フラボノイド

 2個のベンゼン環を3個の炭素原子で結びつけたジフェニルプロパノイド(C6-C3-C6)構造をもつ化合物の総称。C3部分が酸素を介して閉環したクロマン骨格(フラバンの構造式で四角で囲んだ部分)をもつ三環性のものがよく知られ、植物界に広く存在し、食品の色素、苦味、甘み成分になるほか、抗酸化性、エストロゲン作用と抗発がん性と心保護剤としての可能性が提唱されている。植物体内での合成はマロニルCoAとヒドロキシケイヒ酸CoAからはじまり、カルコンで閉環してフラボン構造が出来た後、側鎖にーOH基、-OCH3基などの修飾を受けたり、糖を付けたりして多数のフラボノイドに分かれる。
 現在では5,000種類のフラボノイドが記載され、6つの主要な亜群が知られ、フラボン(アピゲニン、ルテオリンなど)、フラボノール(ケルセチン、ミリセチンなど)、フラバン(ナリンゲニン、ヘスペリジンなど)、カテキン類ナイシフラバノール(エピカテキン、ガロカテキンなど)、アントシアニジン(シアニジン、ペルアルゴニジンなど)、イソフラボン(ゲニステイン、ダイゼインなど)である。これらのフェノール構造を持つ一連の天然物フラボノイドは果物、野菜、穀物、樹脂、根、茎、花、お茶、ワインなどに含まれている。この多くは花、果物、葉の魅力的な色素・味を提供している。
 効用としては抗酸化作用、発がん抑制、動脈硬化予防、血管保護および血流増加、老化抑制など多彩な作用が推測されている。

老化とフラボノイド
 老化の進行を早める後天的因子として、ストレス、紫外線、放射線、温度、栄養、煙草、酒などがあるが、これらの因子による原因として、スーパーオキシド、O2-などの活性酸素が脂質を中心とする細胞成分を破壊・異常化し、しかも連続的・不可逆的に拡大していく活性酸素、フリーラジカルによる作用が注目されている。このような細胞成分の過酸化連鎖を防ぐために、体内ではビタミンC、E、SOD、NADPH、GSH系などの抗酸化機能が働いているが、フラボノイド類の活性酸素消去能はより直接的、強力で、これを外部から投与することによって老化の防止に役立つと思われる。(近藤雅雄)
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