グローバル社会に生きる-海外に行き、海外を知り、海外で活躍そして日本に貢献-

 たった一つの新型コロナウイルスによってすべての価値が一変しました。あっという間に、このウイルスは世界中に拡散して私たちを自粛の世界へと導き、オンライン勤務、物の売買や教育など、社会生活を一変させ、日本経済の破綻を加速させました。社会生活においてはコンピュータ(PC)やスマホが日常生活上不可欠となり、この2つがあればどこでも仕事ができ、オンラインやテレワーク、在宅という言葉が日常化しました。また、情報や生活必要品はいつでも自宅にいながら得ることができるようになりました。一方で、飛行機やリニアなどの交通の利便性により、世界が身近になり、さらに空飛ぶ自動車やドローンの開発など、すでに現代はグローバル社会であることに気付きます。

 グローバル化とは、社会的あるいは経済的な事象などが国や地域などの境界を越えて地球規模で拡大し、多様な変化を起こす現象ですが、現代はすでにグローバル社会(国際化時代)といえます。そして、国境を越えた市場の時代を迎え、グローバルビジネスや企業はもとより官公庁、大学でも必須となっています。

 このようにグローバル21世紀を生きる私たちは、急速な時代の変化を理解し、それ対応する能力を持ち、さらに、海外で多様に活動する気概も必要です。日本人はこのグローバル時代に、海外に行き、海外を知り、海外での活躍に呼応していかないと、日本の地位は更に低下するでしょう。

 私たちはグローバル社会を理解し、その実態を自分の目で見て、異文化を理解する必要性があります。私も、44歳時に米国ニューヨーク州マンハッタンにあるロックフェラー大学にて友人の藤田先生と共に血液生化学のプロフェッサーと共同研究を行うために2~3か月間の研究生活を体験しました。滞在中に世界に先駆けて患者の遺伝子の異常を発見し、発症機序を解明しました。その時の経験は日本ではまったく得ることができないほど貴重なもので、その後の人生(教育・研究)は大きく変わりました。私が海外生活を送ったのは中年期でしたが、海外生活は若ければ若いほどその体験は大きな広がりを見せます。しかし、中・高齢期であっても得られる価値観は同じで、その後の人生、社会が大きく良い方向に変わっていくものと信じます。

 海外で活躍したい人、海外での生活に興味がある人、外国人と接したい人、海外留学したい人は勿論のこと、日本国内でこれから頑張ろうという人もグローバル時代に国際人として活躍し、生きる資質を身につけることが当然の如く必要となってきます。

 現在、日本の経済力、科学技術力、教育力などが低下、GDPも2010年に中国に抜かれてから急速に低下し、しかも「国の借金」は1,200兆円を超えています。このように、現代日本社会はいつ崩壊してもおかしくない不安定なバランスの上に成り立っています。すでに「日本の未来予測年表と医療」に記載しましたが、2065年以降日本は経済が破綻し、外国人によって無人の日本国土が占拠される(もう始まっている)。日本国はどこに向かっているのだろうか?50年後、100年後といった未来への展望がみえません。現在の日本組織はかなり脆弱になっています。現金(ポイント)のバラマキが横行している今日、年金介護問題、少子高齢社会、国家財政の破綻などの多くの問題を抱えている日本ですが、日本国民として、歴史を重んじ平和で幸せな活力ある国家となるよう期待したいです。

 グローバル社会は1975年松下幸之助氏曰く、「国際化時代とは一国一民族という垣根をはなれて、多くの国、多くの民族、あるいは多くの言語や習慣の違う人々と交わり、共同作業をすることが多くなる時代です。その時に最も大事なのは、世界人類が共々に持っている人間としての本質と共に、国や民族、あるいは時代によって違っている面を、正しく見つめ、理解し、これを生かし合っていくことであろう。」と述べています。科学分野では、この70~90年代は多くの若手博士研究者が海外に留学に出ました。米、英、仏、独国などが多く、帰国後は大学や研究所で活躍しましたが、その後は研究者の留学は減少し、逆に留学した経験を基に大学のグローバル授業の一環として海外大学協定校への留学システムを構築し、学生の留学数が増加しています。これは日本にとって大変良いことと思います。

 一方、東洋医学におけるICD-11第26章活用およびICF, ICHIの導入として、伝統医学のグローバル化が注目されています。伝統医療は多数あり、多様な文化的背景に根差す風土固有の規範、信念、経験に基づく知識、技術、実践法が集約されたものであり、人々の健康維持と共に、心身の病を診断、治療する手段として利用されてきたものです。そこで、大志を掲げるあはき師も、日本の伝統精神と療法をしっかりと受継ぎ、東洋医学療術師として現代および次代のグローバル時代を生き、国際人として大いに活躍していってほしいと願います。(近藤雅雄:2022年7月8日)

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