ドコサヘキサエン酸(DHA)

 オメガ3系脂肪酸の一種であるαリノレン酸は、体内でエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)に変換される。EPAとDHAは魚油など一部の食品中に天然に存在する。
 オメガ3系脂肪酸は、脂質異常症患者において血中の中性脂肪と超低比重リポタンパク質(VLDL)値を全般に低下させると言われている。
 DHAは脳内に存在する主要な多価不飽和脂肪酸であり、脳の発達と機能のために重要である。脳のシナプスに豊富に含まれ、ニューロンでのシグナル伝達に関与していることが示唆されている。神経やシナプスの膜形成に必須で、記憶力向上、認知症予防、抗うつ作用など、脳機能を向上し正常な神経機能に関与する物質として注目されている。記憶の要、大脳辺縁系の海馬にも多く含まれる。脳代謝・血流改善作用として、①血管壁の細胞膜を柔らかくする。②赤血球の細胞膜も柔らかくする。③神経伝達物質の産生量を増やすことが知られている。また、ストレス耐性を強化する働きもあるという。注意欠陥多動性障害 (ADHD)の子どもに症状のわずかな改善が認められたという報告がある。
 DHAはマグロの目の後ろの脂肪に多く含まれる。網膜細胞に存在するDHA量は脂肪酸中の50%以上であり、脳神経細胞中よりも多い。DHAは網膜の細胞や眼球のうしろ側で眼球を保持している眼窩細胞に多く含まれている。働きとして網膜の代謝を活発にし、目から脳への情報伝達を早く、スムーズにする働きがあるため、網膜細胞を正常に保ち、視覚機能の改善に有効である。近視の改善が見られたという調査結果がある。EPAとDHAの良質な供給源としては魚(ブリ、イワシ、サンマ、ウナギなどや甲殻類とその魚油および魚卵)と内臓肉などが知られている。
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