主なハーブ類とその効能

1.各地独特のハーブ

 ヨーロッパや地中海地方のハーブは有名だが、日本のミョウガ・山椒・ワサビなどの薬味や、ヨモギ・シソなどの野草、また生薬として使われてきた薄荷(ハッカ)・生姜・芍薬(シャクヤク)なども日本独自のハーブといえる。同じように、中国では漢方薬、インドではスパイスなど、世界各地でそれぞれの独特なハーブがある。

2.ハーブの効用

 ハーブには、殺菌・抗菌作用のあるものや、血液をきれいにする作用のあるものが多いため、飲んだり食べたりすることで体内をきれいにするといわれている。ハーブを体内に通過させる方法としてはハーブティーが昔から愛飲されている。また、ハーブには身体に良い成分(ミネラル、ビタミン、鉄分、カリウム、カルシウム、マグネシウム、プロテイン、繊維質、タンパク質など)を含んだものが多いため、最近ではダイエットを目的としてハーブティーを飲む人も増加している。
 ハーブティーにするハーブとしてはローズ・ミント類・カモミール・レモングラス・ハイビスカスなど、料理に良く使うハーブとしてはローズマリー・タイム・バジルなどである。ただし、シャクナゲ、トリカブト、チョウセンアサガオ、スズランなどには毒があり、すべてのハーブが食用になるとは限らないので注意が必要である。以下に主なハーブの推測効能を示した。

主なハーブの推測効能

カモミール:抗炎剤であるアズレンが含まれており、のどの痛み、口内炎、腹痛に効果がある。他に、発汗・保湿、鎮静、浄血、消化促進、駆風(腹の中にたまったガスの排出)の作用
キャラウェイシード:消化促進作用
サザンウッド:殺菌作用、抜け毛予防、毛髪の成長促進
セイジ:消化促進作用、殺菌効果
セントジョーンズワート:精神安定作用
チコリ:血液浄化作用
タイム:殺菌作用、消化器系、気管支系の薬草として知られる
チャイブ :防腐、殺菌作用
パセリ:ビタミンAやCを多く含み、消化促進、利尿作用のほか、血行促進作用
バジル:殺菌効果
ヒソップ :かぜの諸症状やのどの不快感をやわらげる働き
フェンネル:種に消化促進作用
ペパーミント:殺菌作用、花粉症、アレルギー性鼻炎に
ポットマリーゴールド:保湿効果
ボリジ:無機塩類やカリウムなどが含まれおり、体調を整える
マロウ:のどや気管支の炎症を抑える
ラベンダー:殺菌作用
レモンバウム(メリッサ):気分を高め、頭をすっきりさせる.不安や憂鬱を和らげる.他に、健胃、強壮作用

3.香りの効用

人間が元来持っている自然治癒力の活性化に香りが効果的である。香りが健康に効果的であると着目されてからハーブは芳香療法、すなわち、アロマテラピーとして注目を集めている。心地良いと思われる香りが私たちの心に働き、やる気を起こす、リラックスする、不安を取り去る、集中力を高める、ストレス解消などの効果が知られている。また自律神経失調症にも有効であるという。

4.代表的なハーブ

西洋の代表的ハーブ
カモミール:日本ではカミツレと呼ばれている。他にカモマイル、カミルレなどと呼ばれる。語源は「地面のリンゴ」で、花はリンゴやパイナップルに似た甘い香りがする。
オレガノ:イタリア料理にはなくてはならないハーブで、乾燥させたものの方が風味は強く、ミートソースやピザに使われる。
タイム:シソ科で、ローレル(月桂樹)やパセリと相性が良く、ほとんどの洋風料理に合う。ブーケガルニ(煮込み料理に使う香草の束)には欠かせない。ハーブビネガーやハーブオイルにも適している。
ローズ:薬効や芳香がある「オールドローズ」と呼ばれるバラの原種。ダマスクローズ、ドッグローズ、八重に咲く香りの強いバラを指す(ダマスクス系、ガリカ系など)。農薬を使用せずに栽培されたものなら、花弁をハーブティーやジャム、シャーベットなどに使える。
バジル:強い芳香と殺菌効果を持つシソ科のハーブで、シナモンの香りのシナモンバジルや、レモンの香りのレモンバジル、赤紫色のダークオパールや、矯性種のブッシュバジルなどがある。
 インドでは「聖なる灌木」とされ、神々に捧げられる一方、古代ギリシャ人にとっては不吉な意味を持つ植物で、バジルの種をまくときには罵りながらまかないとうまく育たないという俗信があった。また、中国ではバジルの種子を光明子と呼び、眼病の治療に用いた。日本でもかすみ目や目にゴミが入ったときに種子を目に入れてゴミを取り除いたため、メボウキ(目箒)という和名がついている。
コリアンダー:セリ科の独特なエスニックな香りがするハーブ。世界で最もたくさんの人が使っているといわれている。中国や東南アジア系料理には「香菜(シャンツァイ)」と呼ばれるコリアンダーの葉が欠かせない。種子はピクルスやカレーなどに使われる。
薄荷(ハッカ):日本特産のシソ科の植物で、各地の湿った原野に自生している。特有の香りがあり、口に含むと清涼感がある。
梅:早春の花の代表として梅があげられます。梅は中国原産で唐の時代に渡来したと言われている。万葉集にも数多くの歌が詠まれている。
どくだみ:別名をジュウヤクといい、10種類の薬効があるという意味。昔から煎じて薬として用いられてきた。
柚子:夏から初秋にかけての「青ゆず」と、秋から冬の「黄ゆず」、どちらも日本人には馴染み深い。冬至の日にゆず湯に入るが、疲労回復や神経痛に効果がある。

a)その他の西洋のハーブ
 キャラウェイ、スウィートマジョラム、セイジ(和名=薬用サルビア)、センテッドゼラニウム、タラゴン、チャイブ、ディル、ナスタチウム、パセリ、ヒソップ、フェンネル、ポットマリーゴールド(和名=キンセンカ)、ボリジ、マロウ(和名=ウスベニアオイ)、レモングラス、レモンバウム(メリッサ)、ロケット、ナツメグ、クローブ、キャットニップ、アーティチョーク、セントジョーンズワート、チコリ、チャイブス、スティンギングネトル、タンポポの根など多数が知られている。

b)その他の日本のハーブ
 シソ、ワサビ、ニラ、フキノトウ、ミツバ、セリ、からしな、にんにく、月見草、ジンジャー、トウガラシなど多数が知られている。
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