“血液のがん”「原発性マクログロブリン血症」

本書は“血液のがん”「原発性マクログロブリン血症(WM)」について、診断、病態、治療、予後、Q&Aなどについてまとめた本です。執筆に至った経緯(趣旨)は
①本疾患が100万人に数人という超稀少疾患であり、5年生存率36~50%で根治は望めない。
②70歳以上の高齢者に比較的多く発症する。
③大学医学部附属病院でのがん治療の意義。
④新型コロナウイルスmRNAワクチン接種のリスクと政治・行政。
⑤病は気から、健康と病気、自発的治癒の経験。
⑥超稀少疾患のため、標準治療法、臨床統計、疫学データが確立していない。
⑦本症に対する研究があまり行われていない。
などが主な理由です。

 本書は自費出版物です。

PDF:WM、目次2024.4

君が見る夢、4つの夢とその生理

人は生涯を通して多彩な夢を見る。広義には記憶に関わる「睡眠中に見る」ものと生きるための活力となる「将来の希望」といったものの2種類があり、どちらも社会生活上重要である。本稿では、これに2つを加えた4つに分類し、筆者の経験に基づき、その生理について解剖した。
第1の夢はレム睡眠中に見る無意識の夢であり、喜・怒・哀・楽・愛・悪・欲の7情に関するものが多い。
第2の夢は睡眠中に見るものではなく、将来の希望や人生の目標と言ったものを指す。目標を設定し、強い意志でそれに立ち向かえば夢は叶えられることが多い。
第3の夢は寝る前とレム睡眠時に強く意識したことが夢となって現れ、新たなアイデアや発想が浮かんでくることがある。強い意志が夢を呼ぶのだ。
第4の夢は死に直面した無意識の夢「忘却の物語」である。現実世界と死後世界の境界である。臨死体験だが、「川」「光」「闇」の出現は広く知られている。
「人生は夢と共にあり、夢と共に消えゆく」夢が人生を変える。ならば、楽しい夢のある夢を見て生きて行きたいものだ。
PDF:夢23.10.22.vir1doc

単行本「前へ」出版

本書は、学びの路線「研究職と教育職」を生涯の職として選択し、それを走破、たどり着いた我が学者人生を追懐した。昭和から平成、令和の3時代を生き、そして、古希を過ぎ、終の人生を迎えるにあたって、過去の多くの出来事を記録し、後世に遺すことは、次代に生きる人の「人生の道しるべ」として役立つかもしれない。また、生きるヒントになるかもしれない、終の人生を世話になった人への感謝と次代への引継ぎとして本書の創作を企画した。 人は誰にでも死は訪れるものだ。これまで幸せな生活を送り、突然に「死を宣告」された時、大切な言葉を一つ挙げるならば、それは「前へ」であった。死に行く者も、生きていればさまざまな喜怒哀楽、ストレスが日々変化して訪れる。それをうまくコントロールし、「前へ」突進む努力をする。人間は、前向きで、大切なものをこころに持ち、素直に社会に貢献する謙虚な姿勢を持ち続けることが大切だ。それを行動に移し、新たな道を拓き生きて行く。そして、「1日でも長く健康で、前へ生きる」、「家族のため、社会のために頑張る」が最も基本的で豊かな人生といえる。さらに、そこに「感謝する人がいて、そして、感謝される」そういう人生は真に幸せである。
本書は、勉強が嫌いな子どもが、高校に進んでから勉強が好きになり、多くの良き人間に恵まれ「学び」を生涯の職として生きる人生の記録集である。第1章は過去の忘れられない時代を検証した。第2章は筆者の主な先駆的な研究の成果を記し、次代への参考とした。第3章は健康寿命の延伸とQOL向上を目指し、自発的治癒の重要性と新たな病気に侵された筆者の挑戦について記録した。第4章は平成19年以降、教育機関などで行った挨拶を「こころのメッセージ」として綴った。第5章は昭和、平成、令和の時代を駆け巡った教育・研究者としての実録と「人生の道しるべ」となった人々との出会いを回想した。第6章は家族、恩人、友人などへの感謝と伝えたい言葉、夢を見ることの重要性、そして、多くの人への感謝をこころ込めて綴った。(B5版、216頁)
令和5(2023)年8月 近藤 雅雄

医学書「指定難病 日本のポルフィリン症」1, 2, 3 を出版

ポルフィリン症について、3部作で纏めました。
まず、第1部はポルフィリン症の診断・治療、患者の権利、指定難病・未承認薬獲得までの経緯など医学・医療の総合的書物として纏めました。
2022年7月、「ポルフィリン症」の歴史、病因、診断法、診断基準、治療法、疫学・臨床統計、予防法、生活実態などについて、40年以上に亘る研究の成果を独自の視点から科学的に纏めました。また、未承認薬や指定難病の承認の経緯などについて纏めました。(B5版、321ページ)

構成は「Ⅰ.医学編」と「Ⅱ.患者編」に分け、医学編(第1章)ではポルフィリン症の医学と題し、遺伝性ポルフィリン症が「指定難病」認定のきっかけとなった調査研究として、2009年、厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)の「遺伝性ポルフィリン症の全国疫学調査ならびに診断・治療法の開発に関する研究」研究班(研究代表者:筆者)を中心に纏めた診断基準および治療指針を編集・修正して記載すると同時にポルフィリン・ヘム生合成機序ならびにその調節機序、遺伝性ポルフィリン症の発症機序などについて纏めました。患者編(第2~5章)では患者を中心とし、第2章は患者さんの権利獲得に向けた活動(指定難病、未承認薬承認)を中心に書きました。第3~5章は患者さんの治療後の現状、診療体制の問題点、患者さんの生活習慣改善、健康維持に関する諸情報を纏めました。

本書が医師などの医療関係者、医学研究者等々の目に留まり、ポルフィリン症患者の診断の向上並びに臨床研究の発展に繋がることを期待しています。そして、何よりもポルフィリン症患者さんのQOLの向上と健康寿命の延伸、そして、患者さん方が未来に向かって安心・安全な社会活動が送れるよう、病気が根治可能な社会となることを願っています。
そして、第2部、第3部については、2023年4月、「ポルフィリン症2」(B5、200ページ)の診断と治療について、臨床研究用に纏めました。
また、「ポルフィリン症3」(B5,252ページ)は臨床医用に即診断と治療に利用できるよう纏めました。
PDF

植物内ポリフェノールの増量方法の発見

現代人の免疫能は低下し、特に高齢者の免疫能は著しく低下している。その主な原因として、急速な食生活の変化、肥満、加齢、ストレスなど、各種酸化ストレスによる影響が示唆されている。この活性酸素が原因で起こる各種疾病の防御を目的としてフラボノイド類の摂取が注目されている。フラボノイド類には約5-7,000種ともいわれる多数の物質が報告され、その構造は極めて似ているが、その抗酸化機能は各種異なる。これらフラボノイドの標準統一分析方法は未だになく、各々の抗酸化物質の抗酸化能についてもはっきりしていない。
そこで、約30種類の抗酸化物質についてその作用を検討すると同時に、世界に先駆けてUV検出器とHPLC分析による各種フラボノイドの一斉同時自動分析法の開発を行った。さらに、各種野菜・果物のフラボノイドを分画定量し、その含有量およびペンタキープ(ALA肥料、コスモ石油(株))投与による影響を検討した。その結果、これまでに多くの抗酸化物質の中で、ルテオリンが細胞内・外での活性酸素消去能が最も高いことを証明し、さらに、ALAを投与し栽培した植物のフラボノイドおよびミネラル量に及ぼす影響について検討を行った。その結果、ルテオリン(図)をはじめフラボノイド類が平均約10倍増量することを見出した。
PDF:ALA-ポリフェノール

二つの脳、右脳と左脳

脳は大脳(皮質、辺縁系、基底核)、間脳(視床、視床下部)、脳幹(中脳、橋、延髄)、小脳からなりますが、人では他の哺乳動物と異なって大脳皮質が大きく発達し、知的な活動もコントロールできるようになりました。この皮質については、①全ての人が同じ数の神経細胞(約140億個)を持つ。②心身(こころとからだの働き)の司令塔である。③感覚、運動の統合、意志、創造、思考、言語、感情の中心となる。④成長に従って発達し、ゆっくり退化する。⑤一日、週、月、四季、摂食・消化、神経・ホルモンの各リズムが存在する。⑥心身の疲労を回復し、記憶に役立つ睡眠のリズムが存在する。⑦男と女との違い等、脳の中で最も重要ですが、その中で人として最も大切なのが、前頭連合野です。この部位は思考、言語、理解、理性、感性と8つの知性など人間としてのこころの働き(精神活動)の中心となっているので、人としての「こころの中枢」と言えます。 PDF:右脳と左脳

内リンパ水腫(蝸牛型メニエール病)の治療評価法の新規作成と治療体験

 近年、蝸牛型メニエール病(急性低音障害型感音性難聴, ALHL)の発症が増加している。本症は「内リンパ水腫」を原因とするのでメニエール病の不全型ともいえる。症状は激しい回転性のめまいはなく、低音が聞こえにくい難聴、耳鳴り、耳閉塞感を主とし、状態がよくなっても再発を繰り返すのが特徴で、メニエール病に移行することが多い。病気が完成すると難治性となるため、早期の治療が重要である。しかしながら、現代の医療では治療法は確立していない。一般的によく言われているのが、安静の確保とストレスを取り除くこと。そして、基本的な薬物療法を行うことである。薬物療法の第一選択は強い浸透圧による脱水力で内リンパ水腫を軽減させるイソソルビドなどの利尿剤が用いられる。内耳の血液循環改善薬が使われることも多い。また、炎症を抑えるためにステロイド剤や精神安定剤、ビタミンB12製剤も使われることがある。

 本論文では、筆者自らALHLを発症したのを契機に、治療に対する評価法を新たに作成し、科学的に原因究明と治療の経過を追及したので報告する。また、本疾患を体験して、大学病院の耳鼻咽喉科における医療の現状についても報告した。(2022年8月1日執筆)

PDF:メニエール病論文  

グローバル社会に生きる-海外に行き、海外を知り、海外で活躍そして日本に貢献-

 たった一つの新型コロナウイルスによってすべての価値が一変しました。あっという間に、このウイルスは世界中に拡散して私たちを自粛の世界へと導き、オンライン勤務、物の売買や教育など、社会生活を一変させ、日本経済の破綻を加速させました。社会生活においてはコンピュータ(PC)やスマホが日常生活上不可欠となり、この2つがあればどこでも仕事ができ、オンラインやテレワーク、在宅という言葉が日常化しました。また、情報や生活必要品はいつでも自宅にいながら得ることができるようになりました。一方で、飛行機やリニアなどの交通の利便性により、世界が身近になり、さらに空飛ぶ自動車やドローンの開発など、すでに現代はグローバル社会であることに気付きます。

 グローバル化とは、社会的あるいは経済的な事象などが国や地域などの境界を越えて地球規模で拡大し、多様な変化を起こす現象ですが、現代はすでにグローバル社会(国際化時代)といえます。そして、国境を越えた市場の時代を迎え、グローバルビジネスや企業はもとより官公庁、大学でも必須となっています。

 このようにグローバル21世紀を生きる私たちは、急速な時代の変化を理解し、それ対応する能力を持ち、さらに、海外で多様に活動する気概も必要です。日本人はこのグローバル時代に、海外に行き、海外を知り、海外での活躍に呼応していかないと、日本の地位は更に低下するでしょう。

 私たちはグローバル社会を理解し、その実態を自分の目で見て、異文化を理解する必要性があります。私も、44歳時に米国ニューヨーク州マンハッタンにあるロックフェラー大学にて友人の藤田先生と共に血液生化学のプロフェッサーと共同研究を行うために2~3か月間の研究生活を体験しました。滞在中に世界に先駆けて患者の遺伝子の異常を発見し、発症機序を解明しました。その時の経験は日本ではまったく得ることができないほど貴重なもので、その後の人生(教育・研究)は大きく変わりました。私が海外生活を送ったのは中年期でしたが、海外生活は若ければ若いほどその体験は大きな広がりを見せます。しかし、中・高齢期であっても得られる価値観は同じで、その後の人生、社会が大きく良い方向に変わっていくものと信じます。

 海外で活躍したい人、海外での生活に興味がある人、外国人と接したい人、海外留学したい人は勿論のこと、日本国内でこれから頑張ろうという人もグローバル時代に国際人として活躍し、生きる資質を身につけることが当然の如く必要となってきます。

 現在、日本の経済力、科学技術力、教育力などが低下、GDPも2010年に中国に抜かれてから急速に低下し、しかも「国の借金」は1,200兆円を超えています。このように、現代日本社会はいつ崩壊してもおかしくない不安定なバランスの上に成り立っています。すでに「日本の未来予測年表と医療」に記載しましたが、2065年以降日本は経済が破綻し、外国人によって無人の日本国土が占拠される(もう始まっている)。日本国はどこに向かっているのだろうか?50年後、100年後といった未来への展望がみえません。現在の日本組織はかなり脆弱になっています。現金(ポイント)のバラマキが横行している今日、年金介護問題、少子高齢社会、国家財政の破綻などの多くの問題を抱えている日本ですが、日本国民として、歴史を重んじ平和で幸せな活力ある国家となるよう期待したいです。

 グローバル社会は1975年松下幸之助氏曰く、「国際化時代とは一国一民族という垣根をはなれて、多くの国、多くの民族、あるいは多くの言語や習慣の違う人々と交わり、共同作業をすることが多くなる時代です。その時に最も大事なのは、世界人類が共々に持っている人間としての本質と共に、国や民族、あるいは時代によって違っている面を、正しく見つめ、理解し、これを生かし合っていくことであろう。」と述べています。科学分野では、この70~90年代は多くの若手博士研究者が海外に留学に出ました。米、英、仏、独国などが多く、帰国後は大学や研究所で活躍しましたが、その後は研究者の留学は減少し、逆に留学した経験を基に大学のグローバル授業の一環として海外大学協定校への留学システムを構築し、学生の留学数が増加しています。これは日本にとって大変良いことと思います。

 一方、東洋医学におけるICD-11第26章活用およびICF, ICHIの導入として、伝統医学のグローバル化が注目されています。伝統医療は多数あり、多様な文化的背景に根差す風土固有の規範、信念、経験に基づく知識、技術、実践法が集約されたものであり、人々の健康維持と共に、心身の病を診断、治療する手段として利用されてきたものです。そこで、大志を掲げるあはき師も、日本の伝統精神と療法をしっかりと受継ぎ、東洋医学療術師として現代および次代のグローバル時代を生き、国際人として大いに活躍していってほしいと願います。(近藤雅雄:2022年7月8日)

運動とミネラル:激運動による血液中モリブデン量の減少

 運動は動物にとって生命を維持する上で不可欠な仕事であるが、激しい運動(競技用スポーツ)の場合はそれなりの管理が必要となる。そこで、日常的に激しい運動を行っている男子大学駅伝選手および女子高校バスケットボール選手の体内ミネラルの影響について、とくに汗や代謝によって失われる微量元素の血液中の変動を検討した。
 その結果、選手群は男女共に日常的に運動をしていない対照群に比してモリブデン(Mo)量の著明な減少を世界に先駆けて見出した。また、男子選手群では対照群に比してマンガン(Mn), ガリウム(Ga), スズ(Sn)の有意な減少(p<0.05)とニッケル(Ni), カドミウム(Cd)の増加傾向を見出した。女子選手群では亜鉛(Zn)が対照群に比して有意に減少(p<0.05)したが、男子では有意差は見られなかった。
 以上の結果、激しいスポーツ活動が血液中のミネラル量に与える影響は男女で異なることがわかった。しかし、Moについては男女ともに選手群で著明に減少しており、激運動によってMo量が減少することが明らかとなった。PDF:運動とミネラル

高齢者の健康寿命の延伸を目指して~エイジングの機序とアンチエイジング

健康で生きられる期間を「健康寿命」と言いますが、2016年の日本人の健康寿命は男性71.14歳(2020年の平均寿命は81.64歳)、女性74.79歳(同87.74歳)です。女性の方が男性よりも約6年長生きですが、不健康状態が約2.5年、すなわち介護を要する期間が長い。そして、共に約10年以上、不健康状態が見られます。この原因の一つが酸化ストレスですので、高齢者の健康寿命の延伸とQOL(生活の質)の向上を図るためには、改めて健康増進の三原則「栄養・運動・休養」を見直すことが大切です。そこで、アンチエイジングを目的に、エイジング(加齢、老化)に影響を与える要因を明らかにし、それを除去する方法について検討しました。PDF:加齢の病態生理~アンチエイジング2

鉄欠乏性貧血~ヘム合成とミネラルバランスの新知見~ 

鉄欠乏性貧血は発展途上国のみならず先進諸国においても非常にポピュラーな疾患で、すべての年代での発症が認められます。この原因として、発展途上国では栄養欠乏が、先進諸国では栄養バランスの悪い食事が、各々指摘されています。鉄欠乏状態が続くと,まず貯蔵鉄が減少し,次に血清鉄,最終的にヘモグロビン量が減少し,貧血の発症に至ります。貧血になると免疫機能が損なわれ、心身の様々な機能が低下します。
途上国においてはヨード、ビタミンA、鉄、亜鉛の4大微量栄養素欠乏症の中で、鉄欠乏性貧血症は、最も対策の遅れている健康問題の一つです。我々は血液学的検査と症状から12例の典型的な鉄欠乏性貧血患者を見出し、本症の病態生理として新たにヘム合成とミネラルバランスに関する知見を得ました。そこで、貧血の原因、症状、予防と治療を加えて報告します。(参考文献:Kondo M et al. Iron deficiency anemia, in PORPHYRINS 14(2) 99-104, 2005) PDF:鉄欠乏性貧血症

紅茶による胃がんと風邪の予防

紅茶の健康効果は沢山ありますが、2つを挙げました。
1.胃がんの予防
胃がん発症の一次予防としてはピロリ菌除去と塩分を控えることが大切ですが、紅茶飲用による予防も可能かもしれません。

2.風邪の予防
紅茶(発酵茶)には緑茶に含まれる抗酸化物「カテキン」が発酵過程でテアフラビン(紅茶ポリフェノール)となり、これがインフルエンザウイルスに対して効果があると言われています。紅茶でうがいをしてはどうでしょうか。風邪ウイルスの感染予防として期待できかもしれません。現代のコロナ禍時代は口腔ケアの時代とも言えますね。
 いずれにしてもこれらの詳細は下記のPDFを参照してください。 PDF:紅茶と健康    

日本の未来予測~これから80年

 新型コロナウイルス(COVID-19)は昨年末(2020年12月8日)中国武漢で発生以来、南極大陸を除く全ての大陸に瞬く間に広がりました。この世界的大流行は今後の世界及び日本の未来に大きく影響を与えることは確実です。事実、流行地域のすべての国において、甚大な社会的、経済的、そして政治的危機を引き起こし、医療・福祉、教育、食糧・食生活、地域社会、レジャー、仕事、働き方等々、日常生活に大きな影響を与えています。同時に、今回のパンデミックから新たな感染症や地球環境の異常、経済の大恐慌、覇権統治・覇者の誕生、国家間の紛争など、この地球上でいつ起きてもおかしくない状況にあることを学びました。
 さらに、現在のGAFA(4つの巨大企業グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に依存したIT社会、汎用AI、デジタル化など、このコロナ禍によって一気に加速することが考えられます。高齢者にとっては益々住み難い社会となるでしょう。人間らしい生き方、人間社会のあり方、社会・経済・政治のあり方等、国家のあり方について、私たちが生活を営む「地球環境と生物多様性」の保全を基本に、真摯に考え直す時期が今です。
 私は地球規模的に、いつどのような危機が到来しても子どもと高齢者が住みやすい、健康で人間としての尊厳を失わず、生きる術として大切な善悪の判断、感謝し奉仕する素直なこころ、さらに、前向きに生活技術の工夫を行う知恵と将来を夢見るこころを持って「自由」なこころで、「正当性」「責任」を持って、「平和」に貢献できる人間社会の構築を願っています。
 そこで、今後80年間の日本の未来について検討し、PDFに予測年表として掲載しました。内容は今回のコロナ禍によって変わることが予測されます。(近藤雅雄:2020年10月18日掲載)
PDF:日本の未来20.10.18

こころとからだの健康(18)幸せホルモン・愛情ホルモン「オキシトシン」の多様性

 幸せホルモン、愛情ホルモンとして有名なオキシトシン(Oxytocin, OXT)は、視床下部の室傍核(PVN)と視索上核(SON)の神経細胞で生産され、脳下垂体の後葉から血管内分泌される9個のアミノ酸(Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)からなるペプチドホルモンです。1906年に英国の研究者ヘンリー・ハレット・デールによって発見され、出産時に子宮を収縮させる作用があることから「早い」と「陣痛」(oxy「早い」、tocin「出産」)を意味するギリシャ語として命名され、1952年に分子構造が決定されました。このホルモンの半減期(寿命)は約3分と短い。

 オキシトシンの分泌調節には未だに不明な点が多いが、エストロゲンによって分泌が増加し、オキシトシン受容体の発現を脳内で増加させる。これまでに、オキシトシンは分娩時に子宮平滑筋を収縮させ陣痛を促進させる作用と授乳による乳頭への機械的刺激に応答して乳汁射出を促す作用があることからり、出産と新生児の栄養補給に不可欠なホルモンとして広く知られてきた。

 一方、男性にもオキシトシンが存在することが分かっていましたが、その作用は長い間不明でした。それが、近年の分子生物学的手法によって、男女共にオキシトシンは大脳皮質前頭前野、海馬、扁桃体などに作用し、抗ストレス、摂食抑制、うつ病の改善、鎮痛、鎮静、催眠、感情、記憶、学習能力の向上、認知症予防など多様な作用が相次いで見出されています。そして、中枢神経のほか、子宮、乳腺、皮膚、腎臓、心臓、胸腺、膵臓、脂肪組織でも発現が確認され、その作用が注目されています。

 本稿では「オキシトシン」検索を行った結果、Google 166万件、Yahoo 201万件ヒット (2019年8月20日現在) し、この中からオキシトシン作用の多様性についてまとめました。
(近藤雅雄:2019年9月1日発表、2020年6月14日掲載)

以下のPDFに内容を示しました。PDF:オキシトシン縦書き    

「こころとからだの健康」第2版出版

 地球規模的に「こころとからだの健康」が問われています。「こころの健康」では海外における人と人との争い、国と国との争い、国内ではいじめ、児童虐待、車社会におけるいわゆる「あおり」、京都アニメーション放火事件等々、非常識な事案が続いています。
 また、「からだの健康」では生活習慣病の増加をはじめ、遺伝子編集、地球環境問題など普通でないことが平然と行われています。
 こころとからだは「心身一如」であり、このどちらかが障害されると、心と身体のバランスが崩れさまざまな障害となって現われてきます。また、2019年11~12月以降に中国武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染者および死亡者数の増加はこころとからだの両方に深刻な影響を与え、2020年3月11日に漸くWHOはパンデミック宣言を致しました。このウイルスによってすべての価値が破壊されようとしています。人類の英知によって、何としても「いのちとこころとからだの健康」は守らなければなりません。

 人間形成の基盤を成すこころの教育とは、さまざまな体験や体感を通して、生きるこころと生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころ、前向きなこころといった人としての基礎を育むことが大切です。そして、人間を科学(健康、病気、福祉、コミュニケーションなど)できる人材を育てる。さらに、社会が期待する、①前に踏み出す力、②考え抜く力、③チームで働く力を持った人材を育てることが大切です。

 そのためには、自分を取り巻く環境に感謝するこころを持つことは勿論、人間社会において基本的である相手の立場になって(他のすべての生物に対しても共通しています。)、行動することであり、自分自身のQOL(生活の質・人生の質)をいかに高めるかを考えることが大切です。

 ヒトを取り巻くさまざまな環境要因と共存していることを常に念頭に入れた、地域・国家・地球・宇宙を考慮した包括的・学際的な正しい総合的・人文・社会科学的知識が必要であると同時に、このような社会の変遷に対して、常に謙虚に歴史・現状および将来を見据え、現状において最も重要な問題を正しく捕らえた科学的、精神的教育を行うことが必要です。そのための基本的教養を家庭・学校・地域・社会で学ぶことが大切です。
 基本的教養を身につけることは、生きる術として大切な善悪の判断、感謝し奉仕するといった素直なこころ、さらに、前向きに生活技術の工夫を行う知恵と未来を夢見るこころを持つことです。

 この地球上に生まれてきた人間は、この地球を支配する管理者として、この美しい地球を次代に引き継ぐ責任があります。それは人としての義務です。地球環境の保全、持続的な平和を堅持していくために、「こころとからだの健康」が最も大切であることを認識し・未来図を描いて行ってほしいと願います。

 本書では、「こころとからだの健康」と題して、人間教育の四原則である徳育、知育、体育、食育および環境問題などについて、教育・研究・運営の経験をもとに執筆しました。(近藤雅雄著 2020年3月3日発行、総ページ数140p,A4)


目 次
はじめに
1.人間として生きる力を育てる
2.遊びから学ぶ幼児教育、子育て習慣および期待される人材
3.社会の変貌と大学における教育のあり方
4.人を育てる~大学のリーダーに求められる37の習慣
5.研究成果は人類の宝、特に保健・医療・福祉に関わる研究の成果はすべて公開する義務がある
6.健常人と難病患者
7.「ポルフィリン症」難病指定への道
8.研究に懸ける思い~指定難病「ポルフィリン症」診断法の開発、患者発見に対する熱い思い
(1)ポルフィリン症専門外来開設への熱き思い
(2)研究には投資が必要~研究すればするほど自己負担が増加
9.正しい栄養素の摂取と言葉
10.健全な食生活をめざして~現代日本人の食生活を考える
11.食文化の変遷と食育~日本型食生活による健康寿命の延伸
12.食生活と栄養と食育
13.栄養学と医師
14.「こころとからだの健康」12の習慣
15.男と女の寿命の差
16.右脳と左脳を知る
17.摂食障害
18.肥満対策
19.ストレスと心身の障害
20.治癒と治療
21.生体防御機構と免疫システム
22.中高年齢者の免疫強化によるアンチエイジング
23.5-アミノレブリン酸の多様な生物機能
24.ホメオスタシスと生体リズム
25.目の病気の予防・対策に必要な栄養素と食品
26.脳を元気にする食と栄養素
27.血液型と病気
28.人間と地球環境
29.皮膚とこころ
30.幸せホルモン「オキシトシン」作用の多様性
おわりに「君に贈る言葉」
付録 リヴ物語
   国立公衆衛生院
   ロックフェラー大学
   日本の未来年表と医療

国際鍼灸専門学校、在校生・新入生へのメッセージ

国際鍼灸専門学校の在校生並びに新入生の皆様
 昨年(2019)11~12月以降に中国武漢市で発生した新型コロナウイルス感染が世界中に広がり、パンデミック(世界的大流行)として大きな社会問題となっています。国内の教育機関もこの影響を受け、3学期は休校が相次ぐと同時に慌しい3学期となってしまいました。そして、大変残念ながら、3月31日をもって国際鍼灸専門学校退職に当たり、在校生及び新入生の皆様にご挨拶する機会を逸してしまいした。
皆さんへのメッセージを以下のPDFに認(したた)めました。(近藤雅雄:令和2年3月28日著)
PDF:在校生メッセージ(国鍼2020.3)

生命の科学~講義と問題

 地球および生命の誕生から人間の誕生、進化、生涯を通して、地球と宇宙の恵みに感謝し、自然の営みを大切にするこころを育て、人類の持続可能な発展をもたらす社会をつくるためにはどうしたらよいかを人間の健康を中心として、わかりやすく展望します。

学びの意義と目標 
 健全なこころとからだの働きのメカニズムを学び、地球市民として人類の健康と平和および地球環境の保全に貢献できる教養を身につけます。
 生命の科学は生命の誕生、そして生体を構成する多くの細胞、組織、臓器およびそのネットワーク(生命系)の特有な現象および様々な機能を科学的に究明し、人類の発展に貢献するという、自然科学から人間・総合科学にまたがった広領域の分野です。
 今、地球環境問題、経済産業や社会保障、医療、食糧等の問題は、私たち人類の存続基盤にかかわる大きな問題となっています。人類が、いのちを大切にし、平和で健康な生活を営む中で、豊かさを味わい、心の安らぎを感じられる新たな社会システムの構築が望まれます。
 そこで、これからの社会を担う学生として、生命のしくみ、健康・病気の概念、こころの問題、生命倫理を理解し、平和で、健康的な生活を送るための方法及びそれに必要な生命科学の基本的知識を身につけます。
PDF:生命の科学テキスト(第1講~30)

コンパクト基礎栄養学~講義版

 朝倉書店から出版されている「コンパクト基礎栄養学」の講義版を作成した。
 基礎栄養学講義は、科学的思考の基盤として人間と生活を重視した場合、生物の生命現象はすなわち栄養現象であることから、基礎栄養学に関する科学的・理論的思考力を育て、人間性を磨き、自由で主体的な判断と行動を培う。
 達成目標は、ヒトにおける生物としての普遍的なシステムと特徴について正しく理解することが重要であり、生命現象すなわち栄養現象の基本原理である新陳代謝(動的平衡)の理解を深めると同時に、人間の様々な機能とその維持に必要な栄養について、科学的・論理的思考力を育てる。また、病気の予防、回復、健康を維持するための栄養学の基礎を学び、生活習慣の重要性とその指導に役立つよう根拠のある栄養学の知識を修得する。
 ここでは、教科書「コンパクト基礎栄養学」を実際に講義で利用するときの参考資料として、内容を各章ごとに独自にまとめ、巻末に過去の管理栄養士国家試験問題として出題されたもの及び自作問題を記載したので、各自の勉強又は講義の資料として利用していただけると幸いです。以下のPDFを参照下さい。(近藤雅雄:2020年2月9日掲載)
基礎栄養学(公開用)

ペンタガーデンは植物中の抗酸化能を持つ各種必須ミネラル及びフラボノイドを増やす

 近年、活性酸素が原因で起こる各種疾病からの予防及び健康維持・増進を目的としたフラボノイドの抗酸化能が注目されている。フラボノイドには約7000種ともいわれる多数の化学物質が報告され、その抗酸化能も異なる。そこで、約32種類の抗酸化物質についての抗酸化能を検討した結果、ルテオリンというポリフェノールが細胞内外にて極めて抗酸化能が高いことが分かった。我々は、各種フラボノイドの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法の開発を行うと同時に、各種植物のルテオリン量を調査した結果、ピーマンなどのベルペッパーに多く含まれていることが分かり、ピーマン中の各種フラボノイドの定量分析を行った。 
 さらに、最近注目されている肥料ペンタガーデン(5-アミノレブリン酸(ALA)配合肥料:コスモ誠和アグリカルチャ株式会社、現在は株式会社コスモトレードアンドサービスに変更)を投与し、栽培したピーマンのフラボノイドおよびミネラル量に及ぼす影響について検討を行ったところ、抗酸化作用を有するポリフェノール類の増量並びに多くの必須ミネラル、とくに免疫や抗酸化作用を有するミネラル類が増量することを見出した。

 ALAはクロロフィルやヘム合成に不可欠な鍵となるアミノ酸であり、このALAを配合したペンタガーデンまたはペンタキープには植物生長促進効果、光合成促進、バイオマスの増大、糖度の上昇、硝酸含量の低減、ビタミン含量の向上、低温・低照度耐性、耐塩性などの様々な機能が知られ農林業、施設園芸、野外圃場、都市や砂漠の緑化など多方面で利用されている。

 最近、筆者もテイクオンで購入したペンタガーデンを家庭園芸に用いたところ、花はより鮮やかに、葉はより緑に、また野菜や果物はより大きく、糖度も増し、各種栽培には欠かせない肥料として楽しんでいます。

 ペンタガーデンの“ペンタ“の意味はギリシャ語で5を指し、5番目の炭素にアミノ基を持ったレブリン酸と言うことで、5-アミノレブリン酸と言い、このアミノ基が植物の成長に大変重要であることからペンタシリーズが開発されたものと推測される。近藤雅雄(2019年6月10日掲載)

 なお、 ペンタガーデンテイクオンALAショツプhttp://takeon-ala.jp/ にて購入できる。
 論文は以下のPDFを参照されたい。ピーマンの各種ミネラル及びフラボノイド量に対する