ポルフィリン症の生化学的診断

ポルフィリン代謝に関与する各種酵素の活性およびその代謝産物の測定はポルフィリン代謝異常症の診断、病態解析に、また、鉛作業者の職業病検診などに不可欠である。さらに、これら臨床方面だけでなく、本書に記載されている多方面のポルフィリン研究分野で、ポルフィリンの分析および関連する酵素活性の測定は重要である。しかし、これまで報告されてきた溶媒抽出法を主体としたポルフィリン測定法は診断上重要な異性体の分離が困難であり、試料の前処理および抽出したポルフィリンのエステル化など、操作が煩雑で、回収率、再現性が悪い。しかも測定に長時間を要するという様々な障害があったが、近年の急速に進展した高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)の出現によって、ポルフィリン代謝異常症の研究が飛躍的に発展した。すなわち、微量生検材料中のポルフィリン分析、さらに酵素活性の測定が短時間で、正確に測定できるようになり、ポルフィリン症の確定診断、病態解析などポルフィリンの臨床化学分野でHPLCは必要不可欠となった。
ここでは、臨床材料からのポルフィリン代謝産物および関連酵素活性の各種測定法を紹介すると共に、その意義について述べる。(掲載論文:近藤雅雄、日本皮膚科学会) ポルフィリン症の生化学的診断 PDF:ポルフィリン症の生化学的診断 2  
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