternative medicine)が世界的なブ-ムにあることは事実である。このような背景としては、これまでの西洋医学主体の医療は①検査、薬などの医療費が高く、副作用が多い、②即効性があるが、病気の局所しか診ない、③検査の結果が中心で全体(とくに患者のこころ)を診ない、④貧しい人は西洋医学にかかれない、⑤医師の職業意識に対する個人差が大きい、⑥その土地の風土・文化に則した医療が欠けている、⑦患者の健康・医療に対する意識の高まりなどであるが、その最大の根拠は⑧医療費の高騰と思われる。そこで、現在、厚生労働省、医師会を中心とした病気の予防、健康増進という健康政策が民間企業および国民における健康医学ブ-ムを起しているものと思われる。
米国と日本の現状
米国では6種の医療職 ①医師 ②歯科医、③オステオパス、④カイロプラクタ-、⑤ポタイアトリスト、⑥検眼師があり、これらは大卒あるいは短大卒後4~6年の専門課程の履修を経た後授与される学位であり、学位取得後に国家試験にパスして免許を受けなければその業務が行えない。この内、日本的な感覚で、いわゆる普通の医者と呼べるのは医師とオステオパスであり、投薬・手術を含む人体に対するありとあらゆる医療行為が法的に認められている。検眼師は眼科医の業務から投薬・手術を除いたものすべてを行うことができる。ポタイアトリストは足の医者で、足のみを治療の対象として、麻酔を含む投薬及び手術も行うことができる。
一方、米国で生まれたカイロプラクティクは、今日では多くの国で正規医療の一部となっている。カイロプラクタ-は一般的診断権とX線撮影権を持ち、州によっては簡単な外科手術や死亡診断書の作成なども認めているが、自由競争・独占禁止を国是とする米国ならではの住み分けぶりといえる。さらに、米国では「インディアン伝統医学」、「仏教医学」、「アロマテラピ-」が現在静かなブ-ムとして広まっている。
日本では国家資格として国が一般開業(独立)権を認めた職種として、歯科医師以外に、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師があり、日本の伝統療法と言える。このうち、指圧は昭和15年に現在の日本指圧専門学校浪越学園の前身である指圧学院を設立した浪越徳治郎氏によって普及され、現在に至る。柔道整復術は日本古来固有の伝統医療、民間療法、代替医療であり、柔道整復師は、骨折・脱臼・打撲・捻挫の治療を行うことができる。ただし、これらの療法については、医師はすべてについて実施可能であるが、日本独自のこれら伝統療法の発展並びに治療師からなる医療行政の今後の進展が期待される。
3.日本の医療の方向性
米国ではアメリカ人の健康づくりをまとめた米国健康政策の指針である「ヘルシーピープル2000」が10年ごとの見直しで米国保健社会福祉局より提出された。一方、日本の医療も西洋医学を基軸に進化してきたが、米国と同様に近年の生活習慣病を始め慢性疾患の増加に関連した健康政策が重要視されるようになり、米国に追従した形で、厚生労働省から「健康日本21」と題し、21世紀における国民の健康寿命の延伸を実現するための新しい考え方による国民健康づくりの策定に対する取り組みが行われるようになった。
また、これまでの医療は、プライマリ・ケアについては軽視の傾向であったが、プライマリ・ケアの専門医として、2013年4月に厚生労働省は「総合診療専門医」という新しい専門医を養成・認定することを決定した。2017年から後期研修がスタートし、2020年に新制度の下で、初めての専門医が誕生する。すなわち家庭医(family doctor)制度とも言える。これによって、①患者中心の医療、②家庭志向型のケア、③地域包括プライマリ・ケア、④健康問題の心理社会的アプローチ、⑤共感できる人間関係の維持・強化等が図れることが推測される。
したがって、これからの医療は各種疾病に対する治療対策は勿論のこと、健康向上・疾患予防(予防医学)という概念が大きく広がってきていることは癌、生活習慣病の概念でもすでに証明されていることから、これを家庭医にて個人の健康管理を徹底しようとする時代にあると言える。
一方、日本独自の伝統療法の充実についての対策は未だにみられない。これを早急に充実させ、西洋医学と東洋医学(日本の伝統医学)の両者の発展を目指した日本独自の総合医療の発展を期待したい。
参考文献:①今西二郎編集:補完・代替療法、金芳堂、2003、②葛西龍樹著:医療大転換―日本のプライマリ・ケア革命、ちくま新書、2013、③アンドルーワイル著、上野圭一訳:癒す心、治る力、角川書店、1995年。(近藤雅雄:平成27年9月2日掲載)
主な世界の伝統医学
①中国:中国医学(気功などを含む:黄帝内経、神農本草経、傷寒論を基本典籍とする)漢方、鍼灸、チベット医学、太極拳など、②インドその他:ア-ユルヴェ-ダ、ユナニ、ヨガなど、③ミャンマ-:ビルマ伝統医学(土着医学)、④インドネシア:スクン・バイ(伝承治療薬:ジャムウ、ウコン)、⑤アラブ諸国:ユナニなど、⑥アフリカ:薬草学など、⑦欧州諸国:アロパシ-、ホメオパシ-、鍼灸、温泉療法、カイロプラクティク、アロマテラピ-など100 種類以上、⑧米国:インディアン伝統医学、カイロプラクティクなど、⑨日本:あん摩マッサージ指圧、柔道整復、鍼灸など
補完・代替医療の種類(今西二郎編集:補完・代替療法,2003)
①食事・ハーブ療法:栄養補助食品、絶食療法、花療法、ハーブ療法、菜食主義、メガビタミン療法、②心を落ち着かせ、体力を回復させる療法:睡眠療法、瞑想療法、リラクゼーション、バイオフィードバック、イメージ療法、漸進的筋弛緩療法、③からだを動かして痛みを取り除く療法:太極拳、ヨガ、運動療法、ダンスセラピー、④動物や植物を育てることで安楽を得る方法:アニマルセラピー、イルカ療法、園芸療法、⑤感覚受容器を介した療法:アロマセラピー、芸術療法、絵画療法、ユーモアセラピー、光療法、音楽療法、⑥物理的刺激を利用した療法:温泉療法、刺激療法、電磁療法、⑦外力で健康を回復させる療法:指圧、カイロプラクティック、マッサージ、オステオパシー、リフレクソロジー、頭蓋骨調整療法、⑧宗教的療法
こころとからだの健康(9)治療と治癒
生体には様々なバイオリズムがあり、そのリズムの乱れは、脳の視床下部を中心とした体内の恒常性維持機能(これをホメオスターシスという)によって常に無意識的に自己診断、修復、再生の3つの機能が働き、健康状態に戻そうとする治癒力が働いています。
健康とは完全にバランスの取れた状態であり、これが崩れたときに健常な状態に戻そうとします。この勢いは人為的に作用させることが可能であり、それは治療によって成すべきです。治療と治癒との関係は、治療は受身的であり、病を外部から叩くのに対して、治癒は能動的であり病を内部から除去することを指します。
1.医学誕生における2つの神話
1)医神 アスクレピオス(Asclepius)
病気の治療は基本的に抗医学であるというのが現在西洋医学思想の根本であり、病気のプロセスを内部に押しやるという本質的に対抗的・抑圧的な医学です。
2)健康神 ヒュギエイア(Hygeia)
治癒力の強化(自発的治癒、spontaneous healing)は東洋医学をはじめとした西洋医学以外の伝統医学の根本思想です。この思想は現在の西洋医学の一分野である衛生学に見られ、衛生学を健康神の考えを取り入れHygieneと命名されましたが、現代の衛生学は疫学や中毒学が主流であり、ヒーリングシステム(治癒系)、すなわち、自己診断、修復、再生の機序解明に関する研究はこれまであまり行われてきませんでした。また、衛生学は予防医学としての代替、補完、相補医療の領域が重要と思われますが、広く公衆衛生学という見地からすれば、医学部のみで究明できるものではなく、理工学、人文科学、家政学、栄養学、人間科学など多領域に渡る学際的研究分野であるべきです。
2.主な伝統医療
日本には貝原益軒(1630~1714)の「養生訓」が有名ですが、明治時代以降医師の権力が著しく増大し、西洋医学一辺倒となっていきました。一方、世界では、アーユルヴェーダ医学、鍼療法、バイオフィードバック、ボディーワーク、中国医学、カイロプラクティック、イメージ療法、生薬医学、ホリスティック医学、ホメオパシー、睡眠療法など多数が知られています。このうち、よく知られているのがインドの伝統的医学であり、ユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)、中国医学と共に世界三大伝統医学の一つでるアーユルヴェーダです。サンスクリット語で長寿の知恵と言います。問診、触診、脈診など患者の様子を細かく観察して診断し、食事療法、薬草療法(生薬、動物薬、鉱物薬)、スチームバスやオイルマッサージなどがあり、インドの庶民の医学となっています。
3.ボブ・フルフォードの教え
フルフォードの医学は病気を抑圧するのではなく、からだに備わっている潜在的な治癒力の発現を助長する、非侵襲的な医学であり、古代ギリシャの医師であったヒポクラテスの2大訓戒「①Primum non nocere:傷つけてはいけない、②Vis medicatric nature:自然治癒力を嵩めよ」を遵守し、「①からだは健康になりたがっている、②治癒は自然の力である、③からだはひとつの全体であり、全ての部分は1つに広がっている、④こころとからだは分離できない、⑤治療家の信念が患者の治癒力に大きく影響する」の五つの知恵を実践した。このフルフォードの教えについてはアンドルーワイル著の「癒す心、治る力」は、「自発的治癒とは何か」、「8週間で甦る自発的治癒力」の2冊からなる書物に記載されています。医師をはじめとする治療家には一度は必読されることを望みます。
参考文献:①アンドルーワイル著、上野圭一訳:癒す心、治る力、角川書店、1995年。 (近藤雅雄:平成27年9月2日掲載)
健康とは完全にバランスの取れた状態であり、これが崩れたときに健常な状態に戻そうとします。この勢いは人為的に作用させることが可能であり、それは治療によって成すべきです。治療と治癒との関係は、治療は受身的であり、病を外部から叩くのに対して、治癒は能動的であり病を内部から除去することを指します。
1.医学誕生における2つの神話
1)医神 アスクレピオス(Asclepius)
病気の治療は基本的に抗医学であるというのが現在西洋医学思想の根本であり、病気のプロセスを内部に押しやるという本質的に対抗的・抑圧的な医学です。
2)健康神 ヒュギエイア(Hygeia)
治癒力の強化(自発的治癒、spontaneous healing)は東洋医学をはじめとした西洋医学以外の伝統医学の根本思想です。この思想は現在の西洋医学の一分野である衛生学に見られ、衛生学を健康神の考えを取り入れHygieneと命名されましたが、現代の衛生学は疫学や中毒学が主流であり、ヒーリングシステム(治癒系)、すなわち、自己診断、修復、再生の機序解明に関する研究はこれまであまり行われてきませんでした。また、衛生学は予防医学としての代替、補完、相補医療の領域が重要と思われますが、広く公衆衛生学という見地からすれば、医学部のみで究明できるものではなく、理工学、人文科学、家政学、栄養学、人間科学など多領域に渡る学際的研究分野であるべきです。
2.主な伝統医療
日本には貝原益軒(1630~1714)の「養生訓」が有名ですが、明治時代以降医師の権力が著しく増大し、西洋医学一辺倒となっていきました。一方、世界では、アーユルヴェーダ医学、鍼療法、バイオフィードバック、ボディーワーク、中国医学、カイロプラクティック、イメージ療法、生薬医学、ホリスティック医学、ホメオパシー、睡眠療法など多数が知られています。このうち、よく知られているのがインドの伝統的医学であり、ユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)、中国医学と共に世界三大伝統医学の一つでるアーユルヴェーダです。サンスクリット語で長寿の知恵と言います。問診、触診、脈診など患者の様子を細かく観察して診断し、食事療法、薬草療法(生薬、動物薬、鉱物薬)、スチームバスやオイルマッサージなどがあり、インドの庶民の医学となっています。
3.ボブ・フルフォードの教え
フルフォードの医学は病気を抑圧するのではなく、からだに備わっている潜在的な治癒力の発現を助長する、非侵襲的な医学であり、古代ギリシャの医師であったヒポクラテスの2大訓戒「①Primum non nocere:傷つけてはいけない、②Vis medicatric nature:自然治癒力を嵩めよ」を遵守し、「①からだは健康になりたがっている、②治癒は自然の力である、③からだはひとつの全体であり、全ての部分は1つに広がっている、④こころとからだは分離できない、⑤治療家の信念が患者の治癒力に大きく影響する」の五つの知恵を実践した。このフルフォードの教えについてはアンドルーワイル著の「癒す心、治る力」は、「自発的治癒とは何か」、「8週間で甦る自発的治癒力」の2冊からなる書物に記載されています。医師をはじめとする治療家には一度は必読されることを望みます。
参考文献:①アンドルーワイル著、上野圭一訳:癒す心、治る力、角川書店、1995年。 (近藤雅雄:平成27年9月2日掲載)