日本と英国におけるポルフィリン症患者数の比較 

 ポルフィリン症はポルフィリン代謝系酵素の遺伝的(一部非遺伝的なものもある)障害によりポルフィリン代謝産物の過剰産生、組織内蓄積、また排泄増加を起こす一連の疾患群であり、常染色体性の優性と劣性の遺伝が確認されている。ポルフィリン症は医聖といわれるヒポクラテスにより紀元前 460年頃にすでに記載されているが、今日的には1874年Schultzによる症例報告が初めてである。その後、1912年、有機化学者のH.Fischer によるポルフィリンの同定、構造決定からポルフィリン症研究が急速に進展し、現在ではヘム合成系の酵素障害の部位差により8病型が見いだされている。一方、わが国では佐藤らが1920年に初めて先天性ポルフィリン症を報告した。患者は世界中に分布していると思われるが、疫学調査の報告は少ない。
 著者はThe Royal Melbourne Hospital,Porphyria Reference Laboratory (Victria, Austraria) のD. Blake博士より英国のポルフィリン症患者数の実態を入手したので、わが国と比較検討した。ポルフィリン症患者数を比較した結果、英国の患者病型数のパターンが極めて類似していることを見出した。
(掲載論文:近藤雅雄 ポルフィリン 5(4):375-377, 1996) PDF:日本と英国におけるポルフィリン症患者数の比較
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