ヨヒンベ(ヨヒンビン)

 アカネ科植物ヨヒンベの樹皮に含まれるアルカロイドで、FDA(米国食品医薬品局)がインポテンツ改善薬として承認した成分。自然界に存在する最も強力な媚薬で、催淫剤としての効果が報告されている。また、脂肪酸の代謝を促し、体脂肪を減らす効果が知られている。
 催淫剤としての効果があることから、幻覚や体調不良などが知られ、使用には十分に注意する。さらに、過敏症、不眠、頻脈、肝障害のある人は服用を避ける。
 副作用および注意事項として、高血圧、頻脈、頭痛、不安、めまい、嘔気、嘔吐、振戦および不眠に関与していると言われ、長期間または大量摂取は危険である。また、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、高血圧症治療薬、三環系抗うつ剤、またはフェノチアジン系抗精神病薬(統合失調症などの精神疾患に用いられる薬剤)と併用する場合には注意が必要。腎障害や精神疾患患者および妊娠中または授乳中の女性は摂取すべきではない。
 樹皮や樹皮抽出物に対する臨床試験は見当たらず、ヨヒンベがどのような健康障害に有効であるかどうかは不明である。

緑茶

 カテキン(渋味成分)、カフェイン(苦味成分)、テアニン(うま味成分)、ビタミン類(C、E、B2、葉酸)、ミネラル類(カリウム、カルシウム、リン、マンガン、フッ素など)、β-カロテン、γ-アミノ酪酸、サポニン、食物繊維、クロロフィルなどが含まれ、これら成分による脳機能の保持、リラックス作用(α波出現)、認知症予防、神経管閉鎖障害の発症予防、覚醒作用(疲労感や眠気の除去)、抗酸化作用、血中コレステロールの低下、体脂肪低下、がん予防、虫歯予防、抗菌作用、血圧上昇抑制作用、動脈硬化予防、血糖上昇抑制作用、口臭予防(脱臭作用)、持久力増加、二日酔い防止、利尿促進作用、皮膚や粘膜の健康維持(コラーゲン形成促進)、皮膚や粘膜の健康維持、夜間の視力維持など、多様な作用が知られている。

苦瓜(ゴーヤ(沖縄))

 ウリ科ツルレイシ属蔓性1年生草本で、果実に特有の苦みがあり、食用としての風味となっている。熱帯アジアが原産地で、中国や東南アジアでは重要な野菜となっている。ヨーロッパでは観賞用として栽培されている。日本では南西諸島と南九州で多く栽培されてきた。比較的害虫に強く、日照、気温と十分な水さえあれば、肥料や農薬はほとんど使わなくても収穫が得られるため、全国的な広がりを見せ、家庭菜園でも人気が高い。 沖縄では古くからゴーヤ(苦いうりの意味)と呼ばれ、夏の重要な野菜である。 1.主な成分と効果  果皮を中心に、ビタミンC、ビタミンB1、B2、葉酸、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維が豊富。種子には共役リノレン酸を含む。 苦み成分はチャランチンとモモルデシン、コロコリン酸であり、チャランチンとコロコリン酸は植物インスリンともいわれ、血糖値の正常化に働き、糖尿病の血糖値改善(食後高血糖改善)に役立つ。動物およびヒトで、肝臓や筋肉へのブドウ糖の取り込みを促進し、グリコーゲンの合成を促す。  科学的根拠としては、糖尿病患者に苦瓜を投与すると空腹時血糖や食後高血糖が改善されたとする報告は数多くある。また、動物実験において、糖尿病改善効果、抗ウイルス作用、抗炎症作用、コレステロール低下作用、抗癌作用なども報告されている。 1)チャランチン  脂溶性の物質であり、膵ランゲルハンス島のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促し、血糖低下作用が知られている。血糖値が下がった場合は、α細胞からグルカゴンを分泌し血糖値を上昇させ血糖値を安定させるので低血糖にならない。すなわち、インスリンとグルカゴンの分必を促進し、血糖値を調節する作用がある。 2)モモルデシン  抗酸化作用をもつサポニン類の一種で、食物繊維、苦味成分の1つ。食物繊維は腸内の善玉菌の増殖を促進し、糞便量を増やし、腸内環境を整える。サポニンはコレステロールや老廃物を排出し、動脈硬化、糖尿病、がんの予防、胆汁酸の分泌や産生を促してコレステロール値を低下させる。血糖値や血圧を下げ、食欲増進作用、整腸作用などがある。 3)ビタミンC  抗酸化作用があり、苦瓜100g中にビタミンCが76mg含まれ、加熱に強い。 4)共役リノレン酸は脂肪の吸収や蓄積を抑制する。 5)その他  ビタミンBはエネルギー(ATP:アデノシン三リン酸)の生産に不可欠であり、疲労回復、皮膚や粘膜を正常化に役立つ。鉄分と葉酸は貧血を予防する。カリウムは腎臓でナトリウムの排泄に働く。 2.注意事項  サプリメントとして摂取する場合、健康被害や副作用は知られていないが血糖低下作用があるため、効果の現れやすい子どもや高齢者では注意が必要。また、妊娠中や糖尿病患者の場合は医師に相談する。腹痛や下痢といった消化器症状、頭痛などが現れた場合は服用を見合わせる。 (近藤雅雄:平成27年8月11日掲載)  

麦類若葉食品

 からだに不足しがちな緑黄色野菜の補給として、麦類若葉食品は飲みやすい手軽な青汁として好評である。大麦、小麦、ライ麦の幼穂形成期前の若葉を摘み取って絞り、これをろ過したエキス製品である。
 麦類の若葉は、緑黄色野菜以上に栄養素が豊富でたんぱく質、ビタミンB1、C,E,カリウム、カルシウム、マグネシウムが多く,葉緑素、各種抗酸化酵素を含む。とくに抗酸化作用のあるフラボノイドやスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)を含んでいることから動脈硬化、がん、高血圧、肝疾患、貧血、骨粗鬆症などの予防と改善、疲労回復、精神安定などの多彩な機能を持つといわれている。

ギムネマシルベスタ食品

 インド、東南アジア、熱帯アフリカ、オーストラリアなどに自生するつる性植物で、インドでは2500年前から生薬として健胃、強壮、糖尿病治療などに用いられてきた伝承医学であり、最近ではダイエット効果でも注目されている。
 ギムネマとは「砂糖を壊すもの」というヒンディー語で、ギムネマ・シルベスタの葉をかむと1~2分で甘味だけを感じなくなる。この作用はよくわかっていないが、舌の味細胞の甘味受容体の興奮抑制作用と推測されている。また、葉に含まれているギムネマ酸は小腸からの糖吸収抑制作用、虫歯を防ぐ抗う蝕作用、血糖値と血中インスリン値の上昇抑制が認められ、糖尿病の改善に効果があるといわれている。しかし、ギムネマのヒトにおける安全性や有効性は不明確である。

まこも食品

 河川や湖沼などの水辺に群生するイネ科の多年草植物で、クロロフィルと食物繊維の含有量が多く、その他、ビタミンB1、B2、鉄分、カルシウムなどを含む。
 主な効能としては免疫力の増強、糖代謝促進、血圧調節、性ホルモンの活性、胃腸運動促進などが知られ、胃腸疾患や高血圧、糖尿病などの予防および改善作用があるといわれている。

オタネニンジン根食品

 高麗人参や朝鮮人参として知られているオタネニンジン(ジンセン)はウコギ科の多年草本である。中国最古の薬草書「神農本草経」に記載されており、滋養強壮をもたらす万能薬として有用され、日本では生薬として有名である。
 成分はビタミンやミネラルを豊富に含むが、薬効成分は根茎のジンセノサイドというサポニン配糖体にある。効果としては血液循環の改善、冷え性の解消、免疫機能の強化などが知られているが、その作用機序についてはあまりわかっていない。

プルーンエキス食品

 プルーンは西洋スモモともいわれ、西アジア・コーカサス地方原産のバラ科サクラ属落葉樹の実である。ビタミンAとB1が多く、カリウム,鉄、リン、カルシウムおよびマグネシウムなどのミネラル類を豊富に含む。これら栄養素の生理作用のみならず、プルーンには水溶性の食物繊維であるペクチンが多く、ヨーロッパでは古くから便秘薬代わりに摂取され、整腸・緩下作用が知られている。

梅エキス食品

 酸味とうま味に効果がある日本特有の伝統食品である。梅エキスは青い梅のみを絞り、長時間煮詰めたペースト状もので、1kgの梅から約20gしか取れない。
 梅エキスの成分として、クエン酸、リンゴ酸、ピクリン酸、カテキン酸などの有機酸が豊富に含まれている。 クエン酸は梅特有のすっぱさの原因であり、生体内のエネルギー物質アデノシン三リン酸(ATP)生産に関与することから、疲労回復や新陳代謝を促進する。カテキン酸は胃腸の働きを活発化し、便秘や下痢などを改善する効果がある。ピクリン酸には肝機能を高める効果があるといわれている。これ以外に、冷え性、肩こり、二日酔い、風邪など幅広く効果があるといわれている。
アデノシン三リン酸(ATP)
 ATPは筋肉の収縮、体温生産、たんぱく質の合成、分泌、吸収、細胞の興奮、神経刺激伝達、物質の能動的取り込みなど生体内のエネルギー物質として、生命維持に最も重要な物質である。

イチョウ葉エキス食品

 イチョウは、およそ1億5千万年前から地球上に存在しており、「生きた化石」と呼ばれている。何千年も生き長らえる生命力の強い植物で、原爆で被災した広島で最初に芽吹いたのがイチョウであったといわれている。
 イチョウ葉エキスにはケルセチン、ケンフェロール、イソラムネチンの配糖体、カテキンなど約20種類以上のフラボノイドのほかビロバライド、クエルシトリン、テポニン、シマリン、他の植物には含まれていないギンコライド(A,B,C,J)などのテルペン類を含んでおり、血小板凝固作用、アレルギー因子の作用抑制,血液の粘性改善し、血液をサラサラにする、血流障害除去、活性酸素の発生抑制、記憶力改善など多彩な作用が知られている。
 副作用としては、一過性の頭痛や胃腸の不快感、アレルギー性の皮診が知られている。アレルギーについてはイチョウの葉に含まれているギンコール酸にアレルギー作用があるため、健康補助食品としてはギンコール酸を極力除去 (5ppm以下)した原料が用いられている。抗凝固剤を使用している場合は血管拡張作用などが強く現れることがあるので、使用しないほうが良い。

 イチョウは古い進化の歴史を持ち、最盛期のジュラ紀中頃(約2億年前)には地球全土で大繁盛していたことがわかっているが,その後、地殻変動や氷河期のたびに絶滅していき、最後にわずか1種類だけが中国南西部の温暖地方に生き残ったのが現存のイチョウである。日本へは12~13世紀ごろに人によって運ばれたと考えられている。
 ヨーロッパ諸国には1730年に長崎の出島に滞在するドイツ人医師によって伝わり、現在ではドイツやフランスでイチョウの葉を乾燥させて成分を抽出したイチョウ葉エキスが脳血管障害や脳機能障害に対する予防・改善効果があることから医薬品として認可されている。日本では高齢化が進む中でボケ防止、生活習慣病予防などにより逆輸入された食品である。(近藤雅雄)

アロエベラ食品

 アロエはアラビア語の「苦み」を意味する Alloch に由来し、有史以前から世界最古の下剤といわれ、食品および香粧品としても広く利用されてきた。ブッシュマンも古くから傷の手当てに用いていた壁画が残っている。古代エジプトの医学を知る上で重要な資料である『医学パピルス』には、マダガスカル島のアロエが苦味健胃薬として用いられていたことが記載されている。

 アロエはアフリカ原産のユリ科植物で、常緑多肉質の葉をもつ多年性草本。最近は、ユリ科からアロエ科アロエ属に分類されている。アロエ属植物はサハラ砂漠以南の岩の多い草地に自生し約350種が知られており、園芸品種を含めると500種以上の品種があるといわれる。代表的のものは日本の太平洋側に野生で生えている茎のあるキダチアロエと西インド諸島のバルバドスを原産地とし、食用向けにアメリカ・テキサス州で大量栽培されているアロエベラで、飲用や食用、外用に使われている。
 アロエの代表的な薬効成分のほとんどは葉皮に含まれ、真中の半透明な部分は抗炎症、保湿の成分を含むが、99.5%が水分である。
 日本では、薬事法上、アロエ薬理成分アロインが下剤として医薬品に登録されているため、アロエベラ、ケープアロエについては、アロインの含まれる葉皮を取り除かないと食品としては使えないが、キダチアロエは特別な場合を除き非医薬品に分類されているので、食品などにも加工されている。

ⅰ)成分
 アロエは多肉植物で、アロイン、アロエウルシン、アロエエモジン、アロエシン、アロエソンエモジン、アロエチン、アロエニン、アロミチン、アロエマンナン、サポニン、アロクチン、アルボランA・B、ホモナタロイン、ベータババロイン、食物繊維、蛋白質ビタミンA、B、C、Eを含み、多肉部分はムコ多糖類とミネラルを含んでいる。

ⅱ)効能
(a) 内服の場合
 便秘、胃、十二指腸潰瘍、糖尿病、高血圧、低血圧、肝臓病、胆石、二日酔い、肩こり、冷え性、喘息、更年期傷害、頭痛、気管支炎、鼻炎、膀胱炎などの抗炎症に効果があるとされている。

(b) 外用の場合
 打ち身、かぶれ、湿疹、ひび、あかぎれ、痔、やけど、すり傷、切り傷、虫刺され、うおのめ、いぼ、歯痛、歯槽膿漏など。(近藤雅雄)