ゼアキサンチン

ゼアキサンチンはルテインと構造が類似したカロテノイドで、光によるダメージから網膜を守ることが報告されている。目の網膜、とくに黄斑とレンズ部分に集中しているが、エイジングにしたがって濃度は低下し、加齢黄斑変性の危険性が高まる。また、喫煙者でも黄斑色素濃度の低下が見られると言う。米国では、加齢黄斑変性患者が1千万人以上存在し、この内、45万人以上が既に視力を失っていると言われている。ハーバード大学が行った研究ではルテインとゼアキサンチン摂取の多いグループは低いグループに比し、加齢黄斑変性の危険性がかなり低いという。

ルテイン

 ルテインとはカロテノイド(食品に含まれる赤、黄、橙などの色素の総称)の一種で、ゼアキサンチン(黄斑中央部の主要な構成物質であるが、網膜周辺部位ではルテインが主要な構成物質である)と共に黄斑部にとくに多く含まれているが、体内で合成できない栄養素で加齢によって減少する。
 ルテインは抗酸化作用によって目の酸化ストレスを防ぎ、パソコンなどから放射される強い青色光や紫外線から黄斑部を守っている。エイジングによって体内のルテイン量が減少し、加齢に伴う白内障や視力低下・失明を招く加齢黄斑変性などの様々な目の障害を増加させるとの指摘があり、今後の研究が期待されている。ルテインを含む緑黄色野菜や果物を日常的に摂取している人は、網膜を保護する黄斑色素の濃度が高く、加齢黄斑変性や白内障になる確率が低いと言われている。さらにDHAを一緒に摂ると目に対する抗酸化作用が増強すると言われている。

こころとからだの健康(13)目の病気の予防・対策に必要な栄養素と食品

 近年、スマホやコンピュータ、大画面テレビなどの急速な発展による生活環境の変化に伴って眼精疲労・ドライアイを自覚する人が増加すると共に白内障、緑内障、加齢黄斑変性などの失明に至る眼病が注目されるようになった。これら背景にはスマホやコンピュータの発展以外に高齢人口の増加と日常的なストレス、偏った食事、無理なダイエットなどによるビタミンやミネラル類の過不足など、栄養障害が考えられることから目の病気も生活習慣に関わる疾病と言える。

 目はこころとからだの健康維持に重要であり、目の病気は様々な行動の妨げとなるなど、日常生活への負の影響は計り知れない。疲れ目やかすみ目で悩んでいる人、スマホやパソコンなどで目を四六時中酷使している人や自動車やトラックのドライバー、飛行機のパイロットなどは一度自分の食生活を見直すことが大切である。普段の食事を意識して摂取する習慣を身に付けたい。食事で摂取できない時は視力回復のサプリメントや緑黄色野菜、果物などを積極的に摂りいれることも考えたい。

 世界の中でも日本人の視力低下は著しく、最近の調査では約83%の人がメガネかコンタクトを使用し、近視の低年齢化が問題となっている。目に関することわざは多数あるが、その中で「目は心の鏡」「目は人の眼(まなこ)」と言われるように、目はこころとからだの入力部位であり、こころとからだを映し出している。目は生体すべての感覚情報の約80%を占めると言われ、生体に入る情報は目に依存していると言える。

 人間において、視力が形成されるのは生まれてから後天的に徐々に発達し、5~7歳位までに完成すると言われている。したがって、この期間における目のケアーにはとくに十分に注意したい。また、目は12~13歳頃から老化が始まると言われている。生涯において目を大切にするこころを持って、目の健康に気を配り、食環境と同時にストレス解消の方法を自分なりに考え、美しい目を保持したいものである。

 本稿では目の病気の予防・対策に必要な栄養素・食品について調査を行った。論文の内容はⅠ.視覚と目の病気(1.視覚の性質、2.目の病気、3.失明の原因となる疾患)、Ⅱ.眼病の予防に良いとされる栄養素と食品(1.眼精疲労・ドライアイに良い栄養素、2.近視抑制に良い栄養素、3.白内障、加齢黄斑変性などに良い栄養素、4.抗酸化物質の機能、5.ブルーベリーは目が良くなる食べ物の代表)、Ⅲ.眼に良い栄養素(1.抗酸化物質、2.ビタミン類、3.ミネラル類、その他)からなる。
 内容詳細は以下のpdfを参照されたい。(近藤雅雄:平成28年2月8日掲載) こころとからだの健康(13)眼の病気の予防・対策に必要な栄養素