[食育-11] 核酸化栄養素・魚介類の摂取が日本型食生活の特徴

日本型食生活のどこに世界一の長寿国を生み出す原因があるのでしょうか。特に免疫能に影響を及ぼす栄養因子を探索する必要があります。免疫能に関係する因 子としては、蛋白質、セレン、銅、マンガン、亜鉛といった微量元素、それから抗酸化栄養成分であるビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール類、フラボノ類 などがあります。特に蛋白質が足りなくなると胸腺の萎縮が起こり、免疫能が著しく低下することが知られています。 まず、日本型食生活の特徴である、豆類・果実類、きのこ類、蛋白質について、年齢階層別に摂取量を調べました。豆類、果実類については、7~14歳と 60~69歳の2階層に摂取量のピークが見られます。7歳代については学校給食の開始が影響しているものと思われます。これを見る限り、現在の中高年は豆 類、果実類を比較的よく摂取しているといえます。きのこ類についても、ピークの年齢層が若干ずれますが、同様の傾向を示しています。 蛋白質については、日本人とアメリカ人それぞれについて男女別年齢階層別に摂取量を見ています。日本人については、男女で摂取量のピークとなる年齢階層 にずれがありますが、やはり成長期にいったんピークを迎えその後中高年期に再びピークが訪れています。ところがアメリカ人男性では20歳代でピークを迎え た後、ずっと摂取量が減少しつづけています。またアメリカ人女性では、特にピークと呼べるものは存在しませんが、加齢にしたがって減少していきます。 日本人の男女について、蛋白質をどのような食品から摂取しているかについても調べました。日本人の場合、男女とも30歳代から40歳代で蛋白質摂取源が 肉類から魚介類に移行していました。アメリカ人の場合、蛋白質源を圧倒的に肉類に依存しており、加齢とともに蛋白質の摂取量は減少しますが、魚介類の摂取 量がそれを補って増加することはありません。これが食生活に関する日米の大きな違いです。 アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、オランダの先進5カ国について、栄養・食料摂取を調べた結果をご紹介します。日本を100として比較した場 合、どの国も魚介類の摂取量は非常に少ないことがわかります。欧米先進国では相変わらず肉類、乳製品の摂取類が多く、エネルギー摂取量に占める脂肪の割合 が40~50%に達しています。日本では脂肪のエネルギー依存率は、昨年のデータで約25%ですから、日本人に比べいかに多くの脂肪を摂取しているかが分 かると思います。これからも、日本人の長寿の理由が、魚介類の摂取にあることが推察できます。
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