ルテイン

 ルテインとはカロテノイド(食品に含まれる赤、黄、橙などの色素の総称)の一種で、ゼアキサンチン(黄斑中央部の主要な構成物質であるが、網膜周辺部位ではルテインが主要な構成物質である)と共に黄斑部にとくに多く含まれているが、体内で合成できない栄養素で加齢によって減少する。
 ルテインは抗酸化作用によって目の酸化ストレスを防ぎ、パソコンなどから放射される強い青色光や紫外線から黄斑部を守っている。エイジングによって体内のルテイン量が減少し、加齢に伴う白内障や視力低下・失明を招く加齢黄斑変性などの様々な目の障害を増加させるとの指摘があり、今後の研究が期待されている。ルテインを含む緑黄色野菜や果物を日常的に摂取している人は、網膜を保護する黄斑色素の濃度が高く、加齢黄斑変性や白内障になる確率が低いと言われている。さらにDHAを一緒に摂ると目に対する抗酸化作用が増強すると言われている。

緑茶

 カテキン(渋味成分)、カフェイン(苦味成分)、テアニン(うま味成分)、ビタミン類(C、E、B2、葉酸)、ミネラル類(カリウム、カルシウム、リン、マンガン、フッ素など)、β-カロテン、γ-アミノ酪酸、サポニン、食物繊維、クロロフィルなどが含まれ、これら成分による脳機能の保持、リラックス作用(α波出現)、認知症予防、神経管閉鎖障害の発症予防、覚醒作用(疲労感や眠気の除去)、抗酸化作用、血中コレステロールの低下、体脂肪低下、がん予防、虫歯予防、抗菌作用、血圧上昇抑制作用、動脈硬化予防、血糖上昇抑制作用、口臭予防(脱臭作用)、持久力増加、二日酔い防止、利尿促進作用、皮膚や粘膜の健康維持(コラーゲン形成促進)、皮膚や粘膜の健康維持、夜間の視力維持など、多様な作用が知られている。

レシチン

 卵黄、大豆、酵母、カビ類などに含まれるリン脂質で、生体膜の主要構成成分。体重の約1%がレシチンであり、リン脂質としては最も多く、細胞膜などの生体膜や脳、神経組織の構成成分として重要である。体内で脂肪はタンパク質と結合して血液中を移動するが、このタンパク質と脂肪の結合にレシチンを必要とする。
 臨床的には痔や皮膚病の治療薬、アルコール性肝障害に伴う肝臓の繊維化と肝硬変の予防、肝障害の改善、C型肝炎の改善などが報告されている。
 作用としては、脳内のアセチルコリン(神経化学伝達物質)合成に不可欠な成分であることから記憶力や集中力を高め脳の機能を保持する。認知症の予防、動脈硬化の予防、糖尿病の予防、脂肪肝の改善、肥満の解消・予防などである。不足すると、疲労、免疫力低下、不眠、動脈硬化、糖尿病、悪玉コレステロールの沈着など多くの症状の原因となることが知られている。しかし、経口摂取で下痢、吐き気、腹痛などが報告され、ヒトでの有効性・安全性については信頼できるデータに乏しい。妊娠中・授乳中および通常の食物中の含有量を超える摂取は避けるべきである。

ラクトフェリン

 1939年、ベルギーにて牛乳成分の中に赤いたんぱく質が発見され、乳(ラクト)と鉄(フェリン)からラクトフェリンと命名された。  ラクトフェリンは哺乳動物の乳に含まれている多機能タンパク質で、母乳中にも含まれ、生れたばかりの赤ちゃんが、母親から受け継いだ抗体により、風邪などの病気にかかりにくくなっている。特に初乳には5∼8g/L含まれ、通常の母乳の2~3倍多く含まれている。初乳を飲むことによって感染などに対する抵抗力を持つ。  効果としては、微生物の増殖を抑える抗菌作用、大腸菌などの悪玉菌の増殖を抑え、ビフィズス菌などの善玉菌の増殖を促進する。その他、抗炎症作用、免疫強化、抗ウイルス作用、がん予防、がん転移抑制効果などが知られている。(近藤雅雄:平成27年8月7日掲載)

レシチン

 ギリシャ語の卵黄に由来し、ホスファチジルコリンとも呼ばれるリン酸と脂質が結合した物質で、細胞膜などの生体膜や脳・神経組織の構成に欠かせないリン脂質の一つである。乳化作用(界面活性作用)があり、マヨネーズなどの乳化剤として有名であるが、コレステロールが血管壁に沈着するのを防ぎ、血栓を溶かして血液の流れを良くする。また肝臓への脂肪の蓄積を防ぎ、ビタミンAやEなどの脂溶性ビタミンの吸収を高める。したがって、脂肪肝、肝硬変、動脈硬化の予防効果がある。最近では認知症防止や肥満予防に効果があるといわれている。
 レシチンには動物性と植物性があり、コレステロールを乳化するのは植物性だけといわれており、卵黄、大豆、大豆加工品、ビーナッツ、酵母などに多く含まれている。(近藤雅雄)

ルテオリン

 ルテオリンはフラボノイドという抗酸化物質の一種で、さまざまな作用を持つ。ルテオリンの代表的な作用の一つとしてあげられるのが、肝臓の解毒作用の促進である。例えば、発生した癌を、細胞外マトリックスを保護することによって、その成長を抑止する作用も報告されている。また、帝京大学薬学部の山崎博士は炎症性サイトカイン(TNF)生産抑制活性を見出し、さらに、従来フラボノイドはあまり生体内に吸収されないとされていたが、ラットを用いた研究では投与量の約4%が、皮膚からもルテオリンやその配糖体が実際に吸収されることを示した。
 最近、岐阜薬科大学の永井博士はアレルギー発症に必須のマップキナーゼの抑制作用が見出し、新しい抗アレルギー薬の候補ともなっている。
 ルテオリンの作用として最も知られているのが、花粉症やアトピーといったアレルギー症状を押さえることである。ルテオリンなどのポリフェノールは、「ロイコトリエン」という炎症を引き起こす物質を作り出す際に必要な酵素を阻害するため、花粉症の症状、とくに鼻づまり防止に効果を発揮すると言われている。したがって、効能としてはしみ、そばかすの予防、アトピー性皮膚炎の改善、アレルギー疾患改善、花粉症、抗酸化作用、免疫力増加などが知られているが、人での科学的根拠はまだ乏しい。
 ルテオリンを含む食品として、ピーマン、しそ、春菊、カモミール、味噌、イチョウ、明日葉などが知られている。(近藤雅雄)

ルチン

 ルチンはビタミンCの研究中に発見されたビタミン様物質で、ビタミンPの一種である。ジャガイモの花やそばの全草(とくにそばの外側の殻に近い部分に多く含まれる)、中国産の豆のエンジュの葉、つぼみなどに含まれ、そばの特徴的な成分である。ルチンはビタミンCとともに働くため、ビタミンCの豊富な野菜や果物と一緒に摂取するとよい。そして、高血圧や脳血管障害の予防など生活習慣病の改善に効果があるといわれる。