蜂産品類

蜜蜂と自然が生み出したからだに優しい栄養バランスを含んだ花粉食品と各種フラボノイド化合物が濃縮されたプロポリス食品が認定されている。

(1)花粉食品
 蜜蜂のはたらきバチが食糧にするために集めた花粉で、栄養価が高い。成分としてはアミノ酸を約10%含むほかビタミンA、B群、C、E、ルチン、カリウム、リン、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅などの必須栄養素、各種酵素、抗菌酵素、成長促進因子など多数の成分を含んでいる。効用としては食欲増進、消化吸収、新陳代謝亢進により、成長促進、体力回復、強壮、精神安定、更年期障害の症状改善、前立腺疾患の症状改善など、虚弱体質、更年期を迎えた人、勢力が衰え始めた人、貧血気味の人に効果があるといわれている。

(2)プロポリス食品
 プロポリス(propolis)プロポリスの歴史は古く、古代エジプトでは腐敗、保存の効果目的で、ミイラを作る時の防腐剤として使用されていた。また、東欧諸国でも早くからニキビや肌荒れ防止、育毛剤など民間薬として使われてきた。 プロポリスは蜜蜂が樹木から集めた樹脂状のものに自らの唾液を混合させて作ったもので、強い殺菌、消毒作用がある。これを巣の入り口や、隙間の壁に塗りつけて、巣の修理補強や細菌繁殖、外敵の侵入を防ぐというような、幼虫を育てやすい環境を作るのに重要な働きをしている。そこで、プロポリスはギリシャ語でプロ(前を守る)とポリス(都市)を結合し命名された。すなわち、巣を守る(敵の侵入を防ぐ城壁)という意味である。これに対して、ローヤルゼリーや蜂蜜はもともと食べ物で、ミツバチのメスの幼虫にローヤルゼリーを与えると女王蜂になり、蜂蜜と花粉を与えると働き蜂となる。
 プロポリスの成分は樹脂、ミツロウ、精油、花粉、各種有機酸、脂肪酸、アミノ酸、ミネラル、ビタミン、酵素などが知られているが、薬効の中心を担うのはフラボノイド化合物で,その一部はビタミンPとも呼ばれている。この成分は産地により異なるが、化学成分のほとんどはフラボノイドである。フラボノイドの多くは植物中に配糖体として存在するが、プロポリスのものは、すべて加水分解され、糖の脱離したアグリコン(非糖部)として存在する。その他、ケルセチン、カフェイン酸フェネチルエステル、クロレデン系ジテルペン、アルテピリンCなどが薬効成分として注目されている。
 効用として免疫機能の強化、抗菌・抗ウイルス・抗炎症、抗がん・抗腫瘍、抗酸化、毒性軽減、細胞膜の若返り、打撲症・切り傷・しもやけ・あかぎれ・火傷・日焼け・角化症・いぼ・脱毛症、カンジダや白癬菌などの抗菌などに効果があるといわれ、また、不眠症の人、便秘の人、湿疹・アトピー性皮膚炎の人、花粉症・喘息などのアレルギー症状のある人、リウマチの人や、また、糖尿病、肝臓疾患、循環器疾患、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・大腸炎などの消化器疾患、がんなどにも効果があるといわれている。
 しかし、プロポリスにはブラジル産、オーストラリア産、中国産、日本産などが市販されており、産地によってハチが樹液(ユウーカリ、アレクリン、カバ、ポプラなど)を採取する植物が違うために薬効にも差があることが知られている。日本ではブラジル産のユーカリ系製品が多い。
 プロポリスは養蜂家の接触皮膚炎などを引き起こす原因でもあり、香料アレルギーなどを示す人の場合は、プロポリスでかぶれる可能性が高く、注意が必要である。サプリメントとして使用する場合は効果に製品差、個人差があるので摂取に際しては専門家のアドバイスを受けることが望ましい。(近藤雅雄)
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