伝統医学と日本の医療(2)~鍼灸医療の発展を期して

 鍼灸師を志す学生は医療に対する高い志を持ち、優秀で、まじめで、そして研究熱心である。これら学生がさらに飛躍し、日本の保健・医療・福祉に貢献することを願って止まない。
 しかしながら、近年、鍼灸師養成校として歴史があり、長年実績のあるいわゆる伝統校への入学者数が急速に減少している。この理由の一つとして、学校養成施設が大幅に増加(平成10年度の14施設に対して現在93施設)したことが挙げられる。この減少はあん摩マッサージ・指圧師、柔道整復師養成に実績のある各伝統校でも同じである。このことは今後の日本医療にとって大変な危機感を覚える。そこで、日本の医学・伝統医学の発展を祈念して、日本における鍼灸医療の発展の歴史を中心として私的にまとめた。
 現在、世界的に伝統医学の見直し・推進が起こっている。日本では、各種伝統医学の中でもとくに鍼灸医療を中心とした東洋医学が科学的な根拠を積み重ね発展してきている。しかし、鍼灸医療は西洋医学を根幹とした医療制度の中では、戦後70年を経た今でも未だに補完・代替療法としての位置付けである。
 さて、鍼灸師を目指す学生並びにすでに鍼灸師として活躍している治療師が最も心身の拠りどころとする組織が(公社)全日本鍼灸学会や(公社)日本鍼灸師会である。これら組織が中心となり、日本の鍼灸医療の未来を見据え持続的な発展を目指した医療行政の改革を期待したい。さらに、日本鍼灸の学術的・臨床的研究を通して、質の高い科学的根拠を蓄積し、確固たる地位を構築することを望む。
 鍼灸師養成機関(専門学校や大学)、鍼灸医療関連組織並びに鍼灸師の益々の発展・活躍を願い、下記に論文としてPDFにて掲載した。(近藤雅雄:平成29年1月19日掲載) PDF:伝統医学と日本の医療,(2)鍼灸医療の発展を期して(国際) 
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