きのこ類

 きのこ類にはたんぱく質、ビタミンDやB2、ミネラル類、βーグルカンなどの多糖類を多く含んでおり、シイタケ食品やマンネンタケ(霊芝)食品が健康補助食品としてJHFAマーク表示されている。
 国内には4~5千種類のきのこが自生しているが、このうち食用になるのは約百種類で、毒キノコ類など食用にならない方が圧倒的に多い。通常市販されているものにはマツタケ、シイタケ、マイタケ、ブナシメジ、ナメコ、エノキダケ、メシマコブなどが有名で、多くの効用が報告されている。
 きのこに多く含まれているβグルカンには腸の環境を整え、免疫力を活性化し、がんを防ぐ作用があることが動物実験で確認されている。さらに便秘の予防や血中コレステロール減少作用、骨粗鬆症予防効果などが知られている。
 最近、ヤマブシイタケに神経の成長を促す活性物質が静岡大学の河岸洋和教授によって発見され、アルツハイマーなどの中枢神経系の病気との関連が指摘され、将来的には新薬の開発につながる可能性も秘めているといわれている。
 きのこは植物ではなく、菌類に分類される生物で、きのこ特有のうまみはグアニル酸という成分による。これは核酸の構成成分であり、この量が多いか、少ないかによって味が大きく変わる。きのこに昆布などに含まれるうまみの成分グルタミン酸と一緒になるとうまみが数十倍に上昇するといわれる。

(1)シイタケ食品
 日本でも最も多く食用されているのがシイタケで、糖質が約60%を占め、残り20%がたんぱく質、10%が食物繊維、5%がミネラル、3%が脂質、残りがビタミン類で、とくにDの前駆体であるエルゴステロールが多いのが特徴である。サプレメント食品にはシイタケ自体や子実体に育つ前の菌子体から抽出したエキスが用いられている。
 この菌子体には抗がん作用のあるβグルカンが含まれ、白血球の免疫機能に関与するマクロファージやT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞の機能を増強させることが動物実験で確認されていることから、免疫機能を高めることによってがんを予防する効果があるといわれている。また、シイタケの核酸成分であるエリタデニン、デオキシレンチナシン、5’-AMPには血小板の凝集を防ぐ抗血栓作用があり、エリタデニンには体内のコレステロールの排出と代謝を促進する作用がある。また、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの予防にも関与するといわれている。

(2)マンネンタケ食品
 サルノコシカケ科に属する担子菌の一つであり、色の違いによって赤芝、白芝、黄芝など、形の違いによって鹿角芝、牛角芝などと呼ばれている。また、霊妙なる薬効から霊芝とも呼ばれている。
 薬効があるのは子実体(かさの部分)で、これを煎じたり、乾燥させて粉末や粒状、カプセルにしたサプレメントが商品化され、制がん作用、頭痛、不眠症、神経衰弱、白内障、口内炎、気管支炎、胃炎、動脈硬化、婦人科疾患、腰痛など多彩な症状に効果があるといわれている。

(3)アガリクス
 アガリクス茸(和名 かわりはらたけ)の原種は、ブラジル東南部サンパウロ郊外のピエダーテの山中に自生するキノコで、「アガリクス」と名前がつくキノコは32種類存在している。
 現地では「太陽のキノコ」「神々のキノコ」「神秘のキノコ」などと呼ばれ、古くから珍重されてきた。現在市場に出ているものは、人工栽培のものが多く、ピエダ-テの天然アガリクスが日本の市場にでることは、まずありえないといわれているが、産地による大きな違いはない。
 アガリクス茸は、1965年ペンシルバニア州立大学教授のシンデン博士とランバート研究所のランバート博士の二人が制ガン作用等の研究発表を行い、その制がん作用が注目されるようになった。

アガリクス茸(学名:アガリクス・ブラゼイ・ムリル)
ⅰ)成分
   多糖類:β-(1,3)-D-グルカン・β-(1,6)-D-グルカン・キシログルカン・ヘテログルカン蛋白質複合体・キチン質・マンナン・マンノースなど
 アミノ酸:イソロイシン・ロイシン・メチオニン・フェニルアラニン・リジン・バリン・スレオニン・トリプトファン・アスパラギン酸・グルタミン酸・アラニン・グリシン・セリン・プロリン・システイン・チロシンなど
 酵素:アスパラキナーゼ・アミラーゼ・カタラーゼ・グルコシターゼ・スクラーゼ・セルラーゼ・ぺクターゼ・ペプシン・ぺプシターゼなど
 その他:核酸

ⅱ)効能
 最も注目されているのは、アガリクスに含まれるβ-1,3/1,6-Dグルカン(シイタケやマイタケなどに含まれるブドウ糖の独特の結合物)の免疫活性作用である。これは、マクロファージ、顆粒細胞、NK細胞といった特定の白血球細胞の表面にある受容体分子と一致するため、これらの細胞が刺激されて微生物を殺す物質を作り、あらゆる体内の異細胞を分解し、さらに活性化されると白血球を増やすようにB細胞やT細胞に伝えるサイトカインというシグナル分子をつくる。そのため、抗腫瘍作用、制がん作用、がん予防、血糖低下、動脈硬化改善、アレルギー、リウマチ、花粉症予防などの作用があることが知られている。
 そのほかにアガルクスには血圧と動脈硬化に関する作用、肝機能に関する作用、腎機能に関する作用、血液に関する作用、消化機能に関する作用、脳神経系機能に関する作用、成長と発育に関する作用、皮膚や毛髪に関する作用など多くの効用が報告されているが同時に副作用も報告されている。(近藤雅雄)
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