セイヨウカノコソウ

 オミナエシ科のセイヨウカノコソウは欧州、アジアを原産とする多年草で、古代ギリシア、ローマ時代から医療用のハーブとして用いられ、米国ではサプリメントとして販売されている。
 治療上の使用法は医聖ヒポクラテスにより示され、2世紀にはガレノスが不眠症に処方したと言われている。16世紀には神経過敏、振戦、頭痛、動悸の治療に用いられ、第二次世界大戦中には英国で空襲によるストレス緩和のために用いられたと報告されている。
 臨床では神経の緊張、不眠症に対する鎮静薬、睡眠補助薬、消化管の痙攣と不快感、てんかん発作、注意欠陥多動障害(ADHA)の治療として用いられているが、有効性に関する科学的根拠は乏しい。
 仏国では、13歳女子に不安軽減や鎮静作用を期待してハーブ薬(セイヨウカノコソウ、ニガハッカ、セイヨウサンザシ、チャボトケイソウ、コラノキ含有)を1錠×3回/日、数ヶ月間摂取させたところ、肝細胞の90%以上が壊死したため、肝移植を行ったという報告がある。
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