ヘム鉄

 鉄は体内で鉄を吸収するタンパク質であるフェリチン(貯蔵鉄)、鉄を輸送するタンパク質のトランスフェリン(輸送鉄)、そして様々な生理作用を持つヘムタンパク質(機能鉄)に分かれる。
 ヘムは、プロトポルフィリンという赤い色素に2価鉄が結合したものです。鉄は、体内での需要と供給のバランスから、成長期や運動、女性の生理、妊娠などによって鉄分が不足すると、ヘムの生産量が減少しますので、ヘムタンパク質の機能が発揮できず、貧血、息切れ、疲れやすいなどといった様々な症状が出やすくなります。
 そこで、食品から鉄分を摂取する際に鉄の吸収率が大きな問題となって、鉄の吸収率の高いヘム(10~30%吸収;肉類、レバーなどの動物性食品に多い)を「ヘム鉄」と呼び、吸収があまりよくない鉄分(1~5%吸収;野菜、穀類などの植物性食品に多い)を「非ヘム鉄」と分けるようになりました。ヘム鉄は非ヘム鉄と異なって、穀類に含まれるフィチン酸、お茶に含まれるタンニン、あるいは食物繊維などによる吸収阻害がありません。
 ヘム鉄を多く含んでいる食品の摂取は鉄分補給に効果的ですし、また、消費者庁から「特定保健用食品」として許可されたヘム鉄飲料などが市販されています。
(近藤雅雄:ヘム鉄、2015年7月9日掲載)
このエントリーを Google ブックマーク に追加
Pocket