セント・ジョーンズ・ワートは、一般的にセイヨウオトギリソウという植物種のことを指し、黄色い花を咲かせる根茎性の多年草のハーブである。ヨーロッパに自生し、後にアメリカへも伝播され、多くの草地で野生化している。ヒペリシンを含み、モノアミンオキシダーゼ(MAO)1)を抑え、抗うつ症状の改善、鎮静作用があることからドイツでは抗うつ剤として用いられている。しかし、うつ病に対する効果は賛否様々であり、軽度から中程度のうつに対して有効で副作用が少ないとする研究や、逆にプラセボ以上の効果は見られないとする研究がある。
ジゴキシン(強心薬)、シクロスポリン(免疫抑制薬)、テオフィリン(気管支拡張薬)、インジナビル(抗HIV薬)、ワルファリン(血液凝固防止薬)など、医薬品との相互作用などが危惧されている。さらに、ある種の薬物の量を体内で減少させる作用があり、薬効が低下することがある。副作用としては、ごくまれであるが光線過敏性皮膚炎や不安感、口渇感、めまい、消化器症状、倦怠感、頭痛、性的機能障害などが知られている。