アロエベラ食品

 アロエはアラビア語の「苦み」を意味する Alloch に由来し、有史以前から世界最古の下剤といわれ、食品および香粧品としても広く利用されてきた。ブッシュマンも古くから傷の手当てに用いていた壁画が残っている。古代エジプトの医学を知る上で重要な資料である『医学パピルス』には、マダガスカル島のアロエが苦味健胃薬として用いられていたことが記載されている。

 アロエはアフリカ原産のユリ科植物で、常緑多肉質の葉をもつ多年性草本。最近は、ユリ科からアロエ科アロエ属に分類されている。アロエ属植物はサハラ砂漠以南の岩の多い草地に自生し約350種が知られており、園芸品種を含めると500種以上の品種があるといわれる。代表的のものは日本の太平洋側に野生で生えている茎のあるキダチアロエと西インド諸島のバルバドスを原産地とし、食用向けにアメリカ・テキサス州で大量栽培されているアロエベラで、飲用や食用、外用に使われている。
 アロエの代表的な薬効成分のほとんどは葉皮に含まれ、真中の半透明な部分は抗炎症、保湿の成分を含むが、99.5%が水分である。
 日本では、薬事法上、アロエ薬理成分アロインが下剤として医薬品に登録されているため、アロエベラ、ケープアロエについては、アロインの含まれる葉皮を取り除かないと食品としては使えないが、キダチアロエは特別な場合を除き非医薬品に分類されているので、食品などにも加工されている。

ⅰ)成分
 アロエは多肉植物で、アロイン、アロエウルシン、アロエエモジン、アロエシン、アロエソンエモジン、アロエチン、アロエニン、アロミチン、アロエマンナン、サポニン、アロクチン、アルボランA・B、ホモナタロイン、ベータババロイン、食物繊維、蛋白質ビタミンA、B、C、Eを含み、多肉部分はムコ多糖類とミネラルを含んでいる。

ⅱ)効能
(a) 内服の場合
 便秘、胃、十二指腸潰瘍、糖尿病、高血圧、低血圧、肝臓病、胆石、二日酔い、肩こり、冷え性、喘息、更年期傷害、頭痛、気管支炎、鼻炎、膀胱炎などの抗炎症に効果があるとされている。

(b) 外用の場合
 打ち身、かぶれ、湿疹、ひび、あかぎれ、痔、やけど、すり傷、切り傷、虫刺され、うおのめ、いぼ、歯痛、歯槽膿漏など。(近藤雅雄)
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