ゼアキサンチン

ゼアキサンチンはルテインと構造が類似したカロテノイドで、光によるダメージから網膜を守ることが報告されている。目の網膜、とくに黄斑とレンズ部分に集中しているが、エイジングにしたがって濃度は低下し、加齢黄斑変性の危険性が高まる。また、喫煙者でも黄斑色素濃度の低下が見られると言う。米国では、加齢黄斑変性患者が1千万人以上存在し、この内、45万人以上が既に視力を失っていると言われている。ハーバード大学が行った研究ではルテインとゼアキサンチン摂取の多いグループは低いグループに比し、加齢黄斑変性の危険性がかなり低いという。

ジメチルアミノエタノール

 コリンの類縁体であり、神経化学伝達物質であるアセチルコリンの生化学的前駆体である。自然界ではイワシやアンチョビといった魚類に多く含まれている。脳に対してポジティブに作用する例とネガティブに作用する例の両方が報告されている。
 効果として、短期的には注意力や集中力の向上、気分の高揚が見られるが、長期投与の効果は不明である。摂取量が適量よりも多すぎると寿命を縮める結果になるのではないかと危惧されている。長寿を目的とした摂取には科学的根拠がなく、避けた方がよい。

ザクロ

 1999年から2000年頃、果汁にエストロゲンが含まれるとして閉経後のアルツハイマー型認知症に有効であるとブームとなった。しかし、国民生活センターが流通しているザクロジュースやエキス錠剤など10 銘柄について分析した結果、いずれもエストロゲンは検出されなかった。古くから薬用に供されてきたが、科学的根拠は十分ではない。

セイヨウオトギリソウ

 セント・ジョーンズ・ワートは、一般的にセイヨウオトギリソウという植物種のことを指し、黄色い花を咲かせる根茎性の多年草のハーブである。ヨーロッパに自生し、後にアメリカへも伝播され、多くの草地で野生化している。ヒペリシンを含み、モノアミンオキシダーゼ(MAO)1)を抑え、抗うつ症状の改善、鎮静作用があることからドイツでは抗うつ剤として用いられている。しかし、うつ病に対する効果は賛否様々であり、軽度から中程度のうつに対して有効で副作用が少ないとする研究や、逆にプラセボ以上の効果は見られないとする研究がある。
 ジゴキシン(強心薬)、シクロスポリン(免疫抑制薬)、テオフィリン(気管支拡張薬)、インジナビル(抗HIV薬)、ワルファリン(血液凝固防止薬)など、医薬品との相互作用などが危惧されている。さらに、ある種の薬物の量を体内で減少させる作用があり、薬効が低下することがある。副作用としては、ごくまれであるが光線過敏性皮膚炎や不安感、口渇感、めまい、消化器症状、倦怠感、頭痛、性的機能障害などが知られている。

セイヨウカノコソウ

 オミナエシ科のセイヨウカノコソウは欧州、アジアを原産とする多年草で、古代ギリシア、ローマ時代から医療用のハーブとして用いられ、米国ではサプリメントとして販売されている。
 治療上の使用法は医聖ヒポクラテスにより示され、2世紀にはガレノスが不眠症に処方したと言われている。16世紀には神経過敏、振戦、頭痛、動悸の治療に用いられ、第二次世界大戦中には英国で空襲によるストレス緩和のために用いられたと報告されている。
 臨床では神経の緊張、不眠症に対する鎮静薬、睡眠補助薬、消化管の痙攣と不快感、てんかん発作、注意欠陥多動障害(ADHA)の治療として用いられているが、有効性に関する科学的根拠は乏しい。
 仏国では、13歳女子に不安軽減や鎮静作用を期待してハーブ薬(セイヨウカノコソウ、ニガハッカ、セイヨウサンザシ、チャボトケイソウ、コラノキ含有)を1錠×3回/日、数ヶ月間摂取させたところ、肝細胞の90%以上が壊死したため、肝移植を行ったという報告がある。

サポニン

 大豆サポニンは配糖体といわれる物質で、食感として咽喉に残る不快感(渋み、苦み、えぐ味)の原因となる界面活性物質。機能としては、動脈硬化の原因となる過酸化脂質の生成を抑制し、脂質代謝を改善する作用、老化の原因となる脂肪酸の酸化を防ぐ抗酸化・老化防止作用、腸を刺激し便通をよくする作用があると言われている。また、血栓形成の予防、紫外線障害の抑制、肥満防止などに効果があると期待されている。

食物繊維

 人の消化酵素で消化されない炭水化物の難消化成分で、セルロース、リグニンなどの不溶性食物繊維と粘質多糖類などの水溶性食物繊維に大別される。

1)不溶性食物繊維
 ①咀嚼回数が増加し、唾液の分泌が亢進するため、早食い防止や満腹感を得やすく、過食や肥満の防止。②消化管内で水分を吸収・膨張し腸の蠕動運動を促進するため、便秘の予防・改善。③腸内の有害物質の排出を促進し、大腸がん発生予防。などの効果が知られている。

2)水溶性食物繊維
 消化管内で水分を含むゲル状になり、①糖分の吸収速度を遅らせ、食後の血糖値の急激な上昇とインスリンの急速な消費を防ぎ、糖尿病の予防効果がある。②コレステロールの吸収抑制とコレステロール由来の胆汁酸排出を促進するため、血中コレステロールが減少し動脈硬化を予防する。③脳に働きかけて食欲を抑えるようにコントロールする。などの効果があるという。

セサミノール

 ゴマのセサモリンから生成されるが、ゴマ自体には極少量ふくまれ、ゴマ油の製造過程で大量のセサミノールが生産される。強力な抗酸化作用があり、細胞の老化やがんの促進因子と考えられている過酸化脂質の生成を抑制するため、老化防止、がん予防、動脈硬化の予防、肝臓病改善、二日酔い改善などに有効であるといわれている。また、ゴマ種子には、リノール酸やリノレン酸を主構成脂肪酸とする脂肪油(ゴマ油)が45~50%、セサミンやセサミノール、セサモリンなどのリグナン類が1%程度含有されている。
これらのリグナン類が加熱処理によってセサモールやサミンが生成すると、強い抗酸化作用を有するといわれる。このゴマリグナンの半分を占めるセサミンはビタミンEの約6倍の抗酸化作用を示すことが報告されている。この抗酸化作用として、人の体内で効果が示されたものは今のところビタミンEとセサミンだけという。

ゴマの効能
 ゴマは約2000万年前にアフリカで発祥したと言われ、古くから油をとるために栽培された植物で、メソポタミアや古代エジプトの遺跡からその種子が発見されている。紀元前1555年頃に著されたとされている古代エジプト医学書「エーベルス・パピルス」にも収載されており、薬用や食用とされるほか、ゴマ油が顔料として用いられたと伝えられている。有名な「千一夜物語」に「開けゴマ」の呪文があるように、6世紀頃の中近東では身近な植物であったようである。中国では、2000年前に著された古代中国の薬物書『神農本草経』の上品(不老延命を目的とする薬)に胡麻が収載され、滋養強壮、粘滑、解毒薬として虚弱体質の改善や病後の回復、便秘の治療、また、火傷、歯痛、瘡癰などの治療改善に外用され、また長く服用すると目や耳が鋭敏になると言われている。
 インドやスリランカなどの伝承医学であるアーユルヴエーダにおいても、歯を丈人にし、口内炎や鼻炎の治療および顔の老化を防ぐ効果があり、ゴマ油でのうがいや鼻への滴下がすすめられているなど万能薬として認めており、中国の薬効と共通するところが多い。また、老化防止のマッサージにもゴマ油はなくてはならないものといわれる。(近藤雅雄)

スコルジン

 ニンニクに含まれる有効成分で、エネルギーの燃焼促進作用、末梢血管拡張作用、血中コレステロール低下作用などの作用が知られている。

シスチン

 システインというアミノ酸が2つ結合したもので、卵殻膜に豊富に含まれている。システインはS(イオウ)を含むアミノ酸で髪の毛や爪、皮膚など、からだの表面に多く存在するアミノ酸で体内ではメチオニンというアミノ酸から合成される。しかし、飲酒などによって合成が阻害されるため、食事から積極的に摂取することが重要である。システインを含む食品として大豆、かきや栗などがあるが、最近卵の殻の内部にある薄皮(卵殻膜)にシスチンが豊富に含まれていることがわかった。
 シスチンは美容の維持に役立ち、美肌を求める女性向けサプリメントに利用されている。摂取するにはビタミンCとあわせて摂取するとよいといわれる。

サポニン

 植物界に存在する多環式化合物をアグリコンとする配糖体の総称。アグリコンはサポゲニンと呼ばれ、その構造の違いによりトリテルペノイドサポニンとステロイドサポニンに分けられ、一般に発泡性、溶血作用を持つ。
サポニンは苦味、渋み、えぐみと言って不快感の原因ともなる成分で、水と油の両方に溶ける。血管に付着したコレステロールなどの異物を除去したり、血中脂肪を低減させるはたらきがあるため、動脈硬化、高血圧、高脂質血症などを予防・改善する効果が期待される。しかし、サポニンの多くは溶血作用があり注意を要するが、大豆サポニンについては溶血性や毒性がないという。
大豆サポニンには脂質の合成・吸収抑制作用、脂質の分解促進作用があり、肥満防止に有効であるという。また、肝細胞の再生に関与し、肝機能障害の改善にも効果があるといわれる。