セサミノール

 ゴマのセサモリンから生成されるが、ゴマ自体には極少量ふくまれ、ゴマ油の製造過程で大量のセサミノールが生産される。強力な抗酸化作用があり、細胞の老化やがんの促進因子と考えられている過酸化脂質の生成を抑制するため、老化防止、がん予防、動脈硬化の予防、肝臓病改善、二日酔い改善などに有効であるといわれている。また、ゴマ種子には、リノール酸やリノレン酸を主構成脂肪酸とする脂肪油(ゴマ油)が45~50%、セサミンやセサミノール、セサモリンなどのリグナン類が1%程度含有されている。
これらのリグナン類が加熱処理によってセサモールやサミンが生成すると、強い抗酸化作用を有するといわれる。このゴマリグナンの半分を占めるセサミンはビタミンEの約6倍の抗酸化作用を示すことが報告されている。この抗酸化作用として、人の体内で効果が示されたものは今のところビタミンEとセサミンだけという。

ゴマの効能
 ゴマは約2000万年前にアフリカで発祥したと言われ、古くから油をとるために栽培された植物で、メソポタミアや古代エジプトの遺跡からその種子が発見されている。紀元前1555年頃に著されたとされている古代エジプト医学書「エーベルス・パピルス」にも収載されており、薬用や食用とされるほか、ゴマ油が顔料として用いられたと伝えられている。有名な「千一夜物語」に「開けゴマ」の呪文があるように、6世紀頃の中近東では身近な植物であったようである。中国では、2000年前に著された古代中国の薬物書『神農本草経』の上品(不老延命を目的とする薬)に胡麻が収載され、滋養強壮、粘滑、解毒薬として虚弱体質の改善や病後の回復、便秘の治療、また、火傷、歯痛、瘡癰などの治療改善に外用され、また長く服用すると目や耳が鋭敏になると言われている。
 インドやスリランカなどの伝承医学であるアーユルヴエーダにおいても、歯を丈人にし、口内炎や鼻炎の治療および顔の老化を防ぐ効果があり、ゴマ油でのうがいや鼻への滴下がすすめられているなど万能薬として認めており、中国の薬効と共通するところが多い。また、老化防止のマッサージにもゴマ油はなくてはならないものといわれる。(近藤雅雄)
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