こころとからだの健康(17)皮膚とこころ

 東洋医学において皮膚は最も重要な器官である。皮膚の生理作用は保護作用、感覚作用、体温調節作用、吸収作用、分泌・排泄作用、呼吸作用などが知られているが、近年の分子生物学の発展によって、内分泌作用の発見など新たな展開を迎えている。
 近年、皮膚のケラチノサイトがオキシトシンなどのホルモンを生産・内分泌し、他の細胞にいろいろ働きかけていることや様々なホルモンに皮膚が応答することが相次いで報告された。すなわち、グルタミン酸やγアミノ酪酸(GABA)、アセチルコリンやドーパミン、アドレナリンなどの生体物質にケラチノサイトが反応すること。さらに、記憶や学習に関与する脳の海馬にNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)グルタミン酸受容体が局在し、これが表皮でも見出されたこと。これらの結果から、皮膚はこれまでの生体情報連絡系である神経‐内分泌‐免疫の三大システムに皮膚が加わり、「皮膚と脳」「皮膚と免疫」「皮膚とこころとからだの健康」など、生体機能との関連性に興味が持たれる。
近藤 雅雄(東京都市大学)平成31年4月2日掲載
以下のPDF参照
PDF:こころとからだの健康(17)皮膚とこころ
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