イチョウ葉エキス食品

 イチョウは、およそ1億5千万年前から地球上に存在しており、「生きた化石」と呼ばれている。何千年も生き長らえる生命力の強い植物で、原爆で被災した広島で最初に芽吹いたのがイチョウであったといわれている。
 イチョウ葉エキスにはケルセチン、ケンフェロール、イソラムネチンの配糖体、カテキンなど約20種類以上のフラボノイドのほかビロバライド、クエルシトリン、テポニン、シマリン、他の植物には含まれていないギンコライド(A,B,C,J)などのテルペン類を含んでおり、血小板凝固作用、アレルギー因子の作用抑制,血液の粘性改善し、血液をサラサラにする、血流障害除去、活性酸素の発生抑制、記憶力改善など多彩な作用が知られている。
 副作用としては、一過性の頭痛や胃腸の不快感、アレルギー性の皮診が知られている。アレルギーについてはイチョウの葉に含まれているギンコール酸にアレルギー作用があるため、健康補助食品としてはギンコール酸を極力除去 (5ppm以下)した原料が用いられている。抗凝固剤を使用している場合は血管拡張作用などが強く現れることがあるので、使用しないほうが良い。

 イチョウは古い進化の歴史を持ち、最盛期のジュラ紀中頃(約2億年前)には地球全土で大繁盛していたことがわかっているが,その後、地殻変動や氷河期のたびに絶滅していき、最後にわずか1種類だけが中国南西部の温暖地方に生き残ったのが現存のイチョウである。日本へは12~13世紀ごろに人によって運ばれたと考えられている。
 ヨーロッパ諸国には1730年に長崎の出島に滞在するドイツ人医師によって伝わり、現在ではドイツやフランスでイチョウの葉を乾燥させて成分を抽出したイチョウ葉エキスが脳血管障害や脳機能障害に対する予防・改善効果があることから医薬品として認可されている。日本では高齢化が進む中でボケ防止、生活習慣病予防などにより逆輸入された食品である。(近藤雅雄)
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