研究成果は人類の宝、特に保健・医療・福祉に関する研究の成果はすべて公表する義務がある

1.研究成果を論文・特許などとして公開する意義
 大学の教員並びに教育・研究に携わる者は日々研究課題の探求と共にそれを実施し、その成果を公開するとともに論文・特許として公表することは当然の義務ですが、一般人でも研究の成果は大いに論文・記事・特許などとして公表したいものです。
 とくに、保健・医療・福祉に携わる者(医師、歯科医師、看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、救急救命士、管理栄養士、薬剤師、言語療法士、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師、福祉士、介護士等)の場合は、患者へのケアー・施術・治療を通して、その効果が高まっても(ポジティブ・データ)、あるいは効果が出なくても(ネガティブ・データ)、その原因、そして、そのメカニズムを追究し、より優れた治療法等の改善を図るべく常に検討を怠らず、この記録をきちんと論文としてまとめ、公表する義務があると思います。これが人の命を預かる保健・医療・福祉等に携わる者の基本的使命と思います。
 公表・公開(学会発表)することによって、他の保健・医療・福祉等に携わる者及び患者等の意見に真摯に耳を傾け(傾聴)、さらなる改善・療法の開発を行うことが望ましいことは言うまでもありません。こうして治療・療法等の研究を真摯に検討することによって、やがてその療法が誰もが認める療法として、医学的根拠をもって確立し、伝承されていきます。患者等にとっても前向きで、真摯に対応する保健・医療・福祉等の関係者に対して敬意を表し、自然治癒力が向上します。
 食事療法、運動療法、東洋医学・療法等については、そのエビデンス(EBM)が医学者・国民に広く認知・浸透しているとは言えないのが現状です。その最大の理由は、そのエビデンスとしての公表に乏しいことにあります。公表せず、単なる現象で甘んじていれば、それはいずれ消滅していきます。またその技術や知恵も伝承されることなく、消滅していきます。これを打破するためにも学術論文として医学分野にて広く認知されている学術雑誌へ投稿し、治療のエビデンスを積み重ねることが大切です。そうすれば健常者の健康増進及び患者の治癒力の向上に貢献するだけでなく、その成果が新しい健康法及び治療法の新規開発・発展にもつながります。すなわち、研究の成果は国民・人類の宝であり、すべて論文などとして公表してほしいものです。

2.論文とは
 論文とはオリジナリテーに富むもので、まさにその著者でなければ考えられなかったことを読者にわかりやすく伝えるためのものであり、読者にとって有用ものでなければなりません。研究成果について自分の考えを事実に沿って簡潔に述べ、これまでに提出されていないもの、あるいはこれまでの研究とは対立・批判し、それにまさっている点を評価しているものなどが該当します。論文作成の心構えとして、人の論文をそのまま利用(copy & paste)したり、データ(結果)の捏造をしてはいけません。また、論文執筆に際して他著作物等から引用・転載する場合は、必ず著作権保護のため、原著者及び出版社の許諾を受け、原稿に出典を明示しなければなりません。掲載された論文、記事等の著作権は通常掲載された学術雑誌(出版社)に帰属します。

3.論文分類
  ①原著(オリジナリティーがある内容のもの)、②研究(追試、改良などに関するもの)、 ③症例(病気の治療に有用な情報を与える稀な症例)などがあり、雑誌や書物によって、投稿規定と執筆要項が定められています。
4.論文の構成
 一般的な論文の構成は①序(あるいは「はじめに」、「緒言」)、②方法(あるいは「対象及び方法」、「材料」)、③結果(あるいは「成績」)、④考察、⑤結語(あるいは「まとめ」)(必要があれば謝辞)、⑥文献(最低でも5 編)の順からなります。(近藤雅雄:2015年7月15日掲載)
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